電線(主に銅線)の電気抵抗が増大し,発熱する現象を【グロー現象】と呼びます。
【グロー現象】とは・・・・
【グロー現象:】による出火に至る流れ
* 接続部分での電流の断続や過熱等により,
接続部分に亜酸化銅(Cu2O)が生じる。
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* 亜酸化銅は数アンペアの電流でも高熱を発生させるため,
周囲の銅が溶けて亜酸化銅が増殖する。
↓
* 亜酸化銅の赤熱化により周囲の可燃物が出火する。 |
上記以外にも,コンセントの接続部がゆるくなり,電流の断続を繰り返していると,微弱な電流でも異常なほどの熱を発生させ,電気火災の原因となります。
また,この【グロー現象】は,漏電・短絡用の保護装置(漏電ブレーカー等)では,防止できないので,常に接続部等の熱の発生に注意して下さい。
注意点と安全対策
この火災は電気的・機械的に防止できないので,日ごろ接続部などが過熱していないかを確認すると共にスイッチが入ったり入らなかったりする場合は接触不良の可能性があるため,直ちに電気店による修理・交換などの対応をしてください。
● 電気コード同士を接続しない (素人工事をしない)
● 電気コードを踏みつけない (被覆内で断線のおそれ)
● 電気コードはステップル等で固定しない( 〃 〃 )
● 余った電気コードは束ねない (発熱するおそれ)
● 異常を感じたら,電気店等に連絡する (連絡,対応)
【トラッキング現象】に至る過程
1 コンセントやテーブルタップに電源プラグを長
期間差し込んだままにしていると,コンセントと
プラグの隙間にホコリが溜まります。 |
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2 コンセントが家具の裏側や湿気の多い所や水漏れし易い所にあると,溜まったホコリが湿気を呼び,付着したホコリと湿気によって,プラグの両極間で火花放電を繰り返し発生します。 |
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3 繰り返し発生する火花放電によって,プラグの
両極間の絶縁状態が徐々に悪くなります。
(グラファイト化により,電気が流れる) |
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4 プラグの両極間の絶縁状態が悪くなり,電気が
流れることにより,生じた抵抗で発熱,ついに発
火します。 |
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【トラッキング現象】が発生しやすい場所
1 台所・洗面所など,湿気が高く湯気や水滴・油分等が直
接かかる位置にあるコンセント等に差し込まれた電源プラ
グ。
2 冷蔵庫・家具・テレビの裏側等の見にくい場所にあるコ
ンセントで長期間差し込んだままの状態になっている電
源プラグ。
3 暖房器具,エアコンの使用により,結露が発生し易い場
所にあるコンセントに差し込まれた電源プラグ。
4 熱帯魚の水槽に使用されている電気器具の電源プラグ。
5 ペットを飼っている場所にあるコンセントに差し込まれ
た電源プラグ。
ペットの毛の堆積や発情期にペットがコンセント等に尿
をかける事もあります。
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安全対策
【トラッキング現象】を避けるためには,日頃からの点検・手人れが大切です。
1 冷蔵庫など,常時通電している機器は,時々プラグを抜いて乾燥した布で拭き取る。
2 電気機器の使用後はスイッチを切り,コンセントからプラグを抜いておく。
3 コンセントやテーブルタップ,電源プラグおよびコードが異常に熱くなっている時
や焦げ臭い匂いがする時は,すぐに使用を止めて電気店等に点検してもらう。
4 ペットを飼われている方は,プラグやコードに市販の保護カバーを取り付ける。
【グロー現象】【トラッキング現象】などの電気が原因となる火災は,毎年多く発生してい
ます。
しかも在宅,不在宅にかかわらず発生するため,特に不在時の場合,発見が遅れて炎上
火災に発展していまいます。
電気火災は,一般的にはまだ,知られていない傾向にありますので,厳重な注意が必要
です。
早期発見のため,住宅用火災警報器の設置はもちろん,大掃除などの機会をと
らえて家庭内にある電気機器の清掃やチェックを行うと共に,長期間外出する場合は,使
用していない電気器具等のプラグは,出来るだけコンセントから抜くように習慣付けてく
ださい。
住宅用火災警報器
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