公開日 2025年05月13日
更新日 2025年05月13日
記者会見
日時・場所
- 日時 令和7年4月25日 金曜日 午後2時00分
- 場所 市役所8階大会議室
会見事項
会見の様子(動画)
幹事社質問
(記者)
市長が2023年に当選されて今月27日で丸2年となられるということで,この2年間の実績とそれに対するご自身の評価,ならびにこれからの2年間でどのようなことに力を入れていかれたいかをお聞かせください。
(市長)
急激な人口減少を食い止めていくという強い危機感のもとに,多くの政策を掲げて市長に就任したところであります。
この2年間は,とりわけ人口減少対策を中心として政策の具体化や予算化,様々な分野で種をまくこと,それを後半の2年間に向けてスピード上げて取り組んできました。
就任してすぐに人口減少対策本部を立ち上げまして,昨年度には新たに人口減少の専任セクションを設置いたしました。それから,第2子以降の保育料無償化とか,未来大学の授業料等の無償化などの子育て支援策はもとより,特産品開発に関する支援であったり地元企業に就職した学生の奨学金返済の支援など,地域経済の活性化に繋がる取り組みなどもスタートさせることができたところであります。
4年間の任期というのは決して長くないと思っておりまして,前半の2年間が勝負だという思いで取り組んでまいりました。新しい可能性の芽が出てきていると感じてはおりますが,行政としてこれまでなかなか本腰が入っていなかった人口減少に対して,職員の皆さんにも意識改革を促して努力していただいて,全庁挙げて真剣に立ち向かう体制が整ったところだと思っています。まだ課題山積でありますので,私自身がこの2年間を評価するという段階ではないと思っております。
残り2年間の取り組みについてですが,人口減少に関しては,引き続き対策本部を中心に取り組みを強化していきたいと考えていますが,子ども・子育てや教育などの分野で制度を整えてきたものをしっかり伝えていくことが重要だと思っております。函館に暮らす若い人たち,またこれから親になって家庭を持つことを考える世代や移住を考える首都圏を中心とした方に対して,そうした函館の魅力を「ウェルビーイング22」という政策パッケージにして発信していきたいと思っています。また,これからの企業誘致や移住,2地域居住の面では,函館の都市ブランドの高さや交通アクセスの良さ,多様な人材を輩出できるまちであるということが函館の大きなメリットでもありますので,こうした子育て環境や教育環境の良さも武器となります。国内の知名度は十分にあるとは思いますが,国際的な知名度を高めていくことは更なる弾みになると思っておりますので,都市ブランドの強化にも力を入れていきたいと思っております。効率的な行政運営は不断に取り組むものではありますが,人口減少するまちにおいては厳しい問題ではありますが,しっかり取り組んでいきたいと思っています。
いずれにしても,後半の2年間,市民の皆さんの声を聞きながら市政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
(記者)
特にご自身で自己採点で何点みたいな言い方は,今の段階ではなかなか難しいということでしょうか。
(市長)
そうです。まず,評価するのは,私というよりは市民の皆さんだということもあります。
また,これまで人口減少という状態では言い表せない,私は人口危機と呼んでいます。
人口減少は,言ってみればおしなべて全国はどこも減少していると思います。そして,平均的なスピードで減少してるのであれば,何とか社会をそれに合わせていくことは可能かもしれませんが,函館のようにあまりにも急速すぎるスピードで減っているとなると,社会がとてもそれに追いつくことができなくて,その結果,非常に大きな痛みと苦しみを伴いながら,どんどん縮小していくことが,私は人口危機と呼んでいるところであります。これにあらがう意味で,もう2年間経ちましたが,言ってみれば函館は覚醒したばかりではないかというのが私の印象です。
この段階で何点と評価するのは,今ではないと考えているところであります。
(記者)
北海道新幹線の札幌延伸の時期が2038年度末以降の見通しとなりました。そのことについて何点かお伺いします。
函館市にとって2038年度末以降の見通しというのは,どのような点がダメージと考えていますでしょうか。あと,先日知事と国土交通省を訪れたときに,国は地域への支援を検討するという話も出ていましたが,函館市としては国へどのような支援を求めていくのでしょうか。函館駅乗り入れに関わる交渉にかけられる時間は延びたと思いますが,どのように取り組んでいく方針でしょうか。最後に,JR北海道との交渉状況について教えてください。
(市長)
まず,どのような点がダメージかということですが,まず延伸が遅れること自体が,地域が受けられる恩恵がずっと先になるということ,いわゆる逸失利益が甚だしいということです。札幌延伸という単語ですから,札幌周辺がその恩恵を失ったというようなイメージに捉えられがちかもしれませんが,そうではありません。函館から札幌の方に行くには,現在は4時間くらいかかります。それが,新幹線が札幌まで延伸すると1時間くらいで移動できてしまいます。ですから,函館から札幌,さらには千歳空港までのこの大きなエリア,大きな半島と言っても良いかもしれませんが,このエリアが現在行き来にものすごく時間がかかるものが,1時間とか1時間半で行き来できるようになります。このエリアには函館もあるし,ニセコのようなスーパースターもいますし,小樽,札幌もエスコンフィールドを擁する北広島とか,そして新千歳空港もあったりします。こういう魅力や力のある都市やエリアがぎっしり詰まった,そういう北海道経済を引っ張るような新しいパワーゾーンが5年後に誕生するはずでした。それが8年先になり,また場合によってはさらに数年伸びるのではないかということです。函館も道南の自治体も,このような力のあるエリアが生まれて,それを跳躍台にして生き残りをかけて取り組もうとしていました。それが5年先まであと目の前まで迫っていたものが,一気に遠ざかってしまったというのは,大きな喪失です。函館の場合は本当にそれに尽きるところがあると思います。
先日,知事や多くの皆さんと会議とか要望をしてきたところであります。函館としては,開業が遅れる空白期間を補う総合的な対策として,例えば道路,港,空港といった人流を盛んにするインフラ整備はもとより,例えば幅広い視点でGXの推進などを底上げするようなインフラ整備なども含めて,特段のご支援をいただきたいということをお話してきたところであります。知事は北海道としても取りまとめをするでしょうし,国土交通省などにもその影響を調査したうえで,支援パッケージを作っていただきたいというお話をされていましたので,北海道との連携もしっかりしてまいりたいと思います。
それから,函館駅乗り入れについてですが,札幌開業が大きく延期されましたが,それで交渉時間が延びたというような認識は全くありません。これまで同様に,具体的な乗り入れケースをもとにして,JR北海道など関係機関と事務レベルでの打ち合わせを重ねているところでありますが,現在の新幹線運行管理システムを改修するという関係上,乗り入れが札幌開業と同時ということになってきますので,開業の大幅な遅れによりまして,函館駅乗り入れも遠のいていくことになりますので,引き続き乗り入れの検討や打ち合わせとともに,関係自治体や関係団体と一丸となって要望を行ってまいりたいと思います。
各社質問
(記者)
市長は,今年の夏を目処に任期折り返し時点での公約の進捗率を示すと議会で答弁されています。1年目では実施済みまたは推進中のものが66%でした。2年目では何%ほどになると見込んでいるでしょうか。
(市長)
まだ,あまり具体的に細かく何%というところまで,正直言うとイメージをしてないところがあります。
公約では,8つの扉を示させていただきました。この8つの扉は,同時進行することが有効なものというわけではありません。後から効いてくるものもいろいろ盛り込んでいます。138項目も盛り込んでしまいましたが,ちょっとした伏線みたいなものも盛り込んだりしています。後になってそういう意味だったのかというものも,きっと出てくるのではないかと思います。
令和5年度,6年度で後年次に負担があるというか,毎年お金がかかってくるもの,例えば,先ほど申し上げた第2子以降の保育料の無償化とか,未来大の授業料の無償化とか後年次にも負担がかかるものについては,5年度,6年度でほぼ予算化,それから事業化を行ったところであります。
この他は,非常にものによっては大きな玉とか,まちづくりの構想とか,そういったものが残されている部分もあるかと思いますが,まず必要なものについては,対策を講じて予算化したという印象を持っているところであります。例えば,抽象的な内容のものであったりとか,自治体として当たり前にやらなければならないことも138項目の公約に盛り込まれているところでありますので,これは職員が常に相当考えながら,それを織り込んで日々予算化に向けて検討してくれていると聞いていますので,職員とのコミュニケーションを密にしながら,政策の実現に今年もしっかり取り組んでいきたいと思っています。
(記者)
2年目の進捗率についてはまだ数値としてイメージをしていないというお話でしたが,新たに実施済みまたは推進中となる見込みである公約の中で,特に手応えを感じているものとその理由,そしてそれ以外の公約で,今後実現に時間がかかるのではないかと感じているようなものはありますでしょうか。
(市長)
まず,1番印象が強いのは,交流人口と観光の部分が,非常に好調であるということです。「世界を函館に,函館を世界に」という扉というか,ジャンルがあり,そこに結構書き込んだりしています。ただ,その分野は,実際に具体的に例示している政策よりも,「世界を函館に,函館を世界に」という言葉自体に,実は広く意味を持たせているつもりであります。世界の人を函館に呼び込んで,真の魅力を発信するということを考えると,都市ブランドを上げるということも当然必要です。ですから,この分野については,言い方は変かもしれませんが,まだ面白いことができるのではないかと,この2年間で手応えを感じています。
特に,当たり前だからということもあって文字にはしていませんが,コンテンツ産業がこれからの鍵になると思います。昨年特徴的であった名探偵コナンとか,ゴールデンカムイ,あるいはゲームでイングレスとか,そういったものに函館が選ばれて,非常に話題になっています。これは,例えばコナンであれば映画が売れて,ただそのことによってお客さんがたくさん来たということだけではありません。元々はコミックで,それからアニメーションとなり,そして映画,さらには声優さんのリアルライブとか,それがまたゲームになったりもしていく,そういうメディアがミックスしたジャンルです。コナンでいえば,例えば先日テレビで地上波で放送されて,今度は動画配信,名前を言ってしまうとネットフリックスとか,そういうところで配信されて,海外でも見られるようになってきます。そうすると,本当に数多くの海外のコナンファンが,函館のまちの美しさを映画で知ることになります。これは,どうやって自前で発信したくても,どんなにお金をかけても,函館市が自前でできることでは全くありません。そうしたコンテンツ産業というか,コンテンツとの連携というのが,非常にこれから鍵になるということをあらためて感じたところでありまして,そういったことについても取り組まなければならないと,思いを新たにしています。
(記者)
ふるさと納税のことに関してお伺いします。
先日,函館市のふるさと納税の2024年度収入が速報値で22億2,000万円あまりと公表されました。過去最高は更新しているものの,市長公約である2026年度の収入100億円には,まだまだ程遠いのではないかと感じています。
市長は,2月の記者会見で目標の100億円はいけるのではないかと思うとの発言がありましたが,残り2年で残りの80億円弱を上積みできるという明確な根拠は市長の中にあるのでしょうか。また,2026年度に100億円という目標を今後修正する可能性はありますでしょうか。
(市長)
ふるさと納税については,ふるさと納税によって財源を獲得して,それを誠実に行政の仕事に投じて,そのことで市民のウェルビーイングをあげて地域を活性化させるというものです。最後の目的は,ウェルビーイングを上げて地域を活性化させる,そのための手段は財源の確保で,さらにそのための手段がふるさと納税です。
なぜわざわざ公約にまで書いたのかは,やって当然なことなので,書く必要もないのではないかというのが私の選挙戦のときの考えでちょっとありました。ただ,なぜわざわざ公約に書いたかというと,函館は元々全国的な知名度もあって,特産品も非常に多いです。ですから,函館は非常にふるさと納税を有効に活用できるまちだったのですが,残念ながらプロモーションが非常に乏しかったり,返礼品が非常に少なかったりしたことで,生かしきれていなかったのです。なかでも,令和3年度の時点ですが,全国的に集める額ではなく,検索されているランキングが出されていました。確か11位で,全国1,700もの自治体があるなかで非常に多く検索されていて注目をされていたという事実がありましたので,公約を作るときに,そこまで高く注目されてるのに,返礼品の乏しさなどによって,ふるさと納税が伸びてないのであれば,これはあえて公約に書いて意識を高めるというか,より職員も含めて,あるいは返礼品を作ろうという民間の人たちの力を引き出す意味でも,公約に載せたというのが経過であります。
令和6年度が22億数千万ということでしたが,実は私が就任した初年度の令和5年度は,ふるさと納税についてほとんど手がつけられない状態でした。私が就任する前に,ふるさと納税絡みの予算が完全にロックされているというか,既に契約が結ばれて,それを解消することもできない状態でして,包括委託をはじめとする本格的なテコ入れを令和5年度にはできずに6年度から行いましたので,令和6年度は言ってみれば元年というかスタートの年で,本格的に力を入れた1年目ということになります。その結果,倍増したことになるのでしょうか。
100億円にはまだ遠いですが,達成できない見通しとか,達成できないのではないかという理由を私自身は見つけることができません。それくらい函館のポテンシャルもありますし,民間の事業者の気概というか,気持ちも非常に強いですから,感覚としては達成できるというものがあります。
目標を修正するとかしないとかというお話もありましたが,例えば,明らかに届かないということが前の年に分かったときには,目標を修正することはあるのかもしれませんが,誤解を恐れずに言えば,先ほど申し上げたように100億円を集めることは,何の目的でもなくて,ふるさと納税を集めて,それで財源をしっかりと獲得して,それを誠実に行政に投じて,ウェルビーイングを上げるというバタフライエフェクトみたいなものなので,そんなに寄付額そのものにこだわる必要はないかと思っています。ただ,もちろん全力で集めていくことが今本当に重要ですから,しっかり頑張っておりますし,これからもやっていきます。
(記者)
最近,サイゼリアやロフト,今日は松屋と全国チェーン店が函館に続々とオープンしていますが,市長としてはこのような動きをどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(市長)
市民の皆さんに非常に喜ばれていますね。味の良さとかリーズナブルさとか,それぞれ全国に大きく展開するだけあって,お客さんを惹きつける力を持ってるお店だろうと思います。そういう意味では近くに住んでいる皆さんの楽しみも増えると思います。生活の利便性が上がることになることは大変良いことかと思います。
一方で,同じジャンルの地元の飲食店が函館にたくさんあると思います。そういったところについては,ますます頑張らなければいけないというか,そういう環境に置かれるのだと思います。函館は非常に食が大いに魅力の街でもあります。今特に食材が高騰している中で,そう簡単に値段を上げられない環境にあると思いますので,非常に苦しいところがあると思います。
8月からプレミアム商品券を実施する予定になっています。これは飲食店でも使用することができますので,飲食店での使用による消費の喚起も行われていくかと思います。ぜひ地元の飲食店の皆さんも,こういったものもチャンスと捉えながら取り組んでいただければなと思います。
(記者)
韓国のインチョン空港との航空便が6月に開設されるという報道がありました。市に入っている情報を教えてください。
(市長)
これはチェジュ航空の方がプレスリリースをする内容かと思いますが,現在,担当部局の方で,空港の運営会社とか航空会社などと情報の交換というか,連絡調整を行っております。市としては,まだ正式な決定には至っていないと聞いております。決定となった際には,市にしても発表するなりの対応をしたいと思っております。
(記者)
看護系大学,学部の設置に関する検討会議が3月末に報告書をまとめました。今後市として設置の可否を判断することになりますが,現時点での市長の考えを教えてください。
(市長)
ご質問にあったように,昨年度末に外部の専門家などで構成する検討会議におきまして,これまでの検討会議における意見を整理して報告書をまとめていただきました。その中では,看護系大学の設置については設置が妥当である,そして,未来大学における学部増設が望ましいという方向性が示されたところであります。
市としては,この報告書の内容とか今後の財政収支などを踏まえて対応方針を決定していくところでありますが,市の方針を決定するうえで,未来大学の学部増設に関して経費や運営体制などの精査が必要なことから,今後市と未来大学の実務者による協議を行ってまいりたいと考えています。この精査の内容を踏まえて,しかるべき時期に決定していくことになります。
(記者)
建設費などがこれからどんどん高騰していくことも懸念されることから,委員から早く判断をした方が良いという意見がありましたが,いつくらいを目処に判断するお考えでしょうか。
(市長)
今まだ,何月とかと申し上げる段階ではありません。しかるべき時期という言い方も何か逃げ口上みたいであれですが,できるだけ早い時期に決めたいと考えています。建設費の高騰についてはおっしゃるとおりだと思います。
(記者)
今看護大の質問が出ましたので,私からも補足で質問いたします。
市長が今おっしゃられたように,財政的な課題が1つある中で,有識者会議の委員からは,道南を1つの医療圏と捉えて,ドクターヘリのように渡島・檜山の自治体全体で負担を分け合うべきという意見もありましたが,市長はその部分をどうお考えですか。もう1点ですが,今システム系,デジタル系の未来大で課題とされているのが,卒業生の地元就職率の低さです。仮に未来大に看護学部を設置した場合でも,地元に就職する学生が少なければ,設置の意義が薄れてしまうのではないでしょうか。その辺の市長の課題認識をお聞かせください。
(市長)
これまでも,例えば,市立函館病院が3次医療圏の医療の中核を成しています。それが渡島・檜山,さらにはもう少し広い地域の方の生活を支える非常に重要な要になっているのは間違いないところだと思います。函館市は中核市という位置づけにあり,様々な連携をする中で,その役割をこれまでも担ってきましたし,これからも担うべき存在だと思っています。
ただ,公平な負担のあり方,そして自治体同士でそれをどのように考え方を共有するかということは大事なテーマでありますから,今の段階で決定的なことを申し上げるわけではありませんが,未来大への学部増設ということを軸に考えていくとした中で,函館と北斗と七飯の3つの自治体が広域連合を組んで運営していることになりますから,市と未来大学との協議を進めていくというのが今の段階だと思っています。
それから未来大の卒業生が地元に定着しないということですが,これは今も確かにそうなのですが,ここは工夫の仕方でまだまだ定着率を伸ばすことはできると思っています。看護は,これまでの学部と全く毛色が違いますから,看護系の学部ができたとして地元にどれくらい定着してくれるかは,まだ私自身感覚として分からないところがあります。つまり,地元の医療ニーズがどれくらいあって,そして毎年卒業する人がどれくらいいて,そこの需給バランスがどうなるかだと思います。今の感覚からすると,地元で欲しい看護師さんの数が,看護大の卒業生が全部流れてしまって足りなくなるということはあまり私はイメージしてません。
ただいずれにしても,これは未来大に限らず,若い人が高校卒業して,あるいは大学を卒業して,その多くが市外に流出してしまっていることについては,どのような原因があるのかは,もっと詳しく突き詰めていかなければならない。特に,女性の方が流出していますので,なぜ出ていってしまうのか,なぜ帰ってきてくれないのかについては,今年はジェンダーギャップを解消するということについて真剣に取り組んでいく大事な年になると思いますが,これも大きな鍵になってくると思いますので,先ほど,もし看護大学ができて,その卒業生が地元に定着しないとすれば,全部に共通する理由になってくると思います。流出を止める,そのために行うべきことは何か,特に女性がなぜ多く出て行ってしまうのかについては,しっかり取り組まなければならない重要なテーマだと考えています。
(記者)
国宝中空土偶発見50年について伺います。今年度,記念事業費として15万円を計上されています。あらためて函館市にとって道内初の国宝中空土偶はどんな存在でしょうか。また,半世紀50年を受けて,今後の函館市の活性化,観光にどう生かしていきますか。
(市長)
北海道発の国宝ということで,国宝というインパクトは,私の感覚ではものすごくあります。また,中空土偶を実際に見た方もたくさんいらっしゃるでしょうし,インターネットで見てる方もいらっしゃると思うのですが,とても美しいというか,もう時空を超えた感動させる何かを持っています。今にも歩き出しそうな,そういう瞬間を切り取ったような,個人的な話ばかりしていますが,私は本当に中空土偶が非常に好きです。
この美しさというか,大切さというか,この凄みみたいなものは,より多くの人に感じてもらいたいですし,また今函館というまちに中空土偶があるわけですから,そして世界遺産というものに登録をしていただいたので,世界中のより多くの人にこの国宝の魅力を感じていただく,我々はそのために努力するという使命を担っていると思います。今年50年という節目の年にもなりますので,この存在についてあらためてかみしめなければならない大事な年ではないかと思います。
そして,またこの縄文文化というのが,非常に長い間争いなく過ぎていった希有な時代だという認識をしています。このことの意義というものが大きく評価をされて,世界遺産にもなっているということです。今世界を見ても,争いが絶えなかったり,大変な不幸な出来事が次々と起きてとどまることを知らないという激動の時代を迎えていると思います。
こういうときにこそ,この縄文文化の意義というものをあらためて考え,そして考え続けることが非常に重要だと思っております。今年大きな節目を迎えており,教育委員会,南茅部支所が一生懸命頑張っていると思います。私としてもしっかり取り組まなければならないと思います。
(記者)
函館空港への国際線誘致の関連でお伺いします。
北海道エアポートが先日示した新たな中期事業計画では,成長も見込める国際線拡充を重点目標に定めています。函館空港でも国際線ターミナルの拡張や国際線増便など施策として挙げておりますが,市としてはどういった協力ができると考えておりますでしょうか。
(市長)
新幹線新幹線と1人騒いでるように見えるのですが,なぜ新幹線と言うかといいますと,大量に人を運ぶことができるという仕組みです。そのことによる都市の形成力,それがいかに凄まじいかというのは,今ある大都市や政令指定都市を見ていただければ分かると思います。大都市だから新幹線が止まっているということではなくて,逆もあると思います。新幹線があるから都市形成力によって都市が大きくなってきたということもあると思います。
空港も同じで,特に函館空港は身の丈以上と言うとちょっと誤解があるかな,3,000mの滑走路を有していて,23万の人口にしては非常にハイスペックな空港を我々は有しています。これは本当に幸運ですから,まだまだこの空港をより活用して,まちの生き残りをかけた,これからの挑戦に取り組まなければならないわけであります。
チェジュ航空について正式な決定は聞いていませんが,そうした嬉しいニュースが入ってきたところでありまして,大変私も喜ばしいと思っています。特に韓国に行きたいという地元の若い方を中心にたくさんいらっしゃると思いますので,大いに期待をされていると思います。
国際線は誘致すれば良いというものではなく,航空会社にしてみると,就航したいが,例えばグランドハンドリングが十分なのかとか,そのスポットというか,国際線のターミナルは狭隘ではないかとか,いろいろな条件があります。それぞれが整わないと三重苦のような状態になってきます。ですから,何とかHAPに国際線ターミナルの狭隘部分を改修をしてもらうとか,動線の工夫をしてもらうことによって,まだまだ新たな新規就航を呼び込めると思っています。現在,千歳空港はもちろん黒字ですが,函館空港が千歳を除けば唯一黒字の空港です。7空港全体の成長のためにも函館に投資するのは有効なことだと私は考えていますので,HAPと力を合わせてもっと連携を強化しなければならないと思っています。
そして,先ほど申し上げたグランドハンドリングの部分です。空港まかせとか,国土交通省任せということではなく,函館としてやれることはあると思います。今年もグランドハンドリングの改善に向けて予算を付けたところでありますが,ここのところで,さらに連携をして充実させていくことで,ますます新規就航を促せると考えています。
(記者)
先ほどチェジュ航空の報道が出ていたと思いますが,国際線の空港路線を呼び込むためには,函館にはインバウンドの他にアウトバウンドの需要の見込みも増やす必要があるのではないかと思います。市として市民が海外渡航を促進するような取り組みをされるご予定はありますでしょうか。
(市長)
特にインパクトある事業を予算を付けてすぐにやるというものはありませんが,これまでも取り組んではきています。なかなか難しいです。一番やりやすいというかチャンスがありそうなのが修学旅行先に選んでもらうという手法があります。
コロナ前になりますが,台湾を修学旅行先にという取り組みがありました。例えば,沖縄に修学旅行に行く高校とかよくありますが,台湾は沖縄ともうちょっと隣のようなもので,まして乗り換えがいらないので,外国ではありますが実は安全だとか,あるいは1本で行けるから教員,先生方の苦労も少ないとか,あるいはディスティネーション(目的地)がいかに魅力があって,また学生の学びになるということが地元の高校に分かってもらえれば,修学旅行先に選んでもらうということは十分にあり得ることではないかと思っています。ただ,それはコロナ前に私が観光部長の時代に取り組んでいたときのイメージで話していますので,相当この円安の影響で難しいところが出てきているのかもしれません。
姉妹提携しているところであれば,交流を盛んにすることによってアウトバウンドを増やせるかと思っていますが,もしチェジュ航空の就航が実現するということであれば,しばらくはアウトバウンドに腐心する必要はないくらい,ちょっと山勘も入っていますが,相当韓国に直行でいきたいという方が多いのではないかと肌感覚で思っています。今は羽田であったり,あるいは千歳までJRで移動して,ほんの小さな用事を足すために,そこまでしても行く方が非常に多いと聞いています。アウトバウンドの需要は,韓国について言えば相当あるのではないかと思っています。
(記者)
今春採用の函館市役所の一般の大卒の職員の内定辞退率が,過去10年で最高の52%に達しました。受験者の数も調べてみるとこの10年で半分以下にまで減っています。これに対しての市長の率直な受け止めをまずお聞かせください。
また,市では,試験制度の改革を通じて募集にいろいろ知恵を絞っていらっしゃると理解していますが,そうしたこと以外で若い人材に函館市の職員として働きたいと思われる市役所づくりにはどんなことが必要だと市長は感じていらっしゃいますか。
(市長)
まず受け止めですが,重く受け止めています。そして,今年の52%に関してのことですね。これは明らかに函館だけではなく地方自治体の職員採用はものすごく厳しくなってくると考えているというか,もう間違いないことなんです。ですから,もちろん重く受け止めているのですが,これは当然起きてくることなので,これについては着実に対処していかなければならない極めて重要なテーマだと思っています。
今でも特別な資格の職種はかなり採ることが難しいです。相当取れないということも出てきています。目に見えている部分は,例えば内定を得ましたが,多くの人が道央圏の方を選んでいますという感じですが,まだ緩いと思います。もっと危機的な状況が来るのではないかと思っています。
それから2点目の若い人材に選んでもらうには,どのようなことが必要なのかということですが,基本的に給与表については国公準拠したものでどこも使用していますので,そこをどうこうすることは,なかなか考えにくいと思います。ですから,あくまでも処遇ではないところで魅力づくりをすることになると思います。
これはセットなんです。セットというのは,いわゆるハイパフォーマンスな強いチームを作る,要はそこなんです。選んでもらうことももちろん大事です。入ってこないのは大変ですから。ただ目的は,市役所が非常にハイパフォーマンスで強力な能力を発揮できるという集団であることです。そして,これを実現するのと同時に,右肩上がりではない時代ですから,人口がどんどん減っていく時代なので,まちの人口が減る,人口規模が縮小するということは,自動的に職員数も正比例ではないですが,それに伴って減らしていかなければならないという厳しい現実があります。この二律背反の両方を同時に今やらなければならないというのが,どこの自治体も抱えている課題ですし,函館のように急激すぎる人口減少,人口危機にあるところは,より厳しい人事採用の問題に直面していると思います。これも簡単にはいきませんが,やはり,当たり前によく言われている人事の研修とか,あるいはその職員の質の向上とかということを当然にやっていくのですが,私はいかにそのチーム,うちでいえば函館市役所が大事なテーマに取り組んでいるのかということを組織風土として組織全体が共有していること,そして成果を上げて見せていくことだと思います。このチームに入って一緒に頑張りたいと思えるような,こうした結果を出していくことが,選んでもらえる1番大事なところではないかと思っています。
公約の8つの扉,先ほど伏線と言いましたが,1個伏線を言いますと,これなんです。
その8つの扉を1個でも2個でも開けることができたら,多分地域の人も変わったなと思ってくれると思います。それを見た地元の若い方が,地元に残って市で働いてみようかとか,他地域の人が函館市役所であれば達成できる何かがあると感じてもらえるように,8つの扉をしっかりそれぞれ取り組んでいかなければならないと思っています。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。

このページの本文とデータは クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本ライセンスの下に提供されています。
- 本ページに掲載しているデータは、自由に利用・改変できます。
- 本ページに掲載しているデータを元に、2次著作物を自由に作成可能です。
- 本ページのデータを元に作成したものに、データの出典(本市等のデータを利用している旨)を表示してください。
- 本ページのデータを編集・加工して利用した場合は、データを元に作成したものに、編集・加工等を行ったことを表示してください。また、編集・加工した情報を、あたかも本市等が作成したかのような様態で公表・利用することは禁止します。
- 本ページのデータを元に作成したものに、第三者が著作権等の権利を有しているものがある場合、利用者の責任で当該第三者から利用の承諾を得てください。