平成24年度 民生常任委員会行政調査

2014年3月27日

【民生常任委員会行政調査】

  平成24年10月30日火曜日から11月1日木曜日

10月31日 奈良市調査の写真 11月1日 伊勢市調査の写真

○10月31日 奈良市調査

 

<所見>

 

奈良市では、平成16年に女子児童誘拐殺人事件が発生し、これを発端として防犯を初めとする、市民の安全安心に対する意識の高まり、さらに自治会、自治連合会を中心とした自主防犯意識の高まりによる地域での活動の活性化ということを考え、当時の市長のマニフェストで犯罪の20%減が掲げられ、安全で安心なま ちづくりが重点目標として位置づけられたことにより、平成18年に奈良市地域安全条例等策定委員会が設置され、市民アンケートやパブリックコメント等の手続きを経て、平成20年3月に条例が公布されている。

 
1 条例に基づく取り組み等として、函館市では取り組んでいないものなどは
 以下のものがあげられる。
 

(1)自主防災防犯組織活動交付金

一定規模の自主防災防犯組織に対しその活動を支援するために、交付されており、今年度は50団体に、18,300千円が交付されている。非常時の防災と平常時の防犯の両方を賄う組織として、概ね小学校単位で組織するよう要請しているとのことである。

函館市にあてはめると、町会活動との兼ね合いや、昨年の東日本大震災を契機に議論されている自主防災組織のあり方などとも関係する話であるので、単に民生常 任委員会だけの立場で論じることはできないが、市全体としてどうあればよいか議論していく必要があるのではないかと思われる。 

 

(2)子供の安全確保について(教育委員会所管分)

1「子どもの安全の家」の活動

子どもの安全の家の旗を、市立小学校を通じて個人の家庭や法人に対し4,578カ所に設置をお願いし、子供の登下校から子供たちを守る活動を推進しており、旗を掲げることによる犯罪を防止する役割も担っているとされる。

函館市では、建物等にステッカーを貼ってもらい、何かあった場合、駆け込むことが可能な場所であることを示しているが、わかりにくい場合もあり、より視認性を高めるという点では参考になる取り組みである。

ただ、奈良市の場合、旗が掲げられていても留守というケースもあるらしく、その辺の対応が課題となっているとのことだった。

 

2「水難・痴漢危険防止用旗」の設置

校区の水難や痴漢の危険がある場所に、「水難・痴漢危険防止用旗」を設置し、児童・生徒に注意喚起を行うというものである。

危険な箇所を認識させるために、実際の場所に設置するというのは、みずからが見て注意をすることにつながるので有効だと思われる。

函館市でも、安全マップの作成によって、危険箇所を把握するという取り組みはあるが、実際に現場において該当箇所を明示するという工夫も必要だと思われる が、危険箇所を認識させるにとどまらず、その箇所をどのようにして安全な場所に改善するかという検討もすべきだと思われる。

 

3「防犯ブザーの配布」

児童の安全確保のため、新入生全員および及び市以外からの転入生に対し、防犯ブザーを配布している。

通学路の安全確保を考えたとき、学校の付近は、保護者や町会の方々による見守り活動等により、安全の確保が可能な場合が多いのではないかと思われるが、一方、個々の児童・生徒の通学路すべてに見守りが可能なわけではないとすると、防犯ブザーを持たせることによって、第一義的には自分の身は自分で守るという 意識も持たせることができ、教育上の効果もあるのではないかと考えられる。

奈良市では、毎年、1個300円のものを3,000個程度用意しているそうだが、函館市でも、防犯ブザーにするか、また他のものとするかはあるが、児童・生徒の防犯意識の醸成も含めて、検討してみてもよいのではないか。

 
2 課題および今後の取り組みについて
 

調査の中で、安全で安心なまちづくりに関して課題となっていることとして、空き家の適正管理の件があげられていた。

空き家等が、どの程度犯罪の発生場所となっているのかは、詳細を承知していないが、犯罪環境学などでは、犯罪行為におよべそうな場所が犯罪を誘発するとの分析もある。

函館市においては、空き家問題は、景観上の問題としてもときどき議論になるが、空き家対策のみならず、犯罪に及ぶ機会や犯罪に遭遇する機会を減らすために は、公園や施設等の整備において死角をつくらない、つまり表の通りなどから見えないという場所をつくらないようにするなどの取り組みが必要ではないか。

 


○11月1日 伊勢市調査

 

<所見>

 

伊勢市は、平成17年11月に1市2町1村の合併により、新伊勢市となり、旧伊勢市において平成7年に施行された防犯活動の推進に関する条例が、そのまま継承されている。

こうした条例の制定については、全国の中でも早いほうだと言えるだろう。防犯の担当者には、防犯アドバイサーとして元警察官を雇用し、嘱託職員として配置している。

 
1 条例に基づく取り組み等として、函館市では取り組んでいないものなどは
 以下のものがあげられる。
 

(1)防犯推進協議会

防犯活動の推進に関する条例に基づき、取り組みを行うために「防犯推進協議会」が市に設置されている。

防犯に関する事業等を実施するに当たり、推進団体となる位置づけだと思われる。函館市にはないが、防犯に関する課題の所管は複数の部局にまたがるので、事業の実施に限らず、市民も含めた協議が行なえる場などとして存在してもいいのではないか。

 

(2)自主防犯活動地区啓発推進事業交付金

モデル地区として指定した自治会に対し、自主的な防犯活動を推進し、地区住民みずから相互扶助の精神に基づき、地域社会における連帯意識を高め、安全な市民生活を確保する交付金を交付している。

しかし、今年度は2地区の指定にとどまるなど、指定を受けようとするところが少なくなっている。制約を受けずに活動したいという組織もふえているようで、防犯活動の担い手の問題なども含めて、課題となっているようである。

函館市の場合を考えてみると、奈良市の調査の所見で述べたように、町会活動や町会の中の他の組織との兼ね合いもあり、組織のあり様は防犯の面だけでは論じられないと思われる。

 

(3)防犯情報による啓発

「防犯推進協議会」の委員から、「防犯情報カード」等により、危険箇所や不審者情報が集約され、他の委員や関係機関・団体に周知を図り情報を共有することとしており、年間50件程度、報告されている。

実際に現地に該当箇所だと判るように明示することや、奈良市と同様、危険箇所の改善の取り組みにつなげていく必要がある。

 
2 課題および今後の取り組みについて
 

伊勢市でも、奈良市と同様、空き家対策のことが課題として話題になった。実態は把握しきれていないため、通報があったら現地に出向くという状態だとのこと。

空き家については、私的所有物なので、市が管理責任を負う立場にないため、住民の安全という公益性が優先するかどうか、処分に伴う経費の問題など、非常に取り扱いが難しい。

自治体でも空き家対策の条例を制定しているところもあるくらいだから、函館市も全市的な観点で検討しなくてはならないであろう。

 


【まとめ】

 

今回、「犯罪のない安全で安心なまちづくり」の今後の取り組みをどうするか検討するために2市を調査したが、地域事情や市民の特性と関係することでもあるので、それぞれの市と全く同じにならないかもしれない。

函館市で当該条例を制定する際に、「安全・安心」の概念は広すぎるので、「犯罪のない」に特化するべきとの議論があり、それで「犯罪のない安全・安心のまちづくり条例」となったが、範囲がこのままでいいのかどうかも検討の必要があるのではないか。

例えば、「通学路の安全確保」を考えた場合、防犯上の問題にとどまらず、交通安全上の問題も多く見受けられる。

先般、京都府で登校中の児童の列にクルマが突っ込むという事故が発生したが、これを機に通学路の状況に問題がないかが焦点となり、改めて点検が行われた経過があるが、問題は教育委員会の所管にとどまらない。

子供たちにどう教育するか、教育委員会や学校での取り組みに限らず、全市的に、全庁的に、こうした問題にどう取り組むかが課題である。

同様に、奈良市の調査の所見でも述べたが、市の管理する施設を犯罪の現場とさせないということについても、全庁的な話である。

また、空き家対策にも通じることだが、いわゆる割れ窓理論で説明されるように、窓が割れていたり、あるいは建物周辺が散らかっていたりすると犯罪を誘発する原因になるとも言われ、こういう状況をつくらないように市民に協力を求めるという取り組みも必要になるであろう。

こうした取り組みを推進するには、その体制も必要になるが、担い手の問題や、あるいは経費の問題が課題になることも想定される。

市では現在、補助金のあり方の見直しが行われているため、この部分に限らないが、財政的には厳しいため、新たに施策や事業を行うのは、多少困難もあるかもしれない。

今後は、現行の条例の所管範囲だけではなく、必要に応じて、別途、条例などを制定することも踏まえた議論を行い、行政はもちろん、地域においても、市民の安全・安心に資するため、委員会としても取り組まなければならない。

 
 
 
 
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