通説編第1巻 第3編 古代・中世・近世


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第4章 松前家復領と箱館
第4節 北前船の発達と問屋機能の変化

北前船の発達

断宿の独占利潤

断宿以外の問屋の役割

請負人と場所との関係

断宿以外の問屋の役割   P513−P514

 ところで、場所産物取引における断宿以外の問屋の役割はどうであったか、まず、場所生産物の取引には、大別して次の2つの形態があった。
 1、生産物の集荷地である三港で、すでに集荷されている生産物を取引する場合
 2、船手が生産地である「場所」で生産物を受取る場合
 この2つの形態いかんによって、問屋の介在のしかたも各異っていた。1の場合には、船手と問屋の関係は、沖ノ口口銭、問屋口銭の徴収とも、船手の船宿となっている問屋が行うという、問屋の一元的な関係になるが、この場合には、場所断宿の介入をはじめ船宿あるいは脇宿が介在し、船手に対する問屋の関係は二重、三重になり、しかも場所積登り船が入港した場合は、船宿には入御口銭の徴収権はなく、入御口銭、問屋口銭ともに断循が徴収し、船宿は、同船が出港する時にのみ、出御口銭をはじめ問屋口銭、蔵敷などを徴収した。また、断宿と船宿との問に脇宿が介在した時(つまり船宿でも断宿でもない第三者の問屋と買付取組みをした場合)は、本来船宿に支払うべき問屋口銭は、脇宿と船宿へ半分に分けて1分ずつ支払い、船宿は出御口銭のみの金額を徴収した。
 これが更に天保期に入って、移出入船が増加すると、脇宿の介在が固定化するとともに、脇宿の得分も同時に増加した。このような現象に対応して、天保6(1835)年には、次のように改革された。すなわち、(1)場所買付船の入御口銭、口銭を場所請負人負担にしたこと、(2)断宿、船宿以外の買付取組問屋(従来の脇宿)介在の固定化に対応して、買付取組問屋の得分として、買付口銭・蔵敷を附加するとともに、口銭を2分に引上げたことなどである。従って、買付問屋口銭・蔵敷などの固定化と増大により、船手の負担が一段と増大したことはいうまでもなく、入御口銭・口銭(断宿徴収)負担を、従来の船手(買入)から場所請負人へ切替えたのも、このような事情によるものであった。
 この間の事情を年代的に表にすれは、第1表の通りである。この表によってもわかるように、場所請負制度の発達と買積船の著しい発展により、道産海産物への取引形態が複雑になるにつれ、それを集中的に統制しようとする問屋側の対応も、より複雑化するとともに、実質的には問屋仲間は、生産物の集荷過程にまで入り込み、その中から独占利潤を獲得した。そして同時に場所請負制度という特殊な構造に密着し、場所生産物の売買取引の中に深く侵入して、一般的問屋利潤の外に独占的利潤を収得することができたのである。
第1表 場所産物買付より出帆迄の掛り物(箱館湊)
文化12年以前
断宿
入御口銭
断宿口銭
2分
2分
買人持
船宿
出御口銭
断宿口銭
問屋蔵敷
2分
2分
文化12年以降
断宿
入御口銭
断宿口銭

2分
2分

買人持

脇宿
(問屋口銭
(問屋蔵敷
1分)
半分)
船宿
問屋口銭
問屋蔵敷
出御口銭
2分(内半分脇宿へ)

2分(内半分脇宿へ)
天保6年以降
断宿
入御口銭
断宿口銭
2分(箱館相場で)
2分(   同   )
買人持
請負人持
買付問屋
買付口銭
買付問屋蔵敷
2分(買付値段で)
買人持
船宿
出御口銭
問屋口銭
問屋蔵敷
2分
2分(積入だけ)
元治元年「問屋諸用留」・「箱館問屋儀定帳」より作成
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