高岡市役所にて、市生活環境部地域安全課から公共交通機関、特に路面電車・万葉線について、経緯や現状、今後の課題等について説明を受け、調査をおこなった。
高岡市と射水市新湊地区を結ぶ路面電車・万葉線は、私鉄・加越能鉄道によって運行が続けられ、昭和47年には4,753,018人もの利用者があり、にぎわいを見せていたが、マイカーの普及や厳しい経済状況などにより年々利用者が減少し、平成13年には、988,431人と100万人を割り込むという危機的状況に陥ったことから、事業者である加越能鉄道は、万葉線の廃止、バス代替の意向を示してきた。
しかしながら、万葉線は通勤・通学等沿線住 民の交通手段であることに加え、さまざまなまちづくり対策に活用できることなどの存在意義があることから、両市では、万葉線は重要な生活路線であり、かつ、魅力あるまちづくりに活用すべき都市施設であると考え、第三セクターでの存続という方針を打ち出し、平成13年3月に万葉線株式会社が創立された。 14年4月には鉄軌道事業資産を加越能鉄道株式会社から買収して営業運行を開始し、7年ぶりに利用者数が増加に転じて、1,002,660人という回復を見せた。この要因は、万葉線が存続したことによるアナウンス効果、イベント等によるものと考えられる。その後、平成21年までLRV車両を6編成導入する などの対策を行い、利用者も右肩上がりの状況で、平成23年の利用者は1,229,925人となっている。
今後の利用促進や活性化を図るため、平成22年には万葉線活性化総合連携計画を策定し、設備の改修・改善や、沿線住民への啓発、体験ツアー等の各種ソフト事業の継続的な実施に加え、新たにパークアンドライド自転車駐輪場の整備や夜間帯の増便を行うことで、利用者のさらなる利便性の向上、公共交通の利用促進や万葉線の活性化を図っている。 また、公共交通活性化のための取り組みとして、一斉ノーマイカーデー運動を4月と10月の年2回実施しており、市内35事業所が参加し、成績のランキングをつけている。市職員については、毎週水曜日にノーマイカーデーを実施している。また、路線バスやタクシーなどの十分な輸送サービスが確保できない交通空白地においては、地域バスの運行も開始している。
今後の課題としては、平成26年度開業予定の新幹線新駅の整備が進められているが、現高岡駅から1.5キロメートルほぼ南に位置するため、その二次交通をどのように利便性よく整備ができるかが挙げられる。
人口減少や少子高齢化という公共交通にとっては大変厳しい状況の中で、路面電車の利用者数が増加傾向を続けている高岡市の現状や課題、対策等について直接説明を受けたことは、本市の今後の事業展開を検討するために非常に参考となった。
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