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平成23年度市政執行方針ならびに各会計予算説明

公開日 2014年02月20日

更新日 2022年03月04日

平成23年度市政執行方針ならびに各会計予算説明

1 はじめに

2 市政に臨む基本姿勢と重点目標

3 主要施策の推進
   (1) 心豊かな人と文化をはぐくむまち
   (2) 共に支えあい健やかに暮らせるまち
   (3) 快適で安らぎのある住み良いまち
   (4) 環境と共生する美しいまち
   (5) 活力にあふれにぎわいのあるまち
   (6) 主要施策の推進のために

4 むすび

5 各会計予算案の大綱
 

1 はじめに

平成23年第2回市議会定例会の開会にあたり、市政執行につきまして、私の所信を申し述べさせていただきます。

私は、本年4月に行われた市長選挙において、多くの市民の皆様から温かいご支援をいただき、希望の時代へ向かうべく函館市政の新たなる船出の舵取り役を担わせていただくことになりました。

身に余る光栄であり、また、その責任の重さを痛感し、身の引き締まる思いでおります。

1859年、近代日本の幕開けを告げる国際貿易港として開港し、以来、今日まで多くの足跡を残してきた歴史ある函館の市長として、私に寄せられた熱い期待に応えられるよう、「改革と挑戦」をスローガンに、力強い市政の実現に取り組んでまいる決意であります。議員の皆様をはじめ、市民の皆様の一層のお力添えをお願い申しあげます。

さて、近年、新興国が飛躍的な経済成長を遂げる一方で、我が国におきましては、長期にわたる景気低迷や円高基調が続くなかでの輸出環境の悪化、また、安全保障や領土問題、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉への対応、社会保障制度改革などの大きな課題を抱えており、これらの対応を含め、国においては将来を見通した社会経済システムの再構築が求められているものと考えております。

こうした状況にあって、我が国は東日本大震災に見舞われ、東北地方を中心にその被害は想像を絶するものであり、緩やかながら回復基調にあった国内経済への大きな影響が懸念されています。

このたびの震災は、今なお収束をみない福島第一原子力発電所の事故処理対応を含め、私たちに改めて安全で安心して暮らせる生活の大切さを教えるものであります。

被災された皆様に改めて心からお見舞い申しあげますとともに、今後の復興にあたっては、国が責任を持って東北の自治体と連携を図り、国づくり・まちづくりの先進モデルとなるような取り組みを進めていただきたいと考えており、そのなかで私たちもできうる限りの支援に努めてまいりたいと考えております。

本市におきましても、このたびの震災により、函館駅前からベイエリア周辺において、津波による大きな被害を受けたところであります。

被害に遭われた方々の復旧に向けたご努力と多くの市民の温かいご支援により、日常を取り戻しつつありますが、今しばらくは、本市の経済や産業活動においても非常に厳しい局面が続くものと考えております。

私は、市長就任後早々、こうした震災による影響も受けて、厳しさの増す地域の経済状況について各種団体の方々の声をお聞きし、そのうえで私が最優先に取り組むとして掲げた経済再生の考え方や施策について、お話をさせていただいたところであります。

さらに、本市の福祉の充実や教育の振興を図るためにも、市の財政再建を何としても果たさなければなりません。

こうした難局を乗り越えた先に、市民生活の安定があると考えており、明確なまちづくりの目標と将来像を掲げ、これを市民の皆様と共有し、各般にわたる施策を積極的に展開してまいります。

本年5月には、地方自治法の一部改正などが行われたところでありますが、これにより、これまでの義務付け・枠付けの見直しや国と地方の協議の場が設置されることとなり、住民に最も身近な市町村には、自らの責任と判断で地域の実情にあった行政運営を行うことが、これまで以上に求められることとなりました。

私は、このことを今日の人口減少、高齢社会の進行と相まった時代の変革期と捉え、市民自治のさらなる拡充と市財政の健全化を図るとともに、市民の主体性を全面に押し出す行政へと転換し、自立した都市経営を確立する決意であります。

こうした市政の取り組みにより、一年一年まちが進化していく過程が明確に見えるよう最大限の努力を尽くしてまいる所存であります。

2 市政に臨む基本姿勢と重点目標

私は、「活気に満ちて、だれもが幸せに暮らせるまち・函館」を目標に、

○躍動する経済都市・函館

○日本一の福祉都市・函館

○子どもたちと若者の未来を拓くまち・函館

○ガーデンシティ・函館

という、4つの将来像を描きながら、市政運営に取り組んでまいります。

3 主要政策の推進

次に、市政を推進するための主な施策についてご説明申しあげます。

(1) 函館の経済を再生する

一つ目は、函館の経済を再生することです。

我が国は、世界にも類をみない速さで高齢化が進み、地方都市は本市を含め、総じて少子化による人口減少が続いている状況にあります。

今後、地方の著しい人口減少と高齢化のなかで、労働力人口の減少が進み、地域経済の縮小による活力の低下が大きな課題になるものと考えております。

本市におきましても、先行きに不透明感の増している製造業や建設業、後継者不足に悩む農業や漁業、足踏み状態がつづく個人消費の回復を望む商店街、先の大震災により観光入込客数が落ち込んでいる観光業など、まち全体が閉塞感に覆われているものと認識しております。

この強まる閉塞感を打ち破るため、私は新たな発想に基づく経済政策の転換と、それを実行に移していく強い意志を持って市政に臨んでまいります。

そのためにまず、経済に精通した有識者で構成する「経済再生会議」を立ち上げ、効果的な政策づくりを行ってまいります。

また、圏域人口が減少しているなかにあっては、国内外の人々を呼び込み、交流人口の拡大により地域経済の活性化を図っていくことも有効な方法と考えております。

函館は訪れてみたい魅力ある都市として、大きな評価を得ておりますが、この地位を確固たるものとするためにも、首都圏や関西圏、さらには東アジア地域の人々をターゲットにした戦略的な観光施策が必要と考えております。

特に、当函館市議会の決議をいただいておりました、韓国・高陽(コヤン)市との姉妹都市提携につきましては、本年8月に調印式を執り行う運びとなっており、今後の一層の交流の拡大が期待されているところであります。

このほか、観光需要の掘り起こしやコンベンション誘致、地元産品の販路拡大を図るため、首都圏に函館観光物産館を開設するほか、東アジアの主要都市など海外において、観光物産展を継続的に開催し函館ブランドの浸透を図るとともに、海外の旅行エージェントやテレビ局と連携したPRを各種展開してまいります。

また、観光客にとって魅力あるまちとは、市民のいきいきとした活力にあふれ、にぎわいのあるまちでもあります。

特に、函館の顔である駅前・大門地区においては、その再生に向け、駅前の市有地を活用した家族で楽しめる「子どもおもしろ館」の開設やはこだてグリーンプラザの観光名所としての再整備など、デザイン性を重視した、だれもが歩いて楽しめる魅力ある空間の形成に努めてまいります。

あわせて、中心市街地の空きビルを活用したボランティアセンターや高齢者サロンなどの開設を進めてまいります。

これらの取り組みにより、駅前・大門地区を市民はもとより観光客も集い憩う場所として再生し、にぎわいを創出することにより、これに伴う購買や飲食などの消費活動を結びつけた経済効果を生み出し、企業活動や市民活動を活性化してまいりたいと考えております。

こうした取り組みにあたって、関係者の意見や提言をいただきながら、総合的かつ強力に施策を進めていくため、庁内に専任職員を配置し、組織体制の強化を図ったところであります。

また、地域に根ざした市民に身近な各商店街は、日常生活の利便性を支える重要な役割を果たしておりますことから、その活性化を図るため、各商店街の特徴と発想を生かしたイベントの開催など、多様な取り組みを支援する「元気いっぱい商店街等支援交付金制度」を創設します。

さらに、これまで進めてきた「函館国際水産・海洋都市構想」や「函館マリンバイオクラスター形成事業」を推進し、そこから生まれる研究成果を漁業や水産加工業などの地場産業に還元する取り組みを強化するほか、新たな産業づくりとして、歴史的建造物を活用した新進デザイナーの活動の場を提供し、デザイン産業を振興するとともに、本市の景観や町並みなど、まちの魅力を向上させる創造的人材の育成をめざしてまいります。

私は、額に汗して働く人が報われる社会をめざしたいと思っております。

そのためには、人々の生活を支える経済の基盤づくりが大切であることから、観光や農林水産業、食品加工・機械関連・ITなど既存の産業への支援を通じ、産業全体の底上げを図りながら、地域経済の活性化と就業の場の確保・拡大に努めてまいります。

なお、厳しい現下の地域経済や雇用環境は、今後も続くものと見込まれますことから、企業経営の環境改善を図るため、青果物、水産物地方卸売市場の使用料の引き下げや下水道使用料の累進度の緩和を実施するほか、本年度、市の緊急的な財政出動による公共事業の前倒し発注などの景気浮揚対策を講じるとともに、事業の資金繰りに苦しむ中小企業を積極的に支援するための新たな融資制度を創設します。

(2) 函館市の財政を再建する

二つ目は、函館市の財政を再建することです。

本市は、人件費や公債費のほか、扶助費などの義務的経費の割合が高く、硬直化した財政体質から長らく脱却できない状況にあります。

今後も見込まれる社会保障関係費の増こうや多額の地方債残高の償還などを勘案しますと、極めて深刻な財政事情のもとでの市政運営を強いられ、現状のままでは福祉も教育も立ちゆかなくなり、将来世代に大きな負担を残すことにもなりかねません。

本市の脆弱な財政構造を改善していくため、私は、退職手当債などの赤字地方債への依存体質からの脱却を図るほか、財政再建のための集中対策期間を設け、まずは自らの給料の50%カットをはじめ、職員の給与制度の見直しや職員数の削減を進めてまいります。

また、こうした取り組みも含めた実効性ある行財政改革を進めていくため「財政再建推進会議」を設置し、市民目線に立った広範な議論、提言をいただきながら、総合的な行財政改革プランを策定するとともに、不要不急の事務事業の見直しと真に必要な行政サービスの充実を図るため、聖域なき事業仕分けを断行してまいります。


さらに、公共施設の維持管理コストの縮減も大きな課題となっておりますことから、将来の人口動態も見据え、市民の利便性や集客力の向上にも十分配慮しながら、類似した社会教育施設をはじめ、各種会館やセンターなどの公共施設について、廃止も含めた整理統合に早期に着手してまいります。

(3) 日本一の福祉都市をめざす

三つ目は、日本一の福祉都市をめざすことです。

我が国は、人口減少時代に入るとともに、国民の5人に1人が高齢者というかつて経験したことがない社会が到来しており、今後も高齢者が増加する一方で、若者世代の減少が進むと予測されます。

本市においても、全国や全道平均を上回る速さで高齢化が進行してきており、これまで高齢者や障がい者に対する保健・医療・福祉・介護などの各種サービス、学習障がいなど発達障がいのある子どもへの支援、生きがいづくりに向けた社会参加や活躍できる場の提供など、成熟社会に対応した基盤づくりに取り組んできたところであります。

私は、今後、さらに進む高齢化を見据え、本市の築いてきたこれまでの基盤をさらに強化してまいりたいと考えております。

本市の高齢者や障がい者、そしてそれらの方々を支えるご家族に目を向けますと、元気なお年寄りも数多くおられますが、持病や障がいを有し、日常生活に不便を来している方、また、認知症の方を日々、在宅で介護し支えているご家族、さらには障がいのあるお子さんの将来の生活に悩みや不安を抱えるお父さん、お母さんもおられます。

私は、こうした方々が、いきいきと希望を持って安心して暮らすことができるよう、望ましい福祉政策のあり方について有識者の意見をお聞きし、効果的で質の高い福祉サービスの充実を図るほか、地域住民や企業、ボランティアなどの市民の自主的な活動によって共に支え合う社会づくりを推進し、日本一と称される福祉都市をめざしてまいります。

そのため、本年度から新たに在宅の要介護高齢者の生活を支える、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」をモデル事業として実施するほか、認知症の方などを在宅介護されているご家族の負担を軽減するための「介護支援隊」の設置やひとり暮らしの高齢者の安否確認などのため、携帯電話を活用した生活支援サービスの導入などについて検討してまいります。

また、障がいの有無や年齢、性別に関わらず快適に暮らすことができるよう、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたまちづくりを進めるとともに、障がい者の雇用奨励補助金制度の創設を検討するほか、市民のさまざまな問い合わせに迅速に対応するため「市役所コールセンター」を開設するなど、行政の福祉化を図ってまいります。

近年、地域社会における人と人のつながりの希薄化を背景とした孤独死に象徴される社会問題は、人間関係やコミュニケーションのあり方に起因しているといった指摘がなされております。

この問題は、核家族化が進むなかでの事象であり、一朝一夕には解決が困難だと考えますが、見守りや声掛けから生まれる絆を深めるための地域福祉の拠点として、日吉4丁目団地跡地での各種の福祉施設を核とした、高齢者や福祉関係者が暮らす福祉コミュニティーエリアの整備について検討を深めてまいります。

さらに、高齢者の増加と市民の健康志向に対応していくため、地域の公園に運動器具などを設置するとともに、東部4支所管内の高齢者の方々の社会参加を促進するため、新たな交通機関乗車料金助成制度を創設します。

(4) 子どもたちと若者の未来を拓く

四つ目は、子どもたちと若者の未来を拓くことです。

先進諸国のなかでは、日本の子どもたちは幸福感を感じている割合が低いといわれています。まず何より学ぶこと、生きることの喜びで子どもたちの心を満たし、子どもたちがたくましく生きる環境を整える一方、これからの未来を担う若者世代が、自立の精神と豊かな感性を持ち、その一人ひとりがこれから経験するであろう幾多の困難を乗り越え、地域社会の一員として、幸福を実感できる人生を送ることができるよう支援してまいりたいと考えております。

新たな価値を創造し、未来を切り拓いていくのは人の力であります。

私は、地域を担う子どもたちの教育は、学校、家庭、地域住民等が適切な役割分担のもと、地域をあげて取り組むことが大切であると考えております。

このことから、子どもたちの健やかな成長を地域全体で支えていくため、子ども条例の制定を検討するほか、子どもたち一人ひとりが持つ能力や才能を見いだし伸ばすため、スポーツや文化芸術などさまざまな分野に携わる人材の活動環境の向上に努めてまいります。

また、各学校で必要とすること業や教材等に要する経費について、重点的な予算措置を図るとともに、子どもたちの自主的な学びの機会を拡充し、学力向上に資するためのアフタースクールやサマースクールの開設を検討するほか、子どもの経済感覚を養う場として、子どもたちの運営によるフリーマーケットを開催してまいります。

さらに、独自の建学の精神と特色ある教育を実践する私学は、本市の教育の歴史的な発展経過のなかで重要な役割を果たしてきたところであり、引き続き教育水準の維持向上のため、私学助成の拡充を図るほか、幼稚園から大学までの教育環境の向上に向けた、庁内の相談・支援体制を強化してまいります。

少子化対策については、将来の我が国のあり様に関わる大きな問題であり、一地方都市である本市の取り組みには限りがありますが、現状の子育て環境を少しでも向上させていく必要があります。

このため、子育て家庭の経済的負担に配慮し、子ども医療費助成の対象をこれまでの小学生から中学生までに拡充するとともに、民間保育園における延長保育の実施に対し、新たな支援を行ってまいります。

また、将来を担う、このまちに暮らす若者たちの、地域を思う気持ちや豊かな発想をもとに実施するイベントの開催など、自主的なまちづくり活動に対し積極的に支援するとともに、私自身、地域を支える農業・漁業などに従事する若者の皆さんとお会いし、意見交換や懇談を通じ、これをまちづくりに反映させてまいりたいと考えております。

(5) 市民が誇れる美しいまちをつくる

五つ目は、市民が誇れる美しいまちをつくることです。

三方を海に囲まれた函館は、その特有の地形とともに、近代日本の幕開けにより、欧米の生活様式や情報、文化などが流入する玄関口として、西部地区を中心に領事館、教会などが建ち並ぶ異国情緒豊かな美しい港町としての様相を深め、今日の都市としての発展に繋げてまいりました。

この西部地区の歴史的景観は観光地として高い評価を受け、最も魅力的なまちとして一昨年、昨年と続けてランキングされたところでありますが、私は、市民生活との調和と観光との融合という視点に立って、西部地区の観光資源のみならず、本市が有するさまざまな資源、町並みを丁寧に磨きあげ、庭造りをするように、まち全体を緑豊かに彩りながら、歴史の重みと現代の息吹とが融合する質の高い都市空間の形成に努めてまいります。

150年前の歴史的開港が今日の西部地区を形づくっているものでありますが、私は歴史を重んじ、これを保存するとともに、今に生きる私たちが新しい景観、町並みをつくりあげていく必要があるものと考えます。

このため、西部地区から函館の顔である駅前・大門地区や五稜郭地区、さらには湯川地区において、それぞれの地区特性を踏まえ、都市景観の専門家の意見も伺いながら、デザイン性に配慮した町並みの形成を図ってまいります。

さらに、この取り組みを全市的に広げ、市民の日常生活に溶け込んでいくことで生まれる、喜びや楽しさを演出していくことも必要と考えますことから、市内の公園や沿道における芝生化や花の植栽をするなか、ポケットパークの設置なども進め、ガーデンシティとして新たな都市アイデンティティーを確立させ、広く発信してまいりたいと考えております。

私は、町並みを進化させ、良好で快適な都市環境を築いていく取り組みに加え、より豊かで彩りのある市民生活の実現や本市ならではの市民文化の創造に寄与する文化・芸術・スポーツ活動の振興も積極的に支援してまいりたいと考えております。

市民の創作活動のさらなる促進を図るため、文化・芸術活動を担う人材や団体の育成をはじめ、身近な発表の場となる市民ギャラリーや市民劇場のまちなかでの開設を検討してまいります。

また、本年10月の北海道唯一の国宝「中空土偶」を常設展示する縄文文化交流センターのオープンに合わせ、記念事業を開催するとともに、道の駅機能や多目的スペースなどを活用した、学びと観光を結びつけた体験学習の展開など、地域の振興に資する取り組みを進めてまいります。

スポーツの振興については、今日の市民ニーズに応えるスポーツ活動の拠点施設として、また各種競技大会や大規模なコンベンションの開催にも対応できる施設として、市民体育館の新築整備を進めます。

さらに、函館ハーフマラソン大会の充実に取り組むとともに、フルマラソンの検討を進めるほか、北高跡地についてはサッカーやラグビーのできる芝生グラウンドを備えたスポーツ公園として整備してまいりたいと考えております。 

(6) 市民参画と広域連携の推進のために

六つ目は、市民参画と広域連携の推進のために取り組むことです。

本格化する地方分権改革により、国が持つ権限や財源の地方への移譲が今後進められることに伴い、国と地方は新たなパートナーシップの関係へと移行し、地方の裁量はますます大きくなってまいります。

これからの都市経営においては、市民の発想をまちづくりに生かしていくことが、より一層求められてまいりますことから、教育や福祉、経済、環境など、広範多岐にわたって展開される施策・事業が、市民にとって効果的で望ましいものとなるよう、市民がまちづくりに参画する場をより多く設けることが重要となってまいります。

そのため、市民がまちづくりに主体的に関わっていく機会や仕組みづくりのひとつとして、若者や女性の視点を生かす「まちづくり会議」の設置をはじめ、市内地区ごとのまちづくりのあり方や特徴を生かすための方策を考え、かつ、地区住民自ら実践可能な取り組みを進める「地域経営会議」の設置を検討してまいります。

また、私自身、経済・福祉・教育などの各種団体の方々に直接お会いし、意見や要望をお聞きする場を定期的に設け、それぞれの施策に可能な限り反映してまいります。

私は、こうした市民・団体の方々との対話を通じ、地域課題を的確に捉え、市民目線に立った政策の形成機能を向上させるとともに、職員一人ひとりが弱い立場の人を支え市民と苦楽をともにする姿勢を持ち、市民の負託に応えるよう、職員の能力・資質をさらに高めると同時に、職員の意識改革を図ってまいります。

広域連携につきましては、本市は、先の東日本大震災において甚大な被害を受けた東北地方に最も近い北海道の都市として、市民の皆様にもご協力をいただいた救援物資の提供や避難者の受け入れなどを進めてきたところであり、今後も東北地方の復興に向けたできうる限りの支援を続けてまいりたいと考えております。

このたびの震災では、原子力発電に依存するエネルギー政策の根幹を揺るがす大きな課題が顕在化したわけでありますが、私は、原子力発電の安全性の検証がなされない状況下においては、建設中あるいは新規の計画を無期限で凍結すべきと考えており、本市の対岸に位置する大間原子力発電所については、近隣の自治体や北海道とも協議を進めながら、安全確保に関する国への要請行動など、必要な対応を検討してまいります。

エネルギーの確保は、大きく国の政策に関わる事項でありますが、私は、環境に対する市民意識の醸成や環境配慮型のクリーンエネルギーへと転換を図る地域における取り組みも大切であると考えており、そのため、本年度から新たに住宅用太陽光発電システムの設置に対し支援してまいります。

また、私は、道南圏域を構成するそれぞれの自治体の発展なくして本市の発展はありえないとの認識のもと、圏域の振興発展に関する取り組みとして、はこだて観光圏における滞在型観光の充実強化を図るとともに、特に、4年後に迫った北海道新幹線新函館開業を道南圏域全体の振興発展に結びつける絶好の機会として捉え、圏域の自治体や北海道などと連携した開業記念イベントの開催に向け取り組んでまいります。

なお、地域の懸案となっている新函館開業に伴いJR北海道から経営分離される江差線の取り扱いや札幌延伸に関わる現駅とのアクセスについては、広域的な視点を持って沿線自治体をはじめ、関係機関である北海道やJR北海道と協議を重ね、お互いの立場を踏まえ、地域として望ましい方向を見い出してまいりたいと考えております。

このほか、市立函館病院を基地病院としたドクターヘリの導入検討など道南三次医療圏における医療面の連携を深めるとともに、ツインシティの盟約を結ぶ青森市とは、新幹線で結ばれる新たな関係を見据え、長年培ってきた交流をさらに発展させた経済文化圏の形成をめざしてまいります。

4 むすび

私には「函館新時代を築く」という夢があります。

社会経済情勢のめまぐるしい変化による、先行きの不透明感が強い時代においても、高い志を持って、新たなる船出をするその先には、必ずや函館の明るい未来が拓けるものと確信をしております。

私たちの先人は、維新の動乱や幾多の大火を乗り越え、このまちを復興させてまいりました。今日まで脈々と続いてきたまちづくりの情熱を受け継ぎ、しっかりと明日へ繋げていかなければなりません。

これからの4年間は、「時代を変える、まちを変える、函館の明日を変える」という気概を持ち、困難な課題に真正面から向き合い、「活気に満ちて、だれもが幸せに暮らせるまち・函館」の実現をめざし、信念を持って市政運営に臨んでまいります。

市議会ならびに市民の皆様のご理解とご協力を、心からお願い申しあげます。

5 各会計予算案の大綱

次に、平成23年度各会計補正予算案につきまして、その概要をご説明申しあげます。

ご承知のとおり、本年度の当初予算は、行政の継続的運営に必要な経費を主体とした、いわゆる骨格予算を編成したところでありますので、このたびの予算補正にあたりましては、 先に申し述べました市政執行の基本方針に基づき、市民の要請に十分配慮しつつ、施策の選択にあたっては、効果や緊急度を考慮のうえ、創意と工夫をこらし、新規施策を中心に重点的な予算配分を行うこととし、編成したところであります。

その結果、このたびの補正予算の歳出総額は、

セル
一般会計 1,832,227千円
特別会計 343,036千円
企業会計 95,634千円
合計 2,270,897千円

となり、これを既決予算額とあわせますと、 補正後の総額では、

セル
一般会計 132,926,765千円
特別会計 81,191,318千円
企業会計 40,868,264千円
合計 254,986,347千円

となったものであります。

以下、その主な内容について、一般会計から順次ご説明申しあげます。

まず、総務費では、62,186千円を増額計上いたしました。

民生費では、社会福祉費、介護保険費など、あわせて175,772千円を増額計上いたしました。

衛生費では、12,256千円を増額計上いたしました。

農林水産費では、 11,155千円を増額計上いたしました。

商工費では、商工業振興、観光振興などの経費、あわせて92,736千円を増額計上いたしました。

次に、土木費では、道路橋梁費、都市計画費、住宅費など、あわせて578,688千円を増額計上いたしました。

消防費では、115,700千円を増額計上いたしました。

教育費では、48,047千円を増額計上いたしました。

災害復旧費では、9,000千円を計上いたしました。

予備費につきましては、 278,364千円を増額計上いたしました。

以上、歳出の主な内容について、ご説明申しあげましたが、次に歳入の主なものについて、ご説明申しあげます。

歳入につきましては, 国庫支出金203,627千円、道支出金113,822千円、繰越金880,000千円、 市債594,700千円などをそれぞれ増額計上いたしました。

次に、特別会計について、ご説明申しあげます。

港湾事業特別会計では、港湾整備費など、78,000千円を増額計上いたしました。

介護保険事業特別会計では、基金積立金など、 265,036千円を増額計上いたしました。

次に、企業会計について、ご説明申しあげます。

水道事業会計では、配水施設事業費など、47,619千円を、公共下水道事業会計では、管渠費など、48,015千円を、それぞれ増額計上いたしました。

以上、平成23年度各会計補正予算案の主な内容について、その大綱をご説明申しあげました。

よろしく、ご審議くださいますようお願い申しあげます。

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