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平成27年度教育行政執行方針

公開日 2015年06月19日

更新日 2021年12月14日

 

  平成27年度教育行政執行方針

 

 

1

 

豊かな人生を支援する生涯学習の充実

       
 

2

 

子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進

       
 

3

 

未来を拓く教育施設の整備

 

 平成27年度の教育行政執行につきまして,函館市教育委員会の基本方針を申し述べます。

 少子高齢化やグローバル化,ICT社会の進展,価値観の多様化など,社会が大きく変化をするなか,市民一人ひとりがそれぞれの力を発揮し,心豊かに相互に支え合う自立性の高い地域づくりを進めるためには,柔軟かつ積極的な教育行政の推進が重要であります。  

 こうした中,今年度から新たな教育委員会制度がスタートし,本市においても,市長と教育委員会が重要施策などについて協議・調整する「総合教育会議」が設置されるなど,新たな制度のもと,これまで以上に,市民ニーズを踏まえ,地域社会の未来を見据えた教育行政の推進が求められております。

 こうしたことから,全ての市民が,これまで函館に息づいてきた学びの伝統を大切に受け継ぎ,生き生きと磨き合い高め合う生涯学習の推進に努めるとともに,それら学びの成果を,コミュニティや暮らしの中に生かすことが,市民一人ひとりの生きがいとなるような,温もりのある地域社会を実現する教育を
進めてまいります。

 また,学力向上やいじめの解消などのさまざまな課題の解決に向けて,「心豊かに学び,共に未来のふるさとを拓く子どもをはぐくむ」という「函館市義務教育基本計画」の基本理念のもと,学校間の連携,家庭や地域との連携を緊密に図った,「対話」と「協働」を基調とした学校教育の推進に努めてまいります。

 以下,教育委員会として3つの重点目標を掲げ,取り組みを進めてまいります。


 第一は,豊かな人生を支援する生涯学習の充実です。

 市民一人ひとりが,ふるさとの歴史や文化を尊重し,生涯にわたりさまざまな学習活動を通じて自らを高めるとともに,その成果を生かすことのできる,心豊かな活力ある地域社会の実現を目指すことが大切であります。

 このため,文化芸術・スポーツ活動を通じて,心身ともに健康で潤いのある生活を送ることができるよう,関係団体等と連携を深めながら,さまざまな生涯学習事業の実施や学習情報を提供するなど,市民の主体的な学習活動を支援するとともに,市民の大切な財産である貴重な文化遺産の保存・活用に努めます。


 第二は,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進です。

 学校教育におきましては,これからのグローバル社会をたくましく生き抜く子どもの育成を目指し,主体的に深く学ぶ学習を通じて,確かな学力のより一層確実な定着を図るとともに,人間尊重の精神や自他の生命を大切にする心のほか,多様性の尊重や他者と積極的にコミュニケーションを図る態度など,豊かな心の育成,また,豊かな人生を送るための基盤である健やかな体の育成など,知・徳・体の調和のとれた自立した人づくりを目指した質の高い教育の推進が求められております。

  このため,「函館市義務教育基本計画」の実現を目指し,「粘り強さを育む組織的な学習指導の改善・充実」,「組織的な支援を目指した特別支援教育の改善・充実」,「支持的風土を築く学年・学級経営の改善・充実」,「今日的な教育課題の解決を図る取組の改善・充実」の4点を重点指導事項とし,より一層効果的な取り組みを進め,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進に努めます。


 第三は,未来を拓く教育施設の整備です。

 市民の学びに対するニーズが多様化・高度化する中で,生涯を通して学ぶことのできる環境の充実は,極めて重要です。

 このため,市民が生涯にわたり文化・スポーツ活動を行うことができる拠点として,さらには地域の活性化や振興に寄与する施設について,その整備を進めます。

 また,子どもたちの安全で快適な教育環境を確保するため,学校施設の耐震化など施設環境の改善に努めます。

  こうした重点目標のもと,教育委員会として取り組む主な施策について申し上げます。

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1 豊かな人生を支援する生涯学習の充実

 一点目は,豊かな人生を支援する生涯学習の充実のための施策です。 

 行政や民間団体,高等教育機関等で実施しているさまざまな学習情報を提供し,市民の学習活動を支援する「まなびっと広場」や,学習活動の担い手を取りまとめた「生涯学習リーダーバンク」の普及・拡大に努めるとともに,高齢者を対象とした事業につきましては,より多くの市民が参加できるよう見直し,学習の成果や経験を生かした活動ができるよう支援します。

  文化芸術の振興につきましては,小・中学校に芸術家を派遣する「文化芸術アウトリーチ事業」の拡充を図るとともに,「イカール国際ミュージックキャンプ」や「はこだて国際民俗芸術祭」など,市民の自主的・創造的な文化芸術活動の支援に努めます。

 また,函館市文化団体協議会や各種団体との連携により,地域に根ざした文化芸術の振興を図ります。

 文化芸術の振興につきましては,小・中学校に芸術家を派遣する「文化芸術アウトリーチ事業」の拡充を図るとともに,「イカール 国際ミュージックキャンプ」や「はこだて国際民俗芸術祭」など,市民の自主的・創造的な文化芸術活動の支援に努めます。

 また,函館市文化団体協議会や各種団体との連携により,地域に根ざした文化芸術の振興を図ります。

 文化財につきましては,特別史跡五稜郭跡の崩落した石垣を復旧するほか,重要文化財旧函館区公会堂の耐震補強を含む大規模保存修理に向けた保存活用計画の策定に着手します。

 また,史跡大船遺跡と史跡垣ノ島遺跡などからなる北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて,引き続き北海道や東北各県,地元関係者と連携した取り組みを進めるとともに,史跡垣ノ島遺跡の整備に向けた基本計画の策定および発掘調査を実施します。

  博物館におきましては,明治8年に締結された千島樺太交換条約の締結過程で収集された,千島やカムチャッカの先住民族関連資料を活用して,アイヌ民族やその文化を紹介する特別展を開催するなど,市民や観光客のニーズに応える事業を実施するほか,大学などと連携して新しい展示企画・情報発信に取り組みます。

 また,引き続き博物館や図書館に所蔵する貴重な資料をデジタル化して保存・公開する「デジタルアーカイブ事業」に取り組みます。

 スポーツ振興につきましては,既存施設はもとより本年8月にオープン予定の「函館アリーナ」や「函館フットボールパーク」を活用し,各種競技力の向上や生涯スポーツの振興に努めるほか,スポーツ合宿や大会の積極的な誘致をさらに推し進めます。

  また,函館市体育協会や各種スポーツ団体,函館市文化・スポーツ振興財団と連携し,各種競技大会やプロ野球公式戦を開催し,市民のスポーツへの関心を高めるとともに,2016年6月のフルマラソン大会の開催に向けて,引き続き関係団体と連携を深め大会の成功を目指します。

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2 子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進

 二点目は,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進のための施策です。

 信頼される学校づくりにつきましては,学校評議員制度や学校評価を生かした学校経営改善を図るため,学校の情報を積極的に紹介するとともに,特別支援教育支援員や小学校外国語活動サポーターなど,地域人材を積極的に活用し,地域と一体となった教育活動の推進に努めます。

 学力向上につきましては,アフタースクールへの支援を進めるとともに,本市が独自に実施している標準学力検査や全国学力・学習状況調査の分析結果を踏まえ,子どもの思考力や判断力などを育てる「探究型」の授業を推進します。

 また,小・中学校の連携を深め,子どもの望ましい生活・学習習慣の形成を図ってまいります。

 さらに,学校を指定し,函館の子どもや地域性などを踏まえた実践的な研究に取り組むほか,学力の定着を確かなものにするため,ICT機器の活用に向けた取り組みを進めます。

 南北海道教育センターにおきましては,教職員の資質・指導力の向上を目指し,今日的な教育課題を踏まえた教職員研修を実施するとともに,研究員による実践的な教育研究を推進します。

 また,本市の一人ひとりの子どもの豊かな成長のため,共感的な教育相談に取り組みます。

 豊かな心の育成につきましては,自己指導能力の育成を目指し,子どもが個性やよさを発揮できるよう支持的風土を築く学級経営に努めるとともに,道徳の教科化を踏まえた道徳教育を推進します。

 いじめ問題や不登校への対応につきましては,適応指導教室などにおける学習や集団適応などの支援に努めるとともに,全ての教職員が教育相談の知識や技法を身に付けられるよう,各種研修会の内容を充実します。

 また,巡回相談員や指導主事による教育相談を進めるとともに,いじめ等対策委員会による実態把握のほか,いじめの未然防止を目指した子どもたちの自主的・主体的な活動への支援,また,市民に対して啓発する集会等を実施するなど,いじめ撲滅に向けた取り組みを進めてまいります。

 特別支援教育につきましては,子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な支援を行うため,特別支援教育支援員の配置を拡充し,学校体制の充実を図ります。

 また,本市の特別支援教育の在り方を協議する「函館市特別支援教育推進協議会」を創設するほか,就学指導委員会の機能を見直し,一貫した支援を行うため,名称を「函館市教育支援委員会」と改称するなど,新たな支援体制をスタートさせます。

 健やかな体の育成につきましては,「早寝・早起き・朝ごはん」などの基本的な生活習慣を定着させるため,PTA活動などと連携し,重点的に取り組むとともに,運動の日常化に向けて,学校における体育の授業の工夫改善を図るほか,性や薬物に関する指導の充実に努めます。

 学校給食につきましては,「函館市学校給食基本方針」を踏まえ,和食給食を進めるとともに,函館産農水産物の使用の一層の拡充を図ります。

 また,食物アレルギー対策につきましては,子どもが安心して給食が食べられるよう,保護者や関係機関との連携を図るとともに,学校が適切に対応できるよう教職員研修を実施するなど,対策マニュアルに沿った取り組みを進めます。

 子どもの安全確保につきましては,函館市通学路安全対策会議の機能を充実させ,より一層登下校の安全確保に努めるとともに,防犯教室や災害を想定した訓練など,地域社会,家庭との連携を図った学校安全を推進します。

 また,インターネットやスマートフォンを通じたさまざまなトラブルの実態や子どもの情報端末の利用状況などを踏まえ,発達の段階に応じた情報モラルの育成を図るとともに,教職員はもとより保護者と子どもが共に情報活用能力を身に付けられるよう学習機会の充実に努めます。

 国際理解教育につきましては,姉妹都市である高陽(コヤン)市を訪問する「中学生海外派遣事業」を引き続き実施するほか,英語教育の充実を目指し,外国人英語指導助手や小学校外国語活動サポーターの効果的な活用に努めます。

 小・中学校の再編につきましては,子どもたちにとってより望ましい教育環境の提供という観点から,「函館市立小・中学校再編計画」に基づいた取り組みを引き続き推進してまいります。

 市立函館高校につきましては,進学を重視した単位制の充実により,一人ひとりの進路目標を実現する教育活動を進めるほか,学校運営の在り方について検討を進めます。

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3 未来を拓く教育施設の整備

 三点目は,未来を拓く教育施設の整備のための施策です。

 社会教育施設につきましては,市民会館の耐震改修に向けた調査を行うほか,地域住民の生涯学習活動やコミュニティ活動の総合的な拠点施設として新たに戸井西部総合センターの整備に着手します。

 また,スポーツ活動に加え大規模なコンベンションの開催機能を備えた函館アリーナとサッカーやラグビーなどの全国大会などにも対応できる函館フットボールパークの整備を完了させるとともに,施設の活用を積極的に進めます。

 学校施設につきましては,子どもたちの安全を確保するため,耐震診断の結果に基づき,耐震化を早期に進めるほか,第1期中学校の再編に伴い,統合校が設置される現在の的場中学校の建て替えや平成28年4月の開校をめざす現在の桐花中学校の改修など,施設整備に向けた取り組みを進めます。

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 以上,平成27年度の教育行政執行にあたっての基本方針を申し述べました。
 
 現在,新たな教育委員会制度がスタートしたほか,国においては,新しい時代を創造する教育の在り方について,積極的に協議が進められています。

 教育委員会といたしましては,このような社会の要請や時代の変化に柔軟かつ真摯に対応しながら,教育の本質を踏まえた着実な取り組みを重ねてまいりたいと考えております。

 また,本市に受け継がれてきた伝統や文化を継承し,新しい時代に引き継いでいくとともに,だれもが学ぶ喜びを実感できる学習機会を充実することが大切であります。

 市民一人ひとりが生き生きと学び続け,豊かな人生を送ることのできる環境整備の実現と,未来を担う子どもたちの健やかな成長のため,今後とも,市民と協働する教育行政の積極的な推進に努めてまいります。

 ご理解とご協力をお願いいたします。

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