いわゆる「街づくり」と言っても、要は「人」と「人づくり」であると実感した。この丸亀町商店街が高松市の顔として中心市街地の活性化に大きく貢献できた のは、その仕掛人である、高松丸亀町商店街振興組合理事長である古川康造氏の功績が大きいと思われる。商店街を視察する前のレクチャーでは、古川氏はよど みなく自信を持ってこれまでの取り組みを語ってくれた。
平成25年は約13,000人の方が視察に訪れ、そのうち地方議会関係者は4,800人も押しかけたという。話を伺いながら現地を目の当たりして、なるほどと思った次第である。丸亀町の取り組みについては、本市の中心市街地活性化に資するものである。
古川氏は、少子高齢化を迎える現在、さまざまな社会資本が整備されている中心市街地の活性化しかないと力説し、そのためには「土地問題の解決」が第一義である、と。今まではどこの自治体でも、商店街の活性化に公費を投入してきたが、結果として無駄であったと言わざるを得ない、と。まず、丸亀町商店街では土地 の所有権の解決に公の力を頼らず、自分たちで知恵を絞り、時間と手間をかけて解決してきた、と。
古川氏は「向こう100年を見据えて」という小論の“再開発成功の大前提はコミュニティーの現存"の章では大要次のように述べている。
まず私たちが着手したのは「全国の再開発の失敗事例の調査研究」で、そこには次のような法則がある「駅前の一等地の衰退 ⇒ 行政の再開発 ⇒ 地上・新 しいビルと核のテナントの招致(ディベロッパー) ⇒ ディベロッパーの搾取・撤退 ⇒ テナントの撤収 ⇒ 駅前の空きビルの発生 ⇒ 行政による公的 な施設の設置と新たな土下座外交」このような悪循環に陥るのであれば「だからこそ、地元主導でしか街づくりは成功しないと私たちは考え、そこにこだわってきた」と。
議会として今回の視察はかなり得るものがあったが、まずは函館市の商店街の方々が実際の現地に足を運んで意見を交換し合ったほうがよいのではないかと思った。古川氏の「(役所の)前例主義にとらわれない民間主導が大切である」「 (いわゆる)イベントで街おこしはできない」とのメッセージは示唆に富んでいる。 まさに眼から鱗の指摘である。
また、現地を視察して、病院と介護施設と居住する建物がリンクし、安心の老後を街中に担保している計画の実行には大変驚いた。高松丸亀町商店街の底力を見た思いがした。ぜひ、我が函館市にも取り入れたいと思った取り組みである。
これから、中心市街の活性化の取り組みは佳境に入っていくが、目先のことに振り回されず、 50年先100年先の函館の街づくりを見据えて、議会としてのチェック機能を誠実に果たしていきたいと決意している。
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