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景観形成指定建築物等一覧

公開日 2024年01月18日

函館市では都市景観形成地域内(伝統的建造物群保存地区を除く。)において,都市景観の形成上重要な価値があると認められる建築物等その他の物件を「景観形成指定建築物等」として指定しています。

 

景観形成指定建築物等の指定基準

次の各号の一に該当するもので,維持状態の良好なもの,または保全の可能性のあるもの

1.歴史性 歴史上優れた価値をもつもの
2.景観への寄与 景観上優れた価値をもつもの
3.建築技術 建築技術史上優れた価値をもつもの
4.意匠 意匠上優れた価値をもつもの

 

景観形成指定建築物等の保全に係る基準

1.建築物等については,主としてその外観を維持するため原則として現状維持,復原修理または復旧とする。
2.建築物等以外の物件については,原則として復旧とする。
3.景観形成指定建築物等の保全のため特に必要があると認められる場合には,都市景観審議会の意見を聴いて,前2項と別の取扱いとすることができる。
 

景観形成指定建築物等一覧

指定番号1 山内家住宅

山内家住宅

所在地 船見町9番9号 建築年 大正11年 構造・階数 木造2階建て

常盤坂を上った角地に建つ大正11年に建築された住宅で,当初は網元の居宅として建てられたものです。外壁は下見板張りで,1階部分は出窓,2階部分は縦長の上げ下げ窓で,建物全体は洋風でまとめられていますが,正面の1階部分だけは和風の出格子窓となっていて,上下和洋折衷様式を取り入れています。また門柱や塀にも和風の要素が見られます。2階の上げ下げ窓や1階の出窓には井型の桟割が見られ,大正期らしい雰囲気をかもし出しています。手前の2階建て部分と,奥の平屋部分が違和感なく融合しています。

指定番号2 山上大神宮 本殿

山上大神宮本殿

所在地 船見町15番1号 建築年 昭和5年 構造・階数 木造平屋建て

幸坂を上り詰めたところにある神社で,景観形成指定建築物等の中では唯一の神社建築です。銅板葺きの神社建築で,棟梁只木実條によって昭和5年に竣工しています。神社の草創は,函館のまちが形成されはじめた17世紀末までさかのぼるといわれ,当時は神明宮と称しました。その後,当時の境内があった山之上町にちなみ,山上大神宮と名称を変更し,さらに1882年現在地に移転しています。

指定番号3 旧ロシア領事館(告示名:函館市立道南青年の家)

函館市立道南青年の家

所在地 船見町17番3号 建築年 明治41年 構造・階数 煉瓦造2階建て

幸坂の幅員が狭くなり,上り坂の勾配がさらに急になるところの右手に,「旧ロシア領事館」があります。赤煉瓦の外壁に,2階部分では縦横の太い縁取り,玄関部では隅石風に白漆喰(しっくい)が施され,赤と白のコントラストが印象的な建物となっています。坂側にある玄関には,寺院風の唐破風や組物(くみもの)を見せる柱頭などが取り入れられ,これら和風意匠との組み合わせが独特の雰囲気をもっています。屋根は,当初は瓦葺(かわらぶき)であったものが,現在は,鉄板葺になっています。日本とロシアの国交は,安政元年(1854)に始まり,安政5年には初代領事のゴスケヴィッチが着任しています。この建物は,昭和19年まで領事館として使われました。

指定番号4 称名寺 本堂

称名寺本堂

所在地 船見町18番14号 建築年 昭和4年 構造・階数 RC造平屋建て

市内では,東本願寺函館別院に次ぐ鉄筋コンクリート造の寺院で,昭和4年に竣工しています。この寺院を西端として実行寺,東本願寺船見支院と3つの寺院が同じ通り沿いに建ち並び,寺域が接する高龍寺と共に,船見町の一角を占める寺院群を形成し,寺町とも呼ばれています。これらの寺は富岡町(現弥生町)にあったものですが,明治12年の大火後の街区改正に伴い,現在地に移転されたもので,その後,明治40年の大火にも見舞われ,現存しているのはその後に建てられたものです。3寺の本堂の屋根が重なり合う姿は,弥生坂の途中から望見できますが,異国情緒豊かなこの地域のなかで,趣の異なる風景となっています。

指定番号5 実行寺 本堂 

実行寺本堂

所在地 船見町18番18号 建築年 大正7年 構造・階数 木土蔵造平屋建て

船見町の一角を占める寺院群のひとつで,入母屋瓦葺の土蔵造の寺院です。正面に唐破風(からはふ)の向背(こうはい)を見せています。   

指定番号6 東本願寺函館別院船見支院 本堂 

東本願寺函館別院船見支院

所在地 船見町18番20号 建築年 大正15年 構造・階数 木造平屋建て

船見町の一角を占める寺院群のひとつです。大正15年に落成した木造平屋建ての寺院で、境内には、木造の水盤舎、石造の預骨堂があります。  

指定番号7 高龍寺 本堂

高龍寺 本堂

所在地 船見町21番11号 建築年 明治33年 構造・階数 木造平屋建て

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。本堂をはじめ諸堂がコの字型に配置された伽藍が整い,船見町寺町を代表する寺院となっています。開基は,寛永10年(1633)とされ,現在地には明治12年移転しています。寺院内には,明治後半から昭和初期の建物が数多く残され,本堂をはじめ9件が景観形成指定建築物等に指定されています。本堂は,入母屋瓦葺屋根とその下に裳階(もこし:庇状の部分)が正面から側面にかけてまわされています。総ケヤキ造りで,越後衆の工人達によって明治33年に竣工しました。   

指定番号8 高龍寺 山門

高龍寺 山門

所在地 船見町21番11号 建築年 明治43年 構造 木造

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。山門は,前後に4本の柱を立てる八脚門で,入母屋瓦葺の屋根をかけ,装飾性が豊かで非常に複雑な飾り彫刻が随所に施されています。

指定番号9  高龍寺 袖垣・防火塀

高龍寺 袖垣・防火塀 

所在地 船見町21番11号 建築年 明治43年 構造 木・煉瓦造

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。山門の左右には,土蔵造りに瓦屋根の袖垣が伸び,左側の民地との境には,一段と高い,これも瓦を載せた煉瓦造の防火塀があります。また,右手奥,墓地側にも煉瓦塀があって,これは袖垣より前の時代のものと言われています。   

指定番号11 高龍寺 金比羅堂

高龍寺 金比羅堂

所在地 船見町21番11号 建築年 大正4年 構造・階数 木造平屋建て

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。山門から境内に入りすぐ左手にある建物で,入母屋瓦葺屋根が四方に向いている特殊な屋根の形状をしています。

指定番号12 高龍寺 水盤舎

高龍寺 水盤舎

所在地 船見町21番11号 建築年 大正4年 構造 木造

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。山門から境内に入り,すぐ左手にあり,銅板葺きの入母屋屋根を4本の柱が支えています。

指定番号13 高龍寺 位牌堂

高龍寺 位牌堂

所在地 船見町21番11号 建築年 昭和8年 構造・階数 木造平屋建て

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。境内の左手,金比羅堂と開山堂に挟まれた位置にある建物で,入母屋瓦屋根の形式は本堂の屋根形式を小型にしたものとなっており,全体的な雰囲気もよく似ています。

指定番号14 高龍寺 開山堂

高龍寺 開山堂

所在地 船見町21番11号 建築年 明治32年 構造・階数 煉瓦造平屋建て

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。本堂の左側に位置し,屋根の小屋廻りを白壁にしたひときわ目を引く煉瓦造漆喰塗り壁の建物で,高龍寺の建物の中では一番古く,明治32年に竣工したものです。

指定番号15 高龍寺 鐘楼

高龍寺 鐘楼

所在地 船見町21番11号 建築年 大正11年 構造 木造

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。山門を入って,右手には銅板葺の屋根をもつ,鐘楼があります。境内の建造物で銅板葺の屋根は,この鐘楼と水盤舎であり,他の外壁を有する建物は瓦葺きとなっていることも,興味深い。(庫裡は現在銅板葺きですが,近年新築されたものです。) 

指定番号16 高龍寺 宝蔵

高龍寺 宝蔵

所在地 船見町21番11号 建築年 大正5年 構造・階数 煉瓦造平屋建て

平成24年に国登録有形文化財に登録されています。山門を入って,右手に煉瓦造漆喰塗壁の宝蔵があります。正面の,煉瓦造の外観である入口部分と,漆喰・腰回りにはめ込みの下見板をまわした蔵造りの外観部分が奇妙なコントラストを創りだしています。   

指定番号17 ティーショップ夕日(告示名:函館検疫所台町措置場)

ティーショップ夕日

所在地 船見町25番18号 建築年 明治18年 構造・階数 木造平屋建て

明治18年(1885)内務省の決定により,当時の主要6港(函館,横浜,神戸,下関,長崎,新潟)に常設の消毒所が建設されましたが,この建物は消毒所の事務所として建設されたものです。9間×6間の木造平屋建ての建物で,軒先に蛇腹を廻し,妻面や背面の上げ下げ窓は両開きの鎧戸を付け,笠木のみで窓台を持たない単純な額縁形式で,初期洋風建築の様式を伝えています。正面入口両側には廊下を下屋として付設し,両端に戸袋を付けたガラス戸を建て込んで,在来の縁側的な処理が見られます。建物の性格上,装飾性の少ない建物ですが,全国的に数少ない初期港湾施設の遺構といえます。現在は「ティーショップ夕日」として利用されています。 

指定番号18 函館市立弥生小学校   

函館市立弥生小学校

所在地 弥生町4番16号 建築年 昭和13年 構造・階数 RC造3階建て

昭和9年(1934)年の大火後の復興都市計画の一環として耐火構造の小学校が6つ建てられましたが,その中では最後に建てられたものです。コの字型に校舎を建て,校舎に囲まれるように中央にグラウンドがあります。大火の際,住民の避難所となるよう意図されています。玄関口となっている2カ所の建物角部分を曲面で仕上げているほかは装飾性を排除した,さっぱりとした外観となっています。平成23年,校舎の老朽化の進行が著しいことから,復原・新築され,現在も「弥生小学校」として利用しております。  

指定番号19 岩崎家住宅店舗

岩崎家住宅店舗

所在地 弥生町8番16号 建築年 大正13年 構造・階数 木造2階建て

小規模な町屋で,当初は,間口3間,奥行き5.5間でしたが,昭和10年に向かって右側に1.5間の増築を行っています。その後,窓廻りに手が加えられ,縦長窓がなくなっていましたが,縦長窓を再現するなど平成11年外観改修工事を行い,上下和洋折衷様式に復原を図っています。   

指定番号20 大正湯

大正湯

所在地 弥生町14番9号 建築年 昭和9年 構造・階数 木造2階建て

船見坂を上ると,左手角地にある建物で,木造の大壁の下見板張り,縦長窓,持ち送りのついた軒天井,胴蛇腹など洋風建築の外観を持つ銭湯です。特に間口と高さの均整がとれており,ペディメントをもった屋根などが一体となった,左右対称の正面の姿には美しさが感じられます。左側にある附属棟は,床屋として当初から建てられていたものです。

指定番号21 伴田商店所有住宅

伴田商店所有住宅

所在地 弁天町6番11号 建築年 大正5年 構造・階数 木造2階建て

大正期に建てられた病院兼住宅で,現在は米穀店兼住宅として利用されています。外観は,下見板張りにペンキの塗装が施され,屋根下に胴蛇腹を廻し,窓はペディメント付きの窓枠で上げ下げ窓,正面玄関には洋風の切妻屋根を設けるなど,洋風で統一されています。 

指定番号22 今井家所有住宅

今井家所有住宅

所在地 弁天町15番10号 建築年 明治40年 構造・階数 木造2階建て

姿見坂を電車通から港側に入った角地に建つ建物で,当初は,米穀店と住宅をかねて建築されてものです。正面の店舗部分は,瓦屋根をもった2階建てで,和風様式となっています。住宅部分は,平屋と2階建てで,屋根は鉄板葺きで,平屋部分は格子窓で和風,2階建て部分は縦長窓を採用し,洋風意匠となっています。 

指定番号23 Photo Studio IWANAMI(告示名:大幸機動興業所社屋)

Photo Studio IWANAMI

所在地 弁天町15番12号 建築年 大正5 構造・階数 木造3階建て

木造3階建ての堤商会事務所として,大正期に建築された貴重な建物です。当初は3階正面にバルコニーと屋根にパラペットを持たせた洒落た建物でした。現在は1階にカフェ,2階に物販店,3階に事務所が入っています。   

指定番号24 太刀川家住宅店舗

太刀川家住宅店舗

所在地 弁天町15番15号 建築年 明治34年 構造・階数 煉瓦造2階建て

国指定重要文化財(昭和46年指定)かつての海岸通の繁栄を伝える商家の一つで,左右両側に袖壁を備えた店舗は,防火造り商店の代表格となっています。屋根は,寄せ棟の瓦葺で,煉瓦の壁を漆喰で仕上げ,鉄柱で1階梁上の3連アーチを支える意匠は,ほぼ20年前に建設された「(指定番号40)金森洋物店」にも見られるものですが,2階部分が和風の意匠となっていることなどから,建物全体としては全く違った印象を受けます。1階2階とも開口部が広がり,開放的な感じを与える建物です。

指定番号25 太刀川家洋館

太刀川家洋館

所在地 弁天町15番15号 建築年 大正4年 構造・階数 木造2階建て

昭和10年に,応接専用室として太刀川家住宅店舗に増築したもので,2階部分の破風や軒下に彫りの深い植物模様が施され,アカンサス葉状のブランケットの彫りも丹念につくられていますこれに対して,首の長いコリント式円柱が支持する1階部分のアーチ廻りは平坦な印象を受けますが,竣功当初はスパンドレルや胴部飾り板に唐草模様のレリーフが貼り付けられ,華やかな印象だったと言われています。 

指定番号26 函館クラシックホテルズ藍(告示名:和島家住宅) 

函館クラシックホテルズ藍

所在地 弁天町16番9号 建築年 大正4年 構造・階数 木造2階建て

1階は引き違い戸,堅繁格子の出窓と和風のたたずまい,2階は縦長の上げ下げ窓に井型の桟割が施され,下見板張り,屋根の持ち送り,胴蛇腹などが正面から側面に配置され,洋風のたたずまいとなっています。上下和洋折衷様式の典型的な建物です。現在は一棟貸のホテルとして利用されています。

指定番号27 小森家住宅店舗

小森家住宅店舗

所在地 弁天町23番14号 建築年 明治34年 構造・階数 木造2階建て

1階が和風,2階が洋風の典型的な上下和洋折衷様式の町屋ですが,数少ない明治30年代の貴重な遺構となっています。2階の両開き窓は窓台を持たないシンプルな額縁形式となっており,現存する建物の中ではあまり例のない形式ものですが,建築年代との関係が想定されます。軒の持ち送りは凝った雲形で,棟端の雲形鬼瓦と入口上の小壁には建築当初所有者の「かぎタ」の屋号が残されています。

指定番号28 中華会館

中華会館

所在地 大町1番12号 建築年 明治43年 構造・階数 煉瓦造平屋建て

平成13年に国登録有形文化財に登録されています。函館が開港されて以降,海産物の買い付けのために多くの華僑が函館に渡ってきました。中華会館は,そうした華僑達の親睦と連帯を図るための施設として建設されたものです。函館における異国風の建物の中でも,ひときわ異彩を放つ,純中国風の建物で,戦災で,横浜,神戸の中華会館が失われたため,建築当初の姿を伝える関帝廟形式の集会所としては,日本唯一のものとなっています。木骨煉瓦造で,煉瓦は1枚半積み,目地は出目地にしています。煉瓦の外観と,瓦屋根,壁窓にはめ込まれた透かしの飾りが美しい建物です。   

指定番号29 旧小林写真館

旧小林写真館

所在地 大町2番9号 建築年 明治40年 構造・階数 木造2階建て

現存する写真館としては道内最古と言われる洋風の建物です。竣功当時と比べると,2階バルコニーが撤去されて,建物向かって右側に増築された部分がありますが,原形がほぼ残されています。上げ下げの縦長窓,胴蛇腹,下見板張りなど洋風建築の特徴をもち,また,懸魚風妻飾りがペディメントに付けられ,軒天井と軒蛇腹が一体となってまとめられていることなど,当時の洋館建築に係わった職人達の思いと工夫が感じられ,写真館として栄えた創建当時の函館のハイカラな雰囲気を偲ばせる建物です。現在は,一棟貸しの宿として利用されています。

指定番号31 旧桂久蔵邸土蔵(函館元町ホテル 蔵の宿)(告示名:旧喫茶磔磔)

旧桂久蔵邸土蔵

所在地 大町4番5号 建築年 大正元年 構造・階数 木土蔵造2階建て

度重なる大火の経験もあったためか,地域内では土蔵が数多く残されていますが,その中でも比較的良い状態で保存されているもので,漆喰塗りとささら子下見板の組み合わせが美しい建物です。現在は「函館元町ホテル 蔵の宿」として利用されています。   

指定番号32 松原家住宅

松原家住宅

所在地 大町5番2号 建築年 明治43年 構造・階数 木造平屋建て

さまざまな意匠の建物が町並みを形成する中で,この純和風建築は一服の清涼感を与えてくれる,貴重な建物です。

指定番号33 Portside Inn Hakodate(告示名:喫茶JOE)

Portside Inn Hakodate

所在地 大町9番14号 建築年 明治18年 構造・階数 煉瓦造2階建て

洋風店舗として角地に建ち,両面ともほぼ同型の1階各3連アーチ,2階にもアーチ型の窓が2箇所あり,往時の洒落た雰囲気をしのばせる建物です。現在は,一棟貸しの宿として利用されています。

指定番号34 旧森宇兵衛商店(函館元町ホテル 別邸 開港庵)(告示名:民宿室屋)

旧森宇兵衛商店

所在地 大町9番17号 建築年 明治42年 構造・階数 木造2階建て

海産商の店舗として,めずらしく和風様式で建築されたものですが,裏側の住宅部分は上下和洋折衷で増築されています。

指定番号35 函館市臨海研究所(告示名:旧函館西警察署庁舎)

函館市臨海研究所

所在地 大町13番1号 建築年 大正15年 構造・階数 RC造2階建て

建物角部を曲面で仕上げ,そこに正面玄関を配し,角地に建つ建物であることを意識した造りとなっています。玄関両脇の太い4本の柱や縦長の窓など,垂直線を意識したデザインもとり入れ,全体としては,重厚な中にも柔らかさを感じさせる造形に特徴がみられます。建設当初は,函館市水上警察署として利用が開始されたことと関連するのか物見塔を有する特殊な形式となっています。昭和59年まで現役の警察署として使われていましたが,平成18年に復原・新築され,現在は「函館市臨海研究所」として利用されています。 

指定番号36 五島軒本店(告示名:五島軒本店旧館)

五島軒本店

所在地 末広町4番5号 建築年 昭和9年 構造・階数 木造2階建て

国登録有形文化財(平成9年登録)函館でも老舗の洋食店で,胴蛇腹や軒蛇腹,1階部窓上部のアール形状に若干の装飾が見られる程度の外観ですが,内部は装飾性が豊かで,平成9年には国の登録有形文化財となっています。戦後,5年間駐留軍の軍政部として接収された歴史を持っています。平成14年9月に隣接空き屋からの出火の類焼を受け,外壁,小屋裏などを焼損しましたが,修復が行われました。   

指定番号37 函館市地域交流まちづくりセンター(告示名:函館市末広町分庁舎)

地域交流まちづくりセンター

所在地 末広町4番19号 建築年 大正12年 構造・階数 RC造5階建て

昭和初期には函館の日本橋ともうたわれた末広町のモダンぶりを代表する,かつて百貨店として建設された建築物です。当初電車通側にドームを有する3階建てで建築されましたが,まもなく4・5階部分と山側の塔屋を増築され,昭和45年からは市の分庁舎として利用されていました。現在は一部が建築当初の3階建てに復原され,「地域交流まちづくりセンター」として再利用されています。外観の意匠は洋風を基調とし,角部をアールとして主玄関としてます。1階の電車通側にはショウウィンドウが設けられ,2・3階には縦長窓が並んでいます。また増築時に塔屋が設けられたことによって,角部のドームと塔屋という2つの意匠上の核を持つ特徴的な外観となっています。大通りが屈曲する角地にあって,都市景観形成地域の入口部に位置することから,地区を代表する建物となっています。   

指定番号39 株式会社エスイーシー電算センター(告示名:南北海道電子計算センター社屋) 

(株)エスイーシー電算センター

所在地 末広町18番15号 建築年 昭和元年 構造・階数 RC造3階建て

この建物は,明治11年北海道で最初の地場銀行として函館に創設された第百十三国立銀行が,明治20年に改称され,第百十三銀行となった後に本店として建てられたものです。中央に出入り口を取った左右対称の外観で,両側に半円柱が並ぶ古典様式の形式を踏襲していますのが,パラペット部を連続する三角形で飾り,入口両側の柱装飾や入口上部に並ぶ半円形の小窓などドイツ表現派風の意匠も取り入れられ,古典建築と近代建築の様式が洗練されたデザインで組み合わされています。   

指定番号40 市立函館博物館郷土資料館 

市立函館博物館郷土資料館

所在地 末広町19番15号 建築年 明治13年 構造・階数 煉瓦造2階建て

昭和38年に指定された北海道指定有形文化財です。明治11,12年の大火後に豪商渡辺熊四朗が洋品小間物店として建てたもので,年代が確実に判明するものとしては地域内の商家建築の中で最も古いものです。函館近郊の茂辺地煉化石製造所(上磯町)で造られた煉瓦を使用して建てられており,建物側面の一部に明治7,8年の刻印が入った煉瓦を見ることができます。開口部は正面と裏側の出入り口,2階部分の窓だけで,側面には開口部が無く,耐火を意識した開口部の少ない造りとなっています。また,伝統的な土蔵造りの技法を用いて,1階入口部,2階窓内側には分厚い塗り込め戸が取り付けられ,屋根には野地板の上に煉瓦を敷き詰めその上に瓦をのせるという耐火に対する意識が徹底した造りとなっています。外観意匠では,煉瓦の表面を漆喰で仕上げてあり,建物隅部や入口・窓周り等には隅石が型どられるなど,明治初期に全国的に建築された擬洋風建築の意匠要素が見られます。また,1階正面の鋳鉄製の柱で支えられた3連アーチや鋳鉄製ブラケット等は,その後函館に建築される商家建築にも共通して見られる手法です。   

指定番号41 函館市文学館(告示名:ジャックス社屋)

函館市文学館

所在地 末広町22番5号 建築年 大正10年 構造・階数 煉瓦造2階建て

第一銀行の函館支店として建てられたもので,近傍にある銀行建築と同様に,中央に出入り口を設け,左右対称となっています。花崗岩とタイルの茶色が調和し,石に刻まれた装飾も美しい建物です。基本構造は鉄筋コンクリートと煉瓦の部分が分けられて使われており,鉄筋コンクリート構造が取り入れられていく過程での中間的な構造と考えられます。ジャックス社屋としての再利用を経て,平成5年,函館市文学館として生まれ変わりました。  

指定番号42 旧金森船具店

旧金森船具店

所在地 末広町22番17号 建築年 明治44年 構造・階数 煉瓦造2階建て

かつて北海道の玄関口であった東浜桟橋に面して建つ,ルネッサンス風の重厚なデザインの建物です。1階両側の戸袋や2階部分の後退,大きく立ち上げた袖壁など土蔵造町屋の形式をもちながら,正面2階は,三角形のへディメントが施された上げ下げの縦長窓が並び,後退部をベランダとしたことや,袖壁を漆喰仕上げとしているものの,目地を切って石造風にみせ,さらに1階には,2本のトスカナ式鋳鉄柱や大振りな鋳鉄製のブラケットを設けるなど洋風の仕上げとなっています。   

指定番号43 HakoBA函館(告示名:ホテルニュー函館)

HakoBA 函館

所在地 末広町23番9号 建築年 昭和7年 構造・階数 RC造2階建て

函館どつくに向かう市電通と八幡坂の交わる角地にある建物で,当初は安田銀行函館支店として建設されました。安田銀行は,大正末期から昭和10年代中頃にかけて,全国各地に同じ形態の支店を建設しており,外観は中央に円形の付け柱を4本建て,その間に縦長の窓を開け,両隅の壁にも小さな縦長窓を設けていました。その一つが函館支店で,昭和7年に大林組の施工で竣功しています。小樽市にも昭和5年に建設されたものが現存(現日刊北海道経済新聞社)していますが,外観に類似性が認められます。函館支店は,昭和43年に函館どつくの外人専用ホテルとして転用されましたが,銀行建築のみならず近代建築の再利用としては全国的にも比較的早い事例のものです。 

指定番号44 函館市企業局元町配水場管理事務所(告示名:函館市水道局元町配水場管理事務所) 

函館市水道局元町配水場管理事務所

所在地 元町1番4号 建築年 明治22年 構造・階数 煉瓦造平屋建て

函館の上水道は,横浜に次いで全国2番目にできたもので,元町配水場は亀田川で取水した水を当時の市街地であった西部地区に安定的供給するために造られ,この建物もそのときに建てられたものです。緑の芝生が敷き詰められた敷地内の一角にこぢんまりと建っていますが,緑に煉瓦の色合いが落ち着きを持たせています。窓や入口上部のアールが単調な建物に意匠上のアクセントを与えています。

指定番号45 石井家住宅 

石井家住宅

所在地 元町14番16号 建築年 昭和2年 構造・階数 木造2階建て

純和風建築の住宅で,外壁はささら子下見板張りとなっています。2階建て部分は瓦葺き,1階建て部分は銅板葺きとなっていて,屋根材が違う素材で構成されています。
庭側の木塀も建物の雰囲気と調和しています。

指定番号46 函館元町港が丘教会

函館元町港が丘教会

所在地 元町29番15号 建築年 昭和9年 構造・階数 木造2階建て

明治14年,現在地に教会堂が建築され,焼失後,昭和9年に再建されたものです。木造2階建て,尖頭アーチで縁取られた入口を中心に,両側に2階まで連続する細長い上げ下げ窓があり,入口上の中央窓を含めていずれも漆喰で仕上げた尖頭アーチの盲欄間をのせています。1階部分は,下見板張り,2階はモルタル吹きつけ仕上げで,簡素ながら洒落た建物となっています。

指定番号47 日本基督教団函館教会

日本基督教団函館教会

所在地 元町31番19号 建築年 昭和6年 構造・階数 RC造2階建て

明治19年,本教会の前身函館美以教会として,現在地に教会堂が建築されましたが,大正10年の大火で焼失し,その後燃えない会堂を目指して建設されたものが現在の会堂です。尖頭アーチの窓や塔屋正面の多葉飾りなどヨーロッパ中世のゴシック様式を意識したデザインは,この会堂の建設に携わった建築家萩原惇正が得意としたもので,この建物の他にも北海道大学構内の理学部や農学部など中世スタイルの建築を残しています。 

指定番号48 坂下商店所有建物

坂下商店所有建物

所在地 弁天町22番14号 建築年 明治40年 構造・階数 木造2階建て

角地に建つ木造2階建ての町屋で,1階が格子のはめ込まれた出窓,ささら子下見板など和風の様式,2階は上げ下げの縦長窓に下見板,胴蛇腹や軒蛇腹,持ち送りなどが取り入れられた洋風の様式となっており,地域の上下和洋折衷様式の典型的な事例です。西側の隣地と接する外壁部分は,袖壁から連続して全面木骨煉瓦となっており,この建物の特徴となっています。戦前は,鉄工所やイカつけ番屋として利用されていたということ以外,詳しい沿革は不明ですが,戦後旅館に改装され,現在は民宿として利用されています。

 指定番号49 函館海産商同業協同組合事務所

函館海産商同業協同組合事務所

所在地 末広町15番3号 建築年 大正9年 構造・階数 木造3階建て

この建物の周辺は,大正から昭和初期にかけて百貨店や銀行が立ち並ぶ函館の経済の中心地で,商業活動の中核としてシンボル的な意味を持たせるためか建築デザインにも強い意気込みが感じられます。木造3階建て,正面両側は緩くアールをもった外観を持ち,当初あった装飾の一部は失われているものの,表現派的作品の洋風建築となっています。設計者は,旧第百十三銀行(指定番号39)と同じ関根要太郎です。

指定番号50 プレイリーハウス

プレイリーハウス

所在地 元町32番10号 建築年 昭和3年 構造・階数 木造2階建て

平成12年に登録された国登録有形文化財です。アメリカの著名な建築家F.L.ライトの弟子であり,北海道の自営建築家の先駆けとして知られる田上義也の代表作の一つです。幾何学的モチーフの門扉や窓のサッシ割りなどが斬新で,昭和初期のモダン住宅の雰囲気を伝える逸品となっています。

指定番号51 山七野口梅吉商店

山七野口梅吉商店

所在地 弁天町23番5号 建築年 大正2年 構造・階数 木造2階建て

上下和洋折衷様式の町家建築としては大正2年築と新しいものですが,その外観意匠や内部の仕上げは洗練されており,かつての弁天町通りの商家の賑わいを伝える貴重な建物です。正面には出格子窓を取り付け,二階部分は洋風下見板張り,上げ下げ窓,胴蛇腹,軒蛇腹,持ち送りなど優雅な意匠を見せています。

指定番号52 橋谷家住宅 洋館

橋谷家住宅 洋館

所在地 大町6番9号 建築年 大正6年 構造・階数 木造2階建て

大町の電車通りと常盤坂との角地に位置する橋谷家住宅の中で,大正期らしい洋館の外観をみせる1棟。正面玄関ポーチにギリシャ風アンテミオン装飾の妻飾り,主要外壁は大壁モルタル洗い出し仕上げ,玄関小壁や2階外壁両隅に白タイル張りを模した付け柱,上部にアンテミオン装飾付きの上げ下げ窓等,各所に洋風意匠が見られる一方,桟瓦葺き屋根や玄関屋根に緩やかな「むくり」を付けるなど,和風を想起させる和洋折衷の外観意匠となっている。築年は大正10年頃と推定されていたが,小屋組棟束に「大正6年」の墨書きが発見された。

指定番号53 橋谷家住宅 店蔵

橋谷家住宅 店蔵

所在地 大町6番9号 建築年 明治11年~明治18年 構造・階数 土蔵造2階建て

洋館の右隣に並び,常盤坂との角に位置して,土蔵造り白漆喰仕上げの店蔵の外観を呈す。電車道路側の1階は,短く下屋庇と袖壁を張り出し,残りを全て開口部とした開放的な構えの一方,2階部分は各2カ所の半円アーチ窓を開けるのみの閉鎖的な構えをみせる。築年は明治中期頃と推察されていたが,明治期の大通筋(現電車道路)を描いた「商工函館の魁」(明治18年出版)に,現存する店蔵と外観が一致する「脇坂物産店」が描かれており,このことから,本建物は明治11年大火から明治18年出版までの期間に建築された「脇坂物産店」を後年橋谷家が取得したものと考えられ,明治初期からの函館の街並み変遷や,商文化の実勢を考察する上での貴重な資料である。

指定番号54 アンカーカリフォルニアベイビー

カリフォルニアベイビー

所在地 末広町23番15号 建築年 大正6年 構造・階数 木造平屋建

大正6年に特定郵便局として建築された洋風建築。正面ファサードに大胆な曲線を用いたパラペットを立ち上げ,縦長窓を均等に配し,装飾レリーフは明治期の流行とは一線を画したシンプルな装飾であり,大正モダニズムを感じさせる。建物内部は高く作られた天井や内部空間は,郵便局時代の趣を感じさせ,それらを活かして昭和52年より飲食店として利活用されている。

 

景観形成指定建築物等位置図

景観形成指定建築物等位置図(R6)[PDF:10.8MB]

 

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