宮崎市役所において「宮崎駅前商店街整備事業」、「憩いの空間創出事業」及び「橘通り公園化構想」について説明を受けた後、宮崎市の中心市街地内の若草通り商店街におけるオープンカフェ等の現地視察を行った。
宮崎市は、宮崎駅前に大型商業施設はなく、駅から約1キロメートル先の高千穂通りと橘通りの交差点部に立地されている。そこから宮崎市役所方向に向かう橘通り沿いの歩道にアーケードが設置され、商店街が形成されている。
また、高千穂通りの南側に並行する小路に全天候型のアーケードが設置され、西から東に一番街、若草通り、広島通り、駅前商店街と連続し4つの商店街が形成されている。このうち、もっとも駅寄りの約250メートル区間を対象に宮崎駅前商店街整備事業が実施され、平成18年度から3か年で既存アーケードの撤去、電線類の地中化、カラー舗装、街路灯設置、緑化が実施された。
アーケードの撤去は、老朽化による維持費用の捻出が困難となったことや、空き地、駐車場がふえ、アーケード内に吹き込む雨で歩道上が濡れて危険などといったことから、商店街側が判断したものである。
商店街主導で、国と市の補助を活用して、街路灯、固定式ベンチ、防犯カメラ、防火用散水栓などを継続して整備し、安全性の確保、まちなか居住環境の向上が図られた一方、歩行者通行量は、アーケード撤去時と比べ約4割減少し、回遊性向上、にぎわい創出には繋がっていないとのことであった。その理由としては、夏の強い日射しを避ける日除け機能があったアーケードの撤去により、並行する緑陰のある高千穂通りを歩く市民がふえたとの市民の声を紹介していた。
また、平成23年の都市再生特別措置法改正により、一定の条件のもとでオープンカフェ等の食事施設が道路等の公共空間で利用可能となったことから、中心市街地内で休憩できる場所をつくろうと、宮崎市では群馬県高崎市での取り組みを参考に店先の道路にテントを張り出し、にぎわい創出を進めるため、県道と市道4か所を特定し官民共同でオープンカフェの社会実験を進めている。その中で最も高い評価を受けている若草通り商店街のオープンカフェの視察を行った。道路上に設置されたテーブル、椅子、パラソルは協力店舗が保管し設置、撤収作業を行っている。テーブル、椅子は自由に利用でき、店で購入したものの飲食、サラリーマンの打ち合わせ、小さな子どもや高齢者の休憩など多様な利用がなされているほか、テーブルには飲食店舗のメニュー表が置かれ、携帯電話でテーブルから注文が出来るサービスが実施されている。この取り組みについて、「とても雰囲気が良くなった」、「通りが明るくなったような気がする」、「店を知ってもらうチャンスにもなる」という肯定的な意見が出されているとの説明を受けた。
今回の調査では、アーケード撤去後の現場の声を聞くことができたほか、道路空間を活用したさまざまな取り組みの効果と課題について、市担当者と直接意見を交わすことができ、非常に有意義であった。
今後は、今回の調査で得られた「各事業実施後の現場の声」を参考として、委員会でさらに調査研究を進めていきたい。
|