松本市は、長野県のほぼ中央に位置し、明治40年5月1日市制施行。平成29年には、市制施行110周年を迎え、波田町との合併(平成22年3月31日)により、新松本市として、豊富な観光資源を活用し、「歩く観光」「知る観光」「触れる観光」の発信を重点に、今日まで歩んできた歴史・文化・伝統を有するまちである。 魅力の創出として「見る観光」から「体験する観光」に重点を置き、恵まれた自然環境や豊富な観光資源の活用で、日本アルプスへのアルピニストを迎えるまちの側面も有している。
【「コト消費」の機会提供の状況について】 (1)体験型観光として特に人気のコンテンツ コト消費の一環として、乗鞍岳、美ヶ原高原、スノーリゾートの四季の自然環境の活用によるスノーシューやラフティング、そば打ち体験、着物の着付けなど、古くからの伝統と地域の観光資源をすべて活用している。国のビジット・ジャパン・キャンペーン開始と同時に海外プロモーションを開始し、台湾高雄市との教育交流を原点とした交流事業やメディアを活用した宣伝事業、市内宿泊事業者との連携を行ってきた。
(2)今後の課題 「浅く広い」広域情報だけではなく、個人リピーターに刺さる、「テーマを深掘りした情報」提供の実施、セントレア増便需要の取り込みと、東京オリンピック・パラリンピック需要の取り込みなどが今後の課題として挙げられた。
【イスラム圏及び欧米豪のインバウンド拡大の状況について】 (1)インドネシアからの旅行者が多い要因 イスラム圏のインバウンドについて、近年増加しているインドネシアの旅行者について、松本市観光ビジョンにおいて、主な旅行者は中華系インドネシア人富裕層の上位中間層(全人口の3パーセント)であり、レバラン休暇などの長期休暇の家族旅行が多いと分析している。2014年のビザ緩和や日本の自治体セールス活動により大幅に伸びていること、圧倒的な親日・日本好きの土壌があることから、今後はムスリムへの情報発信を継続し、個人に向けたBtoCプロモーションを強化していく方針のようだ。
(2)欧米豪のインバウンド拡大の状況 欧米豪については、新旧文化(伝統文化、現代文化)体験プログラム・日本食・民芸品・工芸品の鑑賞・購入、着物や茶道の体験などを積極的にアピールし、自然のスケール感を強調し、アウトドアアクティビティの提案や中部国際空港からのアクセスを活用し、高山、白川郷などを絡めたルートの発信を強化してくことが今後の取り組みとして語られた。
【その他】 (1)おもてなしの磨き上げ 観光の磨き上げについて、松本市では観光振興に寄与する人材確保と育成に力を入れている。ホスピタリティカレッジ等を開催し、観光産業を担う人材を確保・育成するとともに、多様な人への寛容度が高い松本市民の気質や暮らしも観光資源として、おもてなしの向上を図っている。
(2)情報発信強化の取り組み 情報発信の強化として、効果的なウエブ、デジタル情報発信を展開をしていくこととし、JNTOとの連携や市公式観光情報ポータルサイトのリニューアル、SNS等の活用、効果が期待できるTVやラジオ等の媒体の選定など、訴求力の高い情報発信に取り組んでいる。
(3)二次交通の向上の取り組み また、二次交通の向上への取り組みとしては、上高地や美ヶ原などの山岳観光地や周辺観光地とのアクセス向上にむけ、バス会社等関係事業者との連携を強化に取り組んでいるとの説明であった。
【総括】 松本市の地の利を最大限活用した取り組みは、函館観光事業においても、大変参考になる視察であった。松本市役所職員の温かい対応で、市役所目の前にある、国宝松本城を見学できた。今回の視察で感じたことは本当に勉強になった。
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