| 通説編第1巻 第2編 先史時代 |
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第3章 函館の縄文文化 装身具 |
装身具 P250−P252 縄文人の化粧や装身具は、土偶からも想像されるが、未開民族の風習などから推理する場合もある。土偶の顔面文様には「入墨」がある。入墨は成人になった男性や、結婚に関係する女性の入墨もあって、体の部位すなわち手足や顔に付ける文様や図柄が異なり、民族によっても異なる。中には顔料を用いることもあり、魔よけなどの信仰と関係することもある。美しく装い飾ろうとする気持ちは現代人と変わりはないが、この時期の装身具は権力者あるいは勇者といった特定の者が身に付けたものであろう。出土する装身具には数少ない宝石の類が選ばれているが、中には土製、骨角製のものもある。遺物の中でも装身具の出土例は少ない。種類としては耳飾り、胸飾りなどがあって、単独で、又は、幾つかをつないで用いるものがある。飾り玉には平玉、なつめ玉、管玉があり、縄文後期には原石の良質部を磨き上げた厚味のある平玉が多い。日吉遺跡の墓からは3点の翡翠(ひすい)玉が出土した。直径1センチメートル程度の小玉であるが、その内の1点は「みかん」のような形に作られ、透明度の高い緑色で、わずかに乳白色部を含んでいる。3点のうち1点だけが墓壙の東寄りに離れていたが、首飾りにするために、翡翠玉の間に他のものをつないで使用していたものであろう。
朱漆塗りの櫛は道南地方ではいまだ出土しないが、日高御殿山遺跡の積石墓からはかなり発見されている。透(す)かし彫(ぼ)りのあるものとないものがあって、歯はいずれも欠けているが、頭部が前掛け形をしていて両端の耳が内側を向いている。透かし彫りには、かっこ文と井桁(げた)文があって、透かし彫りのないものは横線文が付いている。櫛の大きさはほぼ同じで、縦5ないし6センチメートル、幅6ないし8センチメートル、櫛の歯は丸味のあるものを植え込んでいる。縦形のこの櫛は頭飾りにしたものであろう。材質は後述する籃胎漆器(らんたいしっき)のように、松科の樹皮を粉末にして樹脂で練り合わせて形を作り、漆をかけて仕上げている。これは北海道における漆塗り技術の存在を伝えた最初のものである。漆塗り技術は、やがて縄文晩期の土器の装飾にも用いられるようになる。 |
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