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平成29年度教育行政執行方針

公開日 2017年02月23日

更新日 2021年12月14日

 

  平成29年度教育行政執行方針

 

 

1

 

豊かな人生を支援する生涯学習の充実

       
 

2

 

子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進

       
 

 

 

 

 

 平成29年度の教育行政執行につきまして,函館市教育委員会の基本方針を申し述べます。

 急速な人口減少や少子高齢化,高度情報化の進展など,社会情勢が大きく変化するなかで,市民一人ひとりが主体的に社会に関わり,活力ある地域社会を創り出していくことが求められております。 

 そのためには,郷土の歴史や文化を誇りに思い,自らが,本市の将来を築きあげていくという主体性とともに,他者と協働しながら,新たな価値を創造していく柔軟性を持ち地域の発展を支える人材の育成が重要であります。

 こうしたなか,本年が最終年となります「函館市義務教育基本計画」の検証を進めるとともに,今後の教育の指針となります「函館市教育振興基本計画」の策定を進め,教育施策の総合的・計画的な推進を図ってまいります。

 また,価値観やライフスタイルの多様化に対応しつつ,市民が生涯を通じて積極的に学び,自己実現が図られ,生きがいを感じられるような生涯学習の充実に努めてまいります。

 さらに,子どもの社会性や規範意識の低下,生活習慣におけるさまざまな課題が指摘されるなか,社会的自立の基礎を培うことができるよう,「心豊かに学び,共に未来のふるさとを拓く子どもをはぐくむ」という本市教育の基本理念の実現を目指し,知・徳・体をバランスよく育むための学校教育の推進に努めてまいります。

 以下,教育委員会として2つの重点目標を掲げ,取り組みを進めてまいります。


 第一は,豊かな人生を支援する生涯学習の充実です。

 市民一人ひとりが,地域の歴史や文化を尊重し,自ら,生涯にわたり,さまざまな学習活動に積極的に参画し,豊かな感性や地域を愛する心を育み,その学びの成果を生かすことができる,心豊かで活力あふれるまちづくりを進めることが大切であります。

 このため,生涯学習に対する市民ニーズを的確に捉え,関係団体等と連携を深めながら,市民の主体的な学習活動を支援するとともに,市民が文化・スポーツ活動を行うための社会教育施設の整備など,学習環境の充実に努めてまいります。

 また,先人が築きあげた,郷土が誇る貴重な文化遺産の保存・活用に努めます。


 第二は,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進です。

 学校教育におきましては,変化が著しい社会において,新しい時代を生き抜くために,必要な資質・能力を確実に育むとともに,人口減少が進むなか,地域に貢献できる人材の育成が求められており,地域に学び,地域に愛着と誇りを持てる学校教育の実現が必要です。

 そうしたなかで,学校には,子どもたちがどのような社会においても自立し,豊かな人生を送ることができるよう,質の高い学びを実現し,成長を促すとともに,地域社会の担い手となる人材を育成する役割が求められています。

 そのためには,すべての子どもが安心して通学でき,地域に開かれ,地域や保護者から信頼される学校であることが大切であり,安定した学校運営や子ども一人ひとりの可能性をより一層伸ばすため,教育委員会として学校を支援する体制や研修の充実に努めます。


 こうした重点目標のもと,教育委員会として取り組む主な施策について申し上げます。

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1 豊かな人生を支援する生涯学習の充実

 一点目は,豊かな人生を支援する生涯学習の充実のための施策です。

 行政や市内の民間団体,高等教育機関等で実施しているさまざまな講座などの学習情報を提供し,市民の生涯学習活動を支援する「まなびっと広場」や,高齢者が楽しみながら知識や教養を身につけ,仲間づくりを通して,生きがいのある生活を実現できる学習の場の充実を図るなど,市民の生涯学習活動を支援します。

 文化芸術の振興につきましては,次代を担う人材の育成が重要であることから,小・中学校に芸術家を派遣し,子どもたちに,文化芸術のすばらしさや楽しさを体感してもらう「文化芸術アウトリーチ事業」を実施するとともに,官民の施設を開放し,地域の文化活動等を発信する「はこだてカルチャーナイト」や「はこだて国際民俗芸術祭」,「イカール国際ミュージックキャンプ」など,市民の自主的・創造的な文化活動を支援します。

 また,函館市文化団体協議会や各種団体との連携を深め,地域に根ざした文化芸術の振興を図るほか,函館市民会館の耐震等改修工事の実施設計に引き続き取り組むとともに,亀田地区統合施設の新築工事に向けた実施設計を行います。

 文化財につきましては,史跡垣ノ島遺跡の公開に向けた整備に着手するとともに,特別史跡五稜郭跡の堀の石垣改修を実施するほか,重要文化財函館ハリストス正教会復活聖堂の耐震診断費用を助成します。

 また,史跡大船遺跡と史跡垣ノ島遺跡などで構成される,北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて,北海道をはじめとした関係自治体や地元関係団体と連携した取り組みを一層進めてまいります。

 さらには,縄文遺跡を有する自治体で組織される,縄文都市連絡協議会が主催する縄文シティサミットを,本年11月に本市で開催します。

 博物館におきましては,学術的に貴重な資料群として評価されている「能登川コレクション」を紹介する企画展を開催します。

 また,引き続き,大学などと連携して新しい展示企画・情報発信に取り組むほか,博物館や図書館に所蔵する貴重な資料をデジタル化して保存・公開する「デジタルアーカイブ事業」を実施します。

 スポーツ振興につきましては,函館アリーナや函館フットボールパークなどの既存施設を効果的に活用し,各種競技力の向上や生涯スポーツの振興に努めるほか,競技環境の向上を図るため,函館フットボールパークに設置しているクレーサッカーグラウンドを天然芝生化するなど,さらなる施設整備に取り組み,スポーツ合宿や大会の誘致をより一層推し進めます。

 また,函館市体育協会や各種スポーツ団体,函館市文化・スポーツ振興財団と連携を図り,各種競技大会や野球,バスケットボールなどのプロスポーツ公式戦を開催し,市民のスポーツへの関心を高めるとともに,第2回となる「函館マラソン」の本年7月の開催に向けて,引き続き関係団体と連携を深め,大会のさらなる充実を目指すほか,スポーツの推進に関する総合的な計画を策定します。 

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2 子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進

 二点目は,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進のための施策です。

 信頼される学校づくりにつきましては,地域住民と協働しながら,子どもの豊かな成長を支え,地域とともにある学校づくりを進める仕組みであるコミュニティ・スクールの全市における本格導入に向けた取り組みを進めてまいります。

 また,特別支援教育支援員や小学校外国語活動サポーター,中学校の部活動指導員など,引き続き,地域人材の活用に努めてまいります。

 学力向上につきましては,アフタースクールを拡充するとともに,次期学習指導要領において導入される,主体的で対話的な深い学びである「アクティブ・ラーニング」の実践が,各学校にさらに広く浸透するよう推進してまいります。

 また,中学校においては,引き続き,免許外指導の改善を図るための非常勤講師を配置するとともに,小学校において,新たに算数科の少人数指導充実のための非常勤講師を配置し,より質の高い授業を目指します。

 豊かな心の育成につきましては,子どもの望ましい人格形成のために,組織的な生徒指導体制の充実を図るほか,規範意識や自尊感情,他者への思いやりなどを培うことができるよう,道徳教育の充実を図るとともに,指導資料の活用や研修などにより,支持的風土のある学級づくりの実現に向けた取り組みを進めます。

 いじめ問題につきましては,「函館市いじめ防止基本方針」に基づき,学校,家庭,地域社会,関係機関と緊密に連携しながら,いじめの未然防止,早期発見および迅速な対応を図ってまいります。

 また,いじめや不登校に対する相談員を増員し,学校の教育相談体制の一層の充実を図ります。

 健やかな体の育成につきましては,本市の子どもの生活習慣にかかる課題解決に向けて,PTAや関係団体などと連携した取り組みを推進するとともに,体育の授業や校内での運動環境づくりの工夫など,日常的な運動習慣の形成に努めます。

 南北海道教育センターにおきましては,学習指導や生徒指導に関する研修の充実はもとより,次期学習指導要領の実施も見据え,教職員の資質・能力の一層の向上を目指し,今日的教育課題に対応した研修を実施するほか,研究員による実践的な教育研究を推進します。

 また,特別支援教育につきましては,複雑化・多様化する子どもや保護者のニーズに対応するため,特別支援教育巡回指導員や特別支援教育支援員を効果的に活用するとともに,サポートチームの派遣による各学校への具体的な助言や専門機関との緊密な連携により,支援の充実に努めます。

 さらに,発達に関する問題や不登校などに適切に対応するため,保護者や子どもの心に寄り添った教育相談の一層の充実を図るとともに,適応指導教室などにおいて,基礎学力の定着や情緒の安定を図る支援に努めます。

 学校給食につきましては,「函館市学校給食基本方針」を踏まえ,より安全で安心な給食を提供するとともに,郷土の食材や食文化への関心を高めるため,函館産農水産物の使用拡大に努めます。

 このほか,函館市学校給食会については,平成30年度の一般財団法人への移行に向けた準備を進めます。

 また,学校保健につきましては,効果的なむし歯予防対策の取り組みとして,フッ化物洗口を小学校3校において実施します。

 子どもの安全確保につきましては,函館市通学路安全対策会議と連携し,より一層登下校の安全確保に努めるとともに,学校再編による統合後の通学路に関しても,安全対策を進めます。

 また,防犯教室や災害を想定した訓練など,地域社会,家庭との連携を図った学校安全の取り組みを推進します。

 国際理解教育につきましては,「中学生海外派遣事業」において,姉妹都市提携20周年記念事業としてユジノサハリンスク市への派遣を行うほか,高校生の海外留学事業を実施します。

 小・中学校の再編につきましては,本年4月には戸倉中学校と亀尾中学校を統合するほか,平成30年度開校の巴中学校の校舎新築工事などを進めるとともに,西中学校・潮見中学校・宇賀の浦中学校の統合校につきましても,改修工事を進めます。

 また,子どもたちにとって,より望ましい教育環境の確保という観点から,学校再編の取り組みを推進してまいります。

 さらに,耐震化につきましては,戸倉中学校の屋内運動場の改築や亀田小学校校舎の改修に向けた実施設計に着手します。

 市立函館高校につきましては,進学重視型単位制高校として,一人ひとりの進路実現を目指す,キャリア教育を含む教育活動のさらなる充実を図るとともに,地域探究型学習「函館学」を推進するなど,創意ある教育課程を編成し,魅力ある高校づくりを進めます。


 以上,平成29年度の教育行政執行にあたっての基本方針を申し述べました。

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 人口減少や少子高齢化が進展するなかで,持続可能なまちづくりを進めるためには,生涯にわたって他者と絆を結び,さまざまな困難を乗り越えながら,夢と志の実現のために挑戦し,活力ある社会づくりに貢献していく人材を育成することが一層重要になります。

 また,そうした市民一人ひとりの力を高めるためには,学校教育はもとより,生涯を通じて学び,さまざまな課題を協働して解決する経験の積み重ねが地域を支える人づくりに不可欠であり,教育の果たす役割は極めて重要であります。

 教育委員会といたしましては,社会の要請や時代の変化に柔軟かつ真摯に対応するとともに,郷土に愛着と誇りをもち,本市の魅力をさらに高めることができる人材の育成を目指し,今後とも,市民と連携・協働する教育行政の積極的な推進に努めてまいります。

 ご理解とご協力をお願いいたします。

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