「体験型観光について」
長崎市はこの10年間で観光客が120万人減少したことにより、市民の発案で、日本で初めてのまち歩き博覧会で、見て、触れて、食べて、自分だけの楽しさを発見する「長崎さるく博」(2006/4~10開催)を企画した。(「さるく」とは、ぶらぶら歩くという長崎弁)
情報発信は、全国のコンビニ、市民や行政関係や個人の案内の郵送とし、特に、九州全域と、東京、大阪の大都市圏を対象としている。観光客全体の84%を占める個人客をターゲットとし、40代から60代に大きな期待を寄せているようだ。
初めての企画ということもあり、本番2年前のプレイベントには、定員に対する参加率が90%近くになり2,500名を超える市民が参加した。市民が、それぞれのコースを設定し、東京からの観光客によりモニターツアーも実施した。
最も驚いたことは、観光入込数は当市とほぼ同数であるが、その経費の違いである。
函館市の年間予算額約3.3億円、観光担当職員数11名に対して、長崎市約14.8億円、45名と予算で4.5倍、人員で4倍である。博覧会のための予算や 人員を差し引いても、当市の倍以上の規模である。観光に力を入れているとの見方もあるが、そのこれまでの結果を見ると、財政の豊かさを痛感した。
観光は、行政主導も大切であるが、市民主導の重要さを改めて感じた。当市でも、野外劇などがこの例であると思うが、市民からの発案をいかにキャッチするがポイントであると思う。
また、毎日見ている地元の人が楽しいと思うものと、外から来る観光客が楽しいと思うものに違いがあることが予測されるが、モニターツアーの結果を聞くとその 違いは無かったようだ。市民が楽しくなければ、観光客も楽しめないということである。「イベントなどの一過性の企画ではなく、少人数で楽しめるスポットを 多くつくること」との言葉が心に強く残った。
最後に「博覧会」終了後の結果も大いに注目したい。
「水産振興計画について」
長崎市の漁業の特徴は、遠洋漁業(東シナ海)、沿岸漁業であり、近年は巻き網で捕獲した魚を生かして運ぶ運搬船の活用がなされている。
漁獲される魚の種類が豊富であるが、逆に函館ならイカといえるような、有名な魚がない。
水産振興計画については、平成17年4月1日に近隣6町村を吸収合併し、今後も1町と合併する、その際の建設計画の中で設定された目標や課題を実現するため、新たな視点での振興策が必要と考えている。
こ れまでの取り組みとしては、合併協議会水産農林部会の開催を通じ各町の水産業の現状と課題を分析、平成16年度に漁業者および合併6町村のアンケートの実施、国の水産基本計画や全国の自治体の水産振興計画を収集分析、他都市の現地調査などを行ってきた。検討委員会のメンバーは大学、試験場、魚市場、加工、 漁協などから13人で小規模となっている。(検討委員会は策定まで5回開催予定である)
問題点としては、上位計画である長崎市第3次総合計画の後期計画(平成18から22年度)までの計画が現在策定されておりその素案が検討されている。したがって、総合計画を逸脱して計画を策定できないこと である。検討委員会の委員の選定に当たっては地域性の考慮はしていない。
遠洋漁業で水揚げ高の多い経営体が2社あることや、遠洋漁業の漁場には中国の漁船が何万隻もいるとのことから、漁獲高は函館と同じだが組合員は少ない。また、正組合員と準組合員との区分については、準組合員が多く、陸の仕事との兼業者が多い状況である。
後 継者や担い手対策は、旧長崎市は特に行っていないが、合併した旧町では全国から漁業従事者を募集し半年間研修させて2~3人が漁業者になったようだ。今年度から研修中は無給になるので、県が生活費の補助月8万程度を補助する制度により2名申請している。最近は少子化で後継漁業者が少ない状況であり、当市と 同じ状況である。
|