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令和7年度 経済建設常任委員会行政調査

公開日 2026年02月17日

経済建設常任委員会行政調査

令和7年10月20日月曜日から10月22日水曜日

 

10月21日 山梨県水産技術センター忍野支所調査

山梨県忍野村調査

<所見>

 近年の海洋環境の変化が水産業へ与える影響や課題を解消すべく、函館市ではキングサーモンの完全養殖技術研究事業を進めている。

 経済建設常任委員会は今年度、種苗の育成環境や今後予定している「選抜育種」における課題を検討するため、「育種方法」という観点で行政調査を行った。調査1日目は、山梨県水産技術センター忍野支所を訪問し、施設内の見学及び名倉支所長から研究内容についてご教示いただいた。

 富士山の麓に位置する山梨県は海のない県でありながら、富士山から得られる豊富な水資源を有し、本研究所においてもこの水を惜しみなく活用して淡水養殖研究が進められている。現地に行ってまず驚いたのは、海や川から離れた山の中に立地した研究所の敷地は広大で大きな飼育プールが並び、富士山の湧水をかけ流しの状態で活用している。酸素の注入も不要ということである。

 山梨県で生まれた養殖ブランドは、養殖ニジマスの「甲斐サーモン」、山梨のブドウを絞った後の皮を粉末にしてエサに混ぜて与える「甲斐サーモンレッド」、そして淡水魚のニジマスと海水魚のキングサーモンを交配した「富士の介」の3ブランドがある。

 「富士の介」は、魚体が大きく可食部が多いが一度卵や精子を持つと死んでしまうサーモンと、育てやすいが魚体の小さいものが多く卵を産んでも死なず次の年も多くの卵を産むことができるニジマスのそれぞれの利点を受け継いだ「美味しくて養殖に適した魚」という特徴をもつ。

 また、旨味成分である「アスパラギン酸」はニジマスの1.6倍、「グルタミン酸」はニジマスの1.5倍という「おいしさの化学分析」が実施され、ニジマスと比べて肉食が濃い、旨味が強い、脂が乗っている、舌触りが滑らかと「官能評価(人が食べておいしいかまずいか判別)」で多くの項目が優位であった。これらは、私たち委員も前日の夕食で実食することができ、「さらっとした脂が食べやすいね」「色がきれいだね」と感想を言い合っていたので、話を伺って大いに納得した。函館の養殖キングサーモンも「函館のを食べたい」と選ばれ、求められるような特徴を生み出していただきたいと熱望する。

 現在は、研究所で生産した卵を養殖業者に配布し、民間で養殖・流通が行われているとのことである。有名人のさかなクンの起用で宣伝活動にも力を入れている。

函館市が取り組もうとしている「選抜育種」については、防疫に大変気を使い病気を持ち込まないようにしている、例えば鳥が近づいてフンが入り込まないように網をはったり、弱い稚魚を育てる水は紫外線で殺菌をしたりして手間をかけている、また元になる親はたくさんいた方がよいなど様々なアドバイスを頂いたので、今後の研究に活かしていただきたい。

 


10月22日 岡山理科大学調査

岡山県岡山市調査

<所見>

【好適環境水開発のきっかけ】

 調査当日は好適環境水を開発された中心者の山本俊政准教授に直接ご説明を頂き大変に興味深いお話を伺った。冒頭カワハギやシャコなど近海で取れていた魚介類が磯焼けや海水の温暖化で獲れなくなってきていることで、養殖が益々重要になってきているが、海水温が高くなっているので、海面養殖も容易でなくなってきているとの説明があった。2004年当時25km離れた海から海水を運び養殖研究をしていて海水が大変貴重な存在であった。そのような時にある学生から「ワムシを淡水で育ててみたいと相談があった。しかし海水で生きているワムシが育つわけがないと思っていたが、学生の熱意にふれ承諾した。そうしたら一回目でワムシが沢山育ったと報告を受け、もう一度実験することを指示した結果、今度は失敗したとのことで、そこから毎日思考した結果、少しの海水でも生きられるのではないかとの思索に至った」とのことである。その時に着目したのが4億2000万年前の原始海水で、今の海水より非常に塩分濃度が薄く、そこで多くの海水魚が棲み着いていたことにヒントを得て、魚に必要な成分を探す研究を続けられた結果、ナトリウム、カリウム、カルシウムという3種類のミネラルだけで海水魚が生きられることを発見。その後さらに研究を進め、その最適比率を発見した。そして2006年好適環境水の特許を出願したそうである。

 

【好適環境水のメリット】

 1点目は室内で管理するため、餌や健康状態を完全に管理できることから、安心で安全な産地のはっきりした魚を作ることができる。2点目は海水で飼育されている場合と比べて、1.2~1.5倍の速さで成長すること。海水内では魚に必要のない栄養素を体内から排出しなくてはならないことが、魚にとっては大きなストレスになっているとのことであった。非常においしくなるのも特徴で、大阪万博の回転すし店で出品したら飛ぶように売れたそうである。3点目は魚を病気にする病原体が存在しないので病気になりにくいため、抗生物質などを与えなくても良い。マツカワの話を伺った。海水の生存率が45%に対して、好適環境水の生存率は94.1%と圧倒的に高い。また宮崎県都農町でのタマカイの養殖では生存率94.2%の結果となった。4点目は高い密度で養殖できる。当日もフグの水槽内の写真を見せていただいたが、1㎥の中に47匹の密集した状態に驚いた。海面養殖の5~10倍の密度で養殖できることから集荷量が多くなり、事業者の収益を上げられる。モンゴルでのタマカイの試算を伺った。利益率は53.5%であった。多くの魚種の利益率を伺ったが、ハタでは、稚魚購入費、餌代、電気料金、スチーム代、人件費、飼育水など水槽2基分の経費は423万5千円で、売上額は910万8千円で利益率53.5%など、どの魚種も高い利益率であるとのことである。5点目は完全陸上養殖で場所を選ばないこと。6点目は水をほとんど交換しなくてよい。魚種にもよるが概ね2年~3年は交換することなく、ろ過だけ行い、加水はカルキを抜いた水道水でよい。フグに至っては細菌がないこと、また餌を管理できることなどから毒が無いフグが育つそうである。

 

【まとめ】

 山本先生の冒頭ご説明にあった通り、地球温暖化によって前浜で獲れる魚介類が変わってきていることや、絶滅することと同時に海面養殖の困難さなどの多くの課題が我が国の漁業の現状である。その中で好適環境水による陸上における養殖は大きな期待が持てる実感があった。陸上での課題は施設の整備などイニシャルコストが大きいことがある。水温の維持と、水の循環に大量のエネルギーが必要となることがある。山本先生は温度管理できる、温泉施設や焼却施設、地熱等の熱利用やトンネルなど比較的に一定の温度管理できる施設利用など、温度管理の低コストを考えることの必要性が大事であるとのことであった。

 また、もう一つの視点は利益を上げることであり、研究開発には必ず利益率を出し事業として成立する魚種を定めていることが単に研究だけでなく、事業展開を見据えての取り組みは興味深かった。

 最後に植物を育てて排水を循環して有効利用することで、地球環境への負荷軽減も今後の取り組みとして行っていくとの説明があり、農業と漁業の新たな取り組みにも期待が持てると実感した。また、現在函館市が北海道大学と行っているキングサーモン養殖について、山本先生は養殖可能であるとのご見解であった。また、北大の低温科学研究所と、好適環境水に関して「どうして魚にとって有効なのか」との共同研究をされているとの話があり、今後キングサーモン養殖での連携を考えられるのではないかとの実感があった。

 

 

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