| 通説編第1巻 第1編 風土と自然 |
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第3章 生物の分布 生息哺乳類の種類/エゾヒグマ/エゾタヌキ/キタキツネ/エゾユキウサギ/ホンドイタチ/オコジョとエゾイタチ(イイズナ)/エゾリス/エゾシマリス/ネズミ類/コウモリ類 |
生息哺乳類の種類 P76 当地域に生息する哺乳動物としては、エゾヒグマ、エゾタヌキ、キタキツネ、エゾユキウサギ、ホンドイタチ、オコジョ、エゾイタチ(イイズナ)、エゾリス、エゾシマリス、その他若干のネズミ類とコウモリ類である。エゾヒグマ P76 津軽海峡以南に分布するツキノワグマが東南アジアの温帯林系に属する1亜種であるのに対し、ユーラシアの寒帯林系に属するヒグマが樺太、北海道にも分布して1亜種を形成したのがエゾヒグマであり、当地域は日本列島におけるヒグマ分布の南限である。エゾヒグマには色相に2型があって、一つは茶褐(かっ)色型、他は毛端のみ黄土色を呈する黒色型で、黒色型はしばしば頸(けい)部に幅広い白帯をもつものがある。エゾオオカミの滅亡した今日、エゾヒグマは本道唯一の猛獣であるが、当地域の生息地帯は亀田山脈一円で、次の捕獲頭数表などから、生息数は多くはないと考えられる。
エゾタヌキ P78 タヌキは東亜の特産で、中国雲南省からアムール地方にかけて広く分布し、その生息地域により6亜種に分けられている。本州のをホンドタヌキ、北海道のをエゾタヌキといってそれぞれ亜種としているが、亜種に分ける必要はないという説もある。当地域では亀田山脈南西斜面、川汲峠、蛾眉野付近にわずかに生息し、明け方か夕方に行動することが多い。雑食性で適応力も強いが、農薬などによる小動物の減少、野犬の増加などが滅亡に拍車をかけている。キタキツネ P78 北海道をも含めて日本産のキツネは色相によりアカキツネの別名を持っているが、細かな亜種区分に基づくと、津軽海峡以南のものをホンドキツネ、北海道、南千島、樺太のものをキタキツネとしている。キツネは北半球に広く分布しているが、日本では減少の一途をたどっている。当地域では、エゾタヌキ同様、亀田山脈南西部の森林地帯から下海岸近くの丘陵部にかけて生息しているが、個体数は少ない。主にネズミ類、エゾユキウサギなどを捕食しているが、夏期にはバッタ類、甲虫類をも捕食している。エゾユキウサギ P78 本州のノウサギは北半球の温帯からアフリカに分布するノウサギ属の一種であるが、北海道のものは、カムチャツカからシベリアに分布するユキウサギの1亜種で、エゾユキウサギといわれている。当地域では近郊の丘陵、草原台地、造林地周辺に住み、草の芽や葉、木の芽や樹皮、穀物や野菜などを食べる。積雪期には雪の上に出ている頂芽を噛(か)み切ったり、樹皮を食べるなど、造林に大害を及ぼしている。冬期は白化する。ホンドイタチ P78−P79 徳川時代の末ころから明治にかけて、ネズミを追って船中に忍び込み、本道へ渡って繁殖したものである。開拓の進行に伴い道内各地へ分布を広げ、東端の根室付近に達したのは昭和10年ころといわれている。当地域では明治中期から目立ち始め、明治から大正にかけては市街地の周辺、近郊の農村で鶏舎や兎(と)舎の被害が出る程増殖した。明治40年、函館の毛皮商松下熊槌はロンドン万国博覧会に渡島産としてこの毛皮200枚を出品したが、質の良好さと大形さで好評を博している。当時に比べると最近では、市街化の進行、捕食小動物の減少、猟具の進歩などにより、当地域の個体数も激減している模様である。オコジョとエゾイタチ(イイズナ) P79 両者ともイタチ科に属し、オコジョはイタチより小形、イイズナは更に小形である。習性はともにイタチに似て精悍(かん)で、ネズミ類を捕食するが、エゾユキウサギなどを襲うこともある。近郊の農村から山麓地帯に住み、家禽(きん)に被害を与えたこともあるが、最近は個体数も激減している模様で被害の報告も聞かない。エゾイタチは冬期白化する。エゾリス P79 欧亜に広く分布しているリス(ユーラシアリス)の2亜種が日本に分布し、本州にはホンドリス、北海道にはエゾリスが生息している。当地域のもエゾリスで、亀田山脈の森林地帯に住んでいる。樹洞に営巣し、年2回出産、行動するのは主に昼間で、冬眠はしない。エゾシマリス P79 カムチャツカ、樺太、アムールなど東シベリアに広く分布するシマリスの1亜種で、エゾリス同様、亀田山脈の森林地帯に生息しているがエゾリスより、やや高地に多い。土中に営巣し、秋にはマツ類の毯(きゅう)果、その他の果実を貯蔵する。冬期は休眠するが、しばしば目を覚して食物をとり排出を行い、再び休眠するといった生活を春まで繰り返す。最近、谷地頭町近くの函館山山麓の雑木林で数頭のシマリスを見かけるが、飼育中の逃亡か、故意に放たれたものかであって自然分布ではない。また、愛玩(がん)用として広く飼育されているチョウセンシマリスかエゾシマリスかの分明もさだかでない。なお、道内の森林地帯に生息しているエゾモモンガは、前後肢(し)間の飛膜によって滑空するが、当地域での分布は確認されていない。 ネズミ類 P79−P80 人家に住みつく家ネズミには、2世紀ころ日本へ渡来したと考えられているクマネズミ(アジア南部原産)と、7世紀ころの渡来といわれているドブネズミ(中央アジア原産)の2種がある。両種とも江戸時代の末ごろから本道へ渡りはじめ、北上する人々を追って道内の各地へ分布を広げたものと考えられている。当地域においても、市街地はもちろん、近郊の人家のあるところには圧倒的に多い。また、人家にはエゾハツカネズミも住んでいるが、前記2種に圧倒されて目立たない。冬期の食物を貯蔵する習性を持つ野ネズミは近郊の耕作地、山麓の雑木林などに多量に生息している。その主なるものはエゾヤチネズミ、エゾアカネズミ、エゾヒメネズミ、ハタネズミ、ミカドネズミなどで、昆虫、樹皮、穀物などを食い、特にエゾヤチネズミ、ハタネズミの造林への被害は甚大である。 コウモリ類 P80 函館山海岸線の洞窟(くつ)、港付近の倉庫街などには若干種のコウモリが生息している。最近は量的に減少している模様であるが、種名、生態に関する精確な調査記録がない。 |
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