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「函館市子ども条例」が子どもの権利時代にふさわしい内容へとリニューアルされることを望みます。

公開日 2026年08月27日

更新日 2026年09月01日

回答

受付年月日

令和8年8月17日

ご意見等要旨

一昨年函館市へ転居して、函館市の「子ども条例」を拝見して感じたことを述べます。

結論から言いますと、函館市の「子ども条例」は「子ども条例」という名称であるにもかかわらず、子どもたちが自分たちの権利がどのような内容であるかを知ることのできるものになっていません。国が定めた「こども基本法」や北海道の「こども基本条例」の「目的」「基本理念」(いずれも第1条・第3条)と函館市の子ども条例のそれらとの間には明確な乖離が生じています。

国や北海道の「目的」「基本理念」には「こども施策」が掲げられているのに対して、函館市は「子どもおよび子育て家庭の支援」を掲げています。「こども施策」と「子どもおよび子育て家庭の支援」では重なる部分もありますが、「こども施策」が子育て支援も含みつつ、子どもの権利を中軸に据えた総合的な施策であるのに対して、「子どもおよび子育て家庭の支援」は子育て支援に重点が置かれた限定的な施策となっています

法令にとって「目的」「基本理念」の差異は法令全体に大きく影響します。最初のボタンの掛け違いは最後までずれを生じさせます。本来であれば、2023年に国が「子ども基本法」を制定した際に、函館市は国の法令制定の趣旨に則り、生じたズレを修正すべく条例の改訂を検討すべきだったと考えますが、全く検討されなかったのでしょうか?今後、ズレを放置したまま、子ども施策として不十分な条例を掲げ続けるのでしょうか?改訂する予定はないのでしょうか?

以下、そのように考える理由を3点述べます。

  1. 函館市子ども条例の目的・基本理念は、第1条・第3条にあるように、「子どもおよび子育て家庭の支援」とされており、その重点は子育て支援にあります。市発行の啓発グッズに子ども条例の説明にも、「子どもや子育てをする家庭をささえるために、大人たちがするべきことの基本になる考え方を決めたものです」とあるように、条例の重点は子どもたちにあるのでなく「大人たちがすべきこと」にあると明記されています。そこにある「子ども観」は子どもたちを「支援の対象」「保護の対象」と捉えているのではないですか?
    本来、子どもの権利の立場から観れば、子どもたちは「権利の主体」です。子どもを「権利の主体」とする「子ども観」は子どもの権利条約が掲げる基本であり、「こども基本法」が法制定されるにあたって改めて確認されたことでもあります。子どもの権利を中心に据えた「子ども施策」が求められる所以でもあります。
    国の「こども基本法」の基本理念(第3条)には、子どもの権利の「4つの原則」(1生きる権利 命や健康が守られ、安全に生きる権利 2 育つ権利 教育・生活・医療・遊びなど成長に必要なものが保障される権利 3 守られる権利 暴力、虐待、搾取、差別などから守られる権利 4参加する権利 自分の意見を表し、その意見が年齢や発達に応じて尊重される権利)が全面的に記述されています。子どもたちは、安心して生き、自分らしく育ち、意見を表明し、社会に参加し、必要なときには守られる権利を持つ主体であることを「子ども施策」の中心に据えなくてはいけないと「こども基本法」は強調しています。函館市の条例にも、このような「基本理念」が必要だと考えます。
    もちろん子育て支援の必要性を否定する気は毛頭ありません。子育て支援策が充実することは素晴らしいことだと考えます。しかし、条例は「大人たちがすべきこと」にとどまらず、どのような施策が行われることが、子どもの権利を積極的に保障していくことになるのかを考慮したものとなるべきです。求められる施策は、子どもたちが持っている権利を「自治体としてどう保障するか」との立場から考えるべきではないでしょうか。函館市の「子ども条例」の目的や基本理念には、子どもを「権利の主体」として捉えたうえで、子どもの権利を「自治体としてどう保障するか」という視点から練り直すことが必要だと考えます。
  2. 1で述べたことと関係しますが、函館市の「子ども条例」は他の道内自治体の条例(例えば石狩市、北広島市、士別市、奈井江町等)と比較すると、子どもの権利に関する具体的な記述がほとんどありません。子どもたちが条例を読んでも、子どもの権利が何であるかを知ることができません。
    上記の道内自治体の条例には子どもの権利の内容が、子どもの権利の「4つの原則」に沿った形で数か条にわたって記述されています。しかもそれが子どもたちにもわかりやすい表現で具体的に記述されています。それは「支援・保護の対象」目線からでなく、主体である子ども目線での表現で、子どもたちが本来有する権利を示しているのです。
    「子ども条例」と銘打っているのであれば、「大人たちがすべきこと」ではなく「子どもたちの知るべきこと」が記されていることは当たり前なのではないでしょうか。その意味からも、きちんと子ども権利を記述した条例への改正を望みます。
  3. 子どもたちの持つ権利を「自治体としてどう保障するか」との立場から考えると、自治体として子どもの権利がどれくらい守られているのかいないのかを把握することはとても重要です。国の「こども基本法」も各自治体へ「子ども施策」の推進を促しています。
    しかし、函館市では、子どもたちや市民に子どもの権利がどれくらい周知されているのか、子どもの権利が適切に保障されているか、子どもの権利が守られていない原因の分析などについて、誰がどうやって調査・把握して判断しているのでしょうか?子どもの権利の保障状況を函館市として把握しているのでしょうか?その結果が公表されているのでしょうか?
    函館市の「子ども条例」には、残念ながら「子どもの権利の保障状況を評価・検証する機関」に関する条文はありません。評価・検証機関を条例上に明記して位置づけることは絶対に必要なことのはずです。また、子どもの権利侵害に対する救済や相談の窓口や方法についても条例上に明記したうえで位置付ける必要があるのではないでしょうか。

最後に

基本的人権の内容は市民社会の成熟とともに深まり、新たな人権の視点が付け加えられてきています。子どもの権利をめぐっても同様のことが言えると思います。函館市「子ども条例」を現状のままにしておけば、ボタンの掛け違いで生じた差異はさらに拡大していきます。国の法律が求めている「子ども施策」から乖離した施策がこれからも続けられていくのであれば、「行政の不作為」と批判されても致し方ないのではないですか?行政組織にとって重要な存在である「条例」が時代にそぐわないならば、思い切って改正するのが当然ではないでしょうか。

函館市のように国の「こども基本法」制定以前から子どもに関する条例を制定していた自治体のなかにも、「子ども基本法」制定をうけて条例改正に踏み切った例もあります。福井県越前市や東京都世田谷区などは参考にできる例だと考えます。これらの自治体のとりくみも参考にして、函館市の「子ども条例」が子どもの権利時代にふさわしい内容へとリニューアルされることを望みます。

市の回答

この度は,貴重なご意見をいただき誠にありがとうございます。

函館市子ども条例は,制定に先立ち,学識経験者,弁護士,教育関係者等の19名で構成する「条例制定検討委員会」を平成24年7月に設置し,その後2年以上の期間にわたり計19回の検討を重ねながら,その基本的な考え方や盛り込む内容について議論した経過があります。この中で,条例の性格について,子どもの権利といった人権の尊重と健全育成のどちらを主眼とするかが議論され,子どもを中心に据え,子どもが安心して成長していけるまちをつくるという共通認識のもと,条例の基本理念について「市民が共有できる理念を掲げ,施策の方向を総合的に示した条例であることが望ましい。」という観点で提言がなされたことから,条例の性格を子どもに関する施策を推進するための理念や原則を定めた総合条例とした上で,子どもの権利といった人権の尊重を基本理念の第一に掲げた函館市子ども条例を制定したところであります。

今後におきましても本条例に基づき,子どもが夢と希望を持ちながら生き生きと成長することができるまちづくりの実現に取り組んでまいりたいと考えております。

回答区分

その他

担当部課名(電話番号)

子ども未来部子ども企画課(21-3946)

回答年月日

令和8年8月27日

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お問い合わせ

企画部 広報広聴課
TEL:0138-21-3630