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令和5年度市政執行方針

公開日 2023年06月28日

令和5年度市政執行方針


1 はじめに 


2 主要施策の推進
   (1) 子どもたちの未来を守ります
   (2) 医療,福祉,暮らしを支えます
   (3) 経済・観光を再生します
   (4) 文化・スポーツ振興で未来を育みます


3 むすび

 

1 はじめに 

令和5年第2回市議会定例会の開会にあたり,市政執行につきまして,私の所信を申し述べさせていただきます。

 

私は,本年4月に行われた市長選挙において,「進化する函館」を掲げ,市民の皆様から多大なるご支持と温かいご支援を賜りまして,市政運営を担わせていただくことになりました。

大変光栄に存じますとともに,寄せられた期待の大きさと責任の重みに,身の引き締まる思いでおります。

これまで,まちを歩き,市民の皆様の声に耳を傾けるなかで,改めて気づいたことがあります。それは,まちを思う気持ちを持つ方が多いだけではなく,現状に危機感を持つ方がとても多かったことであります。私は,そのような声を受け止め,市民一人ひとりに温かく寄り添う行政を推進し,誰も置き去りにしない,優しさに満ちた函館をつくり上げていくため,新たな一歩を踏み出してまいります。

 

議員の皆様をはじめ,市民の皆様の格別なるご理解とご協力をお願い申しあげます。

 

 

さて,世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の流行から3年が過ぎ,5類感染症へと移行しました。いまだ感染者が発生しており,予断を許さない状況は続いておりますが,国内外で人の往来が戻るなど,社会経済活動の早期の正常化が期待されるなか,本市においても,さまざまな行事やイベントが再開され,コロナ禍以前の姿を取り戻しつつあります。

一方で,ロシアによるウクライナ侵攻の長期化といった世界情勢などを背景としたエネルギー価格や物価の高騰は,事業活動だけではなく市民生活に大きな影響を及ぼし続けています。

 

社会の不確実性が高まるなか,今後の社会情勢を見通すことは困難な状況ではありますが,市民が安心できる暮らしを守ることは自治体の責務であります。このため,生活に不可欠な行政サービスが当たり前に享受され,誰もが幸せを実感し,満ち足りた気持ちで暮らすことができるよう努めてまいります。

 

まちの活力を維持・発展させ,いつまでも住み続けたいまち,選ばれるまちであるため,加速する人口減少への対応は喫緊の課題であります。

 

国立社会保障・人口問題研究所は,この4月に,我が国の人口が2070年には2020年(令和2年)時点の約7割,8,700万人まで減少するという将来推計を公表しました。

本市の人口は,1980年(昭和55年)をピークに毎年3千人以上の減少を続け,2021年(令和3年)には,約50年ぶりに25万人を下回り,人口減少によるまちの衰退が懸念されます。

 

この厳しい局面を乗り越えていくため,人口減少対策に総力を挙げて取り組まなければなりません。私が本部長となる「人口減少対策本部」を設置し,総合的かつ効果的に対策を進めてまいります。

こうした体制のもと,地元企業の活性化に向けた取り組みの推進はもとより,本市での起業を全面的に応援する体制づくりや高等教育機関が充実している利点などを生かした企業誘致のさらなる推進など,魅力ある雇用や仕事の創出に力を注ぎ,活気あふれるまちの再生に取り組んでまいります。

また,これからの時代を担う子どもたちの未来を守り,自分らしく生き生きと,健康な身体と豊かな心を育むことができるよう,成長段階に応じたきめ細かな支援を行うなど,地域で子どもを安心して育てていくことができる環境の整備を進めてまいります。

 

人口減少は,本市だけではなく道南圏域においても大きな課題であります。本市が道南地域の,そして北海道の中核都市として,将来にわたって発展していくよう,生活圏域を構成する近隣自治体をはじめ,北海道や国,関係機関と手を携え,協力しあいながら,取り組むべき施策を着実に進めてまいります。

   

2 主要施策の推進

 

次に,主な施策についてご説明申しあげます。

 

(1) 子どもたちの未来を守ります

 

1点目は,子どもたちの未来を守ることです。

 

我が国では,子どもの人口が42年連続で減少し続けるなど,加速度的に少子化が進行しており,次元の異なる少子化対策の実現に向け,政府により,政策の案が公表されたところです。

本市においては,令和4年(2022年)に生まれた子どもの数が1,083人と過去最低となり,全道,全国と比較しても出生率が低い傾向が続くなか,地域全体で将来を担う子どもを育むことが重要であり,このまちで子どもを生み育てたいと思える環境づくりが急務です。

このため,子どもの成長段階に応じた切れ目のない継続的なサポートに努めるとともに,必要な時に必要な支援が提供できる仕組みづくりなど,さまざまな施策を総合的に展開してまいります。

 

子育て世帯の経済的な負担を軽減し,子どもを持ちたいと望む方がその希望をかなえることができるよう,令和6年(2024年)4月から,第2子以降の保育料の完全無償化と小学校に入学した子どもに1人10万円の入学祝金の支給を行うための準備に着手するほか,学童保育における保護者負担のさらなる軽減や私立学校などへの運営助成の拡充を図ります。

 

また,公立はこだて未来大学の授業料無償化の対象拡大について検討を進めてまいります。

 

保育・教育環境のさらなる充実に向けては,保育士不足への対応として新規就労時および継続就労年数に応じた奨励金制度を創設するほか,ヤングケアラーと呼ばれる家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもの実態調査に取り組むとともに関係者の理解を深めるためのシンポジウムを開催し,そのような子どもを早期に発見し,適切な支援を行ってまいります。

 

(2) 医療,福祉,暮らしを支えます

 

2点目は,医療,福祉,暮らしを支えることです。

 

あらゆる世代の市民が,安全で暮らしやすい環境を享受でき,心身ともに健康で豊かな暮らしを送り続けることができるまちづくりを進めるため,医療や福祉サービス,地域コミュニティの充実は欠かせないものであります。 

 

少子高齢化の進行による全国的な在宅医療の需要の増加や医療の高度化・複雑化の進展などにより,今後,看護職や介護職の確保がより一層の課題となることが見込まれます。このため,幅広い知識と高度な技術を持つ看護師等を地域で養成するための看護系大学等の設置可能性について,調査・検討してまいります。

また,不足する介護人材の確保・定着に向け,介護職員の新規就労時および継続就労年数に応じた奨励金制度を創設するほか,市民の介護への理解促進やイメージの向上などに取り組む団体に対して新たに支援を行います。

さらに,地域の医療体制維持のため,設置から50年近く経過し,施設や設備の老朽化が進んでいる南茅部病院について,地域の実情等を踏まえながら,新築整備に向けた計画を策定します。

 

健康の維持・増進については,はこだて健幸アプリを活用した市民参加型のイベントを通じて生活習慣改善への意識の醸成を図るなど「健康寿命日本一」を目指した取り組みを進めるとともに,新たに40歳を対象としたがん検診の無料クーポンを発行し,受診率が低い傾向にある若い世代のがん検診の受診を促します。また,医療用ウィッグの購入を支援し,がん患者のケアを行います。

 

町会は,身近なコミュニティであり,誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくために重要な役割を果たしております。町会運営の負担を軽減し,持続可能な運営へと転換していくため,デジタル化に対して支援するとともに,若者の参加促進など,町会活動を活性化していくための新たな取り組みについて検討してまいります。

 

社会全体の急速なデジタル化への対応では,市民サービスの向上を図るため,さまざまな手続きのオンライン化を一層進めるとともに,この5月に市が設置した,IT関係に精通した有識者等で組織する「函館市デジタル化推進協議会」の意見を踏まえながら,地域全体のデジタル化を推進してまいります。

 

生活環境の維持・向上については,燃油高騰の影響などを受け,厳しい経営環境にある小規模公衆浴場に対する支援の拡充や廃業を予定している湯川団地内の浴場を市の施設として運営を継続することにより,市民の入浴環境を確保するほか,飼い主のいない猫を増やさないための取り組みである地域猫活動の支援を行ってまいります。

高齢者が安心して暮らすことができ,社会参加しやすい環境を整えるため,全国で多発する特殊詐欺被害を防ぐ機器の購入を支援するほか,高齢者の外出を支援する交通料金助成の拡充に向けて検討を進めます。

 

また,性別や障がいの有無,国籍などに関係なく違いを認め合い,誰も排除されない地域社会の推進に向け,引き続き性の多様性に関する市民理解の促進に取り組むとともに,すべての人が多様性を認め合いながらファッションを自由に楽しむことができるイベントを開催するなど,インクルージョンの理念を共有してまいります。

 

障がい保健福祉については,新たな障がい福祉計画の策定に取り組むとともに,手話言語条例や障害者コミュニケーション支援条例の制定について検討し,障がいのある方の社会参加と市民理解の促進を図ってまいります。

 

女性活躍推進法が2016年(平成28年)4月に全面施行となって以来,希望するすべての女性が個性や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指し,官民挙げてさまざまな取り組みが進められているところであり,本市においても,昨年度中間見直しを行った「第3次函館市男女共同参画基本計画」に基づく各種施策を進めているところでありますが,今後,次期計画の策定に向け,市民の男女共同参画に関する意識や現状,女性の社会活動等に関する実態把握に努めてまいります。

また,幅広い年代やさまざまな立場の女性からの意見を市政に反映させるため,女性の視点からの意見を直接お聴きする場を設けてまいります。 

 

近年,我が国における自然災害は増加傾向にあり,本市においても昨年8月の大雨による浸水等の被害は記憶に新しいところです。

予測することが困難な自然災害から,市民の生命と財産を守るため,初動対応をより迅速かつ的確に行うための体制整備に取り組むほか,災害時に自ら避難することが困難な方を支援するため,避難行動要支援者について個別避難計画の作成を進めます。

 

また,少子高齢化の進行や人口減少に伴い,適切な管理がなされずに放置される空家が増えることで,地域の景観を著しく損なうだけではなく,住民が倒壊などの危険にさらされる恐れがあることから,管理不全な空家の実態調査を行い,空家の解消に向けた取り組みを進めてまいります。

 

(3) 経済・観光を再生します

 

3点目は,経済と観光の再生です。

 

3年以上もの長きに渡るコロナ禍は,地域経済に深刻な影響を及ぼし続け,事業活動の縮小を余儀なくされてきましたが,このゴールデンウィークには市内の多くの観光名所が賑わうなど,地域経済の回復に向けて着実に歩みを進めております。

しかしながら,少子高齢化の進行や若者の転出超過などによって市内の多くの業種で労働力不足の常態化が課題となっており,今後,継続的に地域経済を発展させていくためには,限られた経営資源を最大限に活用し,生産性の向上を図るとともに,本市のブランド力を一層強化することで,地元の若者や移住を検討する方に選ばれるまちにならなければなりません。

 

本市の基幹産業のひとつである漁業の振興のため,気候変動に伴う海洋環境の変化などにより資源が減少している天然コンブの資源回復に向けた漁場の整備に取り組むとともに,生育不良のウニの蓄養試験を進め,つくり育てる漁業を推進してまいります。

農業では,耕作されていない農地の解消と雇用機会の創出のため,新たに農業法人の参入を支援します。

市内の企業の活性化については,インターネット上で商品を売買することができるウェブサイトを開設する食品関連事業者に対して支援するほか,市内の企業などに就職する若者の奨学金の返還を支援することで市内での就職を促し,本市の産業を担う人材の確保および定着を図ります。

 

企業立地の促進については,高等教育機関が充実し,広域交通の要衝である利点を生かし,本市に地方拠点の開設を検討する企業の支援を行うとともに,本市でのサテライトオフィスの開設を促進するため,新たに開設する際の設備投資および市外企業が入居できる施設の整備に対する補助制度を設けます。

 

また,本市における水産・海洋に関する学術研究の充実を図るため,令和8年(2026年)に就航予定である,日本初の砕氷機能を有する北極域研究船の函館港への寄港の誘致に取り組みます。

 

ゼロカーボンシティの実現に向けては,新エネルギーシステム等の導入に対する支援を拡充するほか,家庭における省エネルギー性能の高い家電への買い換えを促すなど,温室効果ガスの排出を削減する取り組みを加速してまいります。

ふるさと納税については,100億円を目指すという目標に向かって皆様とアイディアを持ち寄り,返礼品のさらなる充実を図るとともにプロモーションを強化し,本市への応援の輪をさらに広げていくことができるよう取り組んでまいります。

 

古くから北海道の玄関口として栄えてきた歴史を有し,現在においても陸・海・空の多様なアクセスルートをもつ本市は,利便性の高さにおいて全国屈指のまちであります。そして観光地としての知名度の高さは誰もが知るところであり,民間調査では,まちの魅力度について毎年高い評価をいただいております。

これらの優位性をさらに高め,生かしていくため,観光に関する新たな計画を策定するとともに,官民の幅広い連携により観光地域づくりを推進する法人の設立に向けた検討を行うなど,国内外,どの年代の方にもまた来たいと感じてもらえるまちづくりを進め,国際観光都市としての競争力を一層高めてまいります。

本年5月12日に本市と台湾を結ぶ定期便が再開し,7月からは週に5往復の運航となる予定でありますが,アジアの航空会社に対するプロモーションを行うなど,国内外からのさらなる新規路線の就航に向けて取り組みを進めるほか,欧米からの観光客のニーズについて調査するなど,アジアからのインバウンド回復のみならず欧米での需要拡大に向けて取り組んでまいります。

また,北関東・東北地方と連携し,外国人観光客に東京から足を運んでいただけるような取り組みについて検討してまいります。

さらに,世界遺産としての価値を広く伝えていく拠点となる世界遺産センターを誘致するなど世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の魅力を広く全国・世界へと発信するほか,地域おこし協力隊制度を活用し,地域ブランドの創出や積極的な情報発信に努めてまいります。 

 

地域経済の再生に向けて総力を挙げて取り組まなければならない今こそ,本市や道南地域全体の持続的発展に必要なことを,大局的な観点に立って議論すべき時です。

私は,そのひとつとして,地域再生の起爆剤となり得る新幹線の函館駅乗り入れに関する調査の実施を掲げました。整備費や課題などについての調査・検討を行い,その情報を議会や市民の皆様と共有し,議論を深めてまいりたいと考えております。

 

(4) 文化・スポーツ振興で未来を育みます

 

4点目は,文化・スポーツ振興で未来を育むことです。

 

文化やスポーツは,私たちの心に多くの喜びや感動を与え,人生に潤いをもたらしてくれるものです。

市民がこのまちで感性を磨き,多くの夢を語り,地域に愛着を持ちながら人生を豊かなものにしていくことができるよう,文化活動に気軽に参加できる環境の実現に向けて検討を進めるとともに,本市を代表する史跡のひとつであり,令和6年(2024年)に築造160周年を迎える特別史跡五稜郭跡の価値をより深く理解していただくよう,機運を醸成してまいります。

 

また,本市の歴史や多様な文化を総合的に学ぶことができる(仮称)総合ミュージアムの整備に向け,関係者などから広く意見を聴くための検討会を設置します。

 

このほか,文化芸術活動団体に対する補助制度を新たに設け,支援を強化することで,市民の主体的な活動の促進を図ってまいります。

 

先日開催された函館マラソンには,全国47都道府県のほか国外からのランナーも含め,多くの方にご参加いただきました。本市には,函館アリーナをはじめとして,地方での主要な大会の開催にも対応する陸上競技場やフットボールパークなど,さまざまな競技や規模に対応可能な施設が集積し,心身を整える温泉や新鮮な地元食材を提供する宿泊施設も多くあります。これらの長所を最大限に生かし,これまで以上に大会や合宿の開催誘致を推進します。

 

また,令和6年(2024年)に,国内で初めての世界大会が本市で開催されるモルックのほか,スケートボードやスポーツクライミングといったアーバンスポーツ等について関係者からご意見をいただきながら,その普及・振興に向けた取り組みを検討してまいります。

 

 

3 むすび

 

函館には,先人たちがこれまで長い年月をかけて情熱を注ぎ,築き上げてきた世界に誇れる宝が数多くあります。そして,新たな価値を見いだし,磨きあげていくのは私たちです。

私は,市民の皆様の目線に立ち,まちの声,小さな声に耳を傾けながら,眠っている地域の魅力を全て集めてまいります。

そうして集めたたくさんの宝を一つひとつ大切に育てていくことで,それぞれの分野でより輝きが増し,それが多くの人の心をひきつけ,まちのステータスが高まっていく。世界が目を離せないまち,地域に自信と誇りを持てるまちを市民の皆様とともにつくりあげてまいります。

 

函館のまちがもつ潜在力を現実の力に変え,市民一人ひとりが希望を持てるまちに向かって未来への扉をともに開いていく。そのような気概をもってまちづくりに全力を尽くしてまいります。

 

市議会ならびに市民の皆様のご理解とご協力を,心からお願い申しあげます。

 

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