はじめに
本市は,昭和61年に「行財政健全化推進要綱」を,平成5年には「行財政運営の
基本方向」を策定し,「健全な行財政運営は不断に取り組まなければならない恒久の
課題である」との認識のもとに第1次,第2次の行財政改革を実施し,これまで,
「最少の経費で最大の効果」を基本に,事務事業や組織機構の見直しによる職員数の
見直しのほか,行財政健全化のための各種施策に積極的に取り組んでまいりました。
しかし,21世紀を目前に控え,急速に進展する少子・高齢化,さらには市民の価値観の
多様化,環境に対する関心の高まりなど,社会経済情勢が大きく変化している中で,
地方分権の推進が実施の段階に至り,地方自治は新しい時代を迎えようとしているが,
一方では,バブル崩壊後の景気の低迷や国の財政構造改革などの影響から,
地方財政は非常に厳しい状況にあります。
このような中で,本市においては,これまでの行財政健全化に向けた諸対策に
とどまらず,21世紀の函館の基盤づくりのために,市民と行政のパートナーシップによる
まちづくりを基本として,自ら考え,自ら決定し,自らの責任において施策の推進にあたる
「政策立案型の小さな市役所」を実現し,新たな行政課題や多様化・高度化する
市民ニーズに即応した各種施策を積極的に推進するとともに,本市の特性を活かした
活力と潤いに満ちたまちづくりに,全力を挙げて取り組む必要があります。
また,財政運営については,厳しい財政状況の中で,中長期的な財政運営の見通しの
把握のほか,事務事業の再評価や経費全般の節減合理化などを図り,創意と工夫を
凝らしながら,限られた財源の重点的かつ効果的な配分をすることが求められております。
このような認識のもとに,本市を取り巻く社会経済情勢の変化に柔軟かつ弾力的に
対応するために,新たな視点に立った第3次の行財政改革に取り組むことが不可欠で
あることから,本市においては,公募委員を含めた各界各層の市民からなる
「第3次函館市行財政委員会」からの行財政全般にわたる提言や市議会,関係団体等の
意見を踏まえ,庁内組織である「行財政対策推進委員会」において,総合的な検討を加え,
ここに新たな行財政対策推進要綱を策定するものであります。
I 行財政改革を推進する基本的な考え方
行財政改革を推進するに当たっては,「最少の経費で最大の効果」の原則のもとに,
スクラップ・アンド・ビルドを基本として,市民と行政のそれぞれの役割を明確にしながら,
事務事業,組織機構の見直しなど,行財政全般にわたって見直しを図る「量的改革」と,
これまでの国依存の体質から脱却し,市民ニーズ等を的確に反映させながら,自己決定,
自己責任のもとで施策を着実に実施することができる行政システムの構築やその原動力となる
人材の育成・確保を図る「質的改革」を推進し,来るべき21世紀の新時代にふさわしい都市の
創造に向けて,第3次函館市行財政委員会の提言の柱である「投資効果の高い行財政運営」
「自治体経営の視点に立った行財政改革」「参加と公開型の自治体改革」の考え方を踏まえ,
次に掲げる3つの視点で,行財政全般にわたって見直しを行います。
行財政改革の3つの視点
21世紀の新時代に
ふさわしい都市の創造
《政策立案型の小さな
市役所の実現》
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1 簡素で効率的な「都市経営」
(経営の視点を導入した簡素で効率的な行政の推進)
2 市民と協働する「都市運営」
(市民とのパートナーシップによるまちづくりの推進)
3 自己決定・自己責任による「都市の自立」
(地域の施策を自らの責任において決定し実行する自治体の確立)
II 行財政改革を推進する基本的な施策
1 簡素で効率的な「都市経営」
《社会経済情勢と行政需要の変化に即応し経営の
視点を導入した簡素で効率的な行政執行のために》
(1)多様化・高度化する行政需要に即応した効率的な行政運営の確立
新たな行政需要や市民ニーズを的確に把握するとともに,社会的弱者へ
配慮し,事務事業の緊急度,優先度を勘案しながら,簡素・効率性を追及
するほか,社会経済情勢の変化に柔軟に対応できる組織機構の見直しを図り
ます。
[1]事務事業の見直し(事務事業の簡素効率化)
行政の責任領域を見直し,行政関与の必要性,行政効率や効果等を十分
に検討のうえ,事務事業の抜本的な見直しに努めます。
[2]簡素で効率的な弾力性のある組織体制の構築(組織機構の見直し)
組織の肥大化を抑制し,新たな行政課題や多様な市民ニーズに柔軟に
対応した施策を,総合的・機能的に展開できる,簡素で効率的な弾力性の
ある組織とします。
[3]適正な定員管理(職員数の見直し)
適正な人員で適切な行政サービスを提供するため,事務事業・組織機構
の見直しなどを推進するとともに,新たな行政需要に対しては,スクラッ
プ・アンド・ビルドを基本として必要な人員の確保に努めます。
[4]給与制度の見直し
国や他の自治体,民間企業の給与等との均衡に配慮しながら,給与制度
の適正な運用および必要な改善に努めます。
(2)健全な財政運営の確立
本市の財政は,これまでの行財政改革により一定の改善を図ってきたが,
いまだ厳しい状況にあり,特に,人件費や扶助費,公債費などの経常経費の
支出比率が依然として高いなど,財政の弾力性に乏しい状況が続いています。
このため,市税収入の確保や使用料・手数料の見直しなど,安定した財政
基盤の確立に努めるとともに,経常経費の節減や事務事業の再評価を行う
など,健全な財政運営に努めます。
[1]中長期的展望に立った財政運営の推進
経済状況や地方財政対策を的確に把握し,中長期的な財政見通しに立っ
た計画的な財政運営に努めます。
[2]自主財源の確保
安定した自主財源を確保するため,市税等の収納率向上に努めるととも
に,受益者負担の原則に基づき,使用料や手数料,補助金等の見直しを
図ります。
[3]効率的な財政運営の推進(経費全般の節減合理化)
経費全般について節減合理化により,予算の厳正な執行を図るとともに,
事業の必要性,緊急度,優先度を改めて検討し,効率的な財政運営を推進
します。
[4]公営企業の経営健全化
公営企業については,公共の福祉の増進を図るとともに,独立採算制
の原則に立ち,経営の効率化や料金の適正化等による収支の均衡を図り,
健全な運営に努めます。
ただし,交通事業については,市全体としての交通環境,福祉面,都市
の開発などに十分配意しながら,経営形態のあり方等について抜本的に検
討しているところであり,その方向付けを踏まえ,健全な運営に努めます。
(3)官民の役割分担の明確化
事務事業の執行に当っては,行政の責任領域の見直し,行政関与の必要性,
受益と負担の公平確保,行政効率・効果等を十分勘案し,民間の持つ技術,
経験,能力等を有効に活用します。
[1]民間のノウハウの活用
民間の発想や手法,専門的な技術・知識・経験等を活用し,行政運営の
効率化および市民サービスの向上に努めます。
[2]外部委託の推進
行政責任や市民サービスの確保,委託効果,民間能力の活用などについ
て総合的に検討して外部委託を推進し,民間企業等の創意工夫をまちの
活性化につなげます。
2 市民と協働する「都市運営」
《市民とのパートナーシップによるまちづくりを推進するために》
(1)公平・公正で透明性のある行政運営の確立
政策やビジョンなどの行政情報の提供を通じて,市民と行政の情報の共有
化を図り,より公平・公正で透明性のある,市民にわかりやすい行政の実現
を図ります。
[1]市民と行政の情報の共有化(行政情報の提供)
市民と行政の情報の共有化を図るため,適時適切に行政情報をわかり
やすい内容で提供します。
[2]監査機能の充実
行財政運営のより公正かつ効率的な運営を図るため,監査機能の充実に
努めます。
(2)市民参加の行政運営の確立
附属機関等への参加機会の拡充やワークショップ方式などの活用のほか,
多様な広報広聴活動を通じ,男女共同参画社会の重要性を踏まえて市民参加
を促進し,市民と行政のパートナーシップの醸成や市民の自治意識の高揚を
図ります。
[1]市民とのパートナーシップによる行政の展開
政策の形成や事業の実施にあたって,市民が主体的に参加できるよう
附属機関等への参加機会の拡充やワークショップ方式などの活用を図り
ます。
[2]市民の自治意識の高揚
まちづくりに対する共通理解を深め,市政に対する市民の参加意識,
連帯意識の高揚に努めます。
[3]広報・広聴機能の拡充
市民ニーズを的確に把握し,市民と協働のまちづくりを推進するため,
広報・広聴機能を拡充します。
3 自己決定・自己責任による「都市の自立」
《地域の施策を自らの責任において決定し実行する自治体を確立するために》
(1)地方分権型社会にふさわしい行政運営の確立
これまでの国主導による集権的な行政システムから,地域自らの責任に
おいて,自主的,主体的に政策を選択し決定するシステムに変革し,地域
独自の工夫を加えた質の高い政策の形成に努め,行政水準の向上を図ります。
[1]政策形成機能・企画調整機能の充実強化
自己決定・自己責任の原則に基づく政策決定や,各部における各種施策
の企画調整および進行管理等の機能を高める体制を整備します。
[2]縦割り行政の見直しと横断的な行政課題への対応
縦割り行政を見直し,横断的な課題に対応するため,機動力,総合力を
発揮できる体制を確立し,様々な行政課題に柔軟に対応していきます。
[3]国・道への働きかけ
地方税財源の充実,国庫補助金の一般財源化,地方債措置の改善などを
働きかけ,地方分権に対応した地方財政基盤の確立と強化を図ります。
(2)多様な人材の育成・確保
地方分権に対応し,自己決定・自己責任の原則のもとに施策を推進してい
くためには,その原動力となる人材の育成・確保が強く求められることから,
全体の奉仕者としての職員の能力開発や意識改革を図るとともに,民間経験
者などの多様な人材の確保に努めます。
[1]職員の能力開発と多様な人材の確保
政策形成能力や創造的能力,法務能力等の向上のために,多様な研修
機会の提供や研修体制の強化を図るなど,職員研修の充実に努めるととも
に,組織の活性化を図るため,いろいろな分野で優れた能力や知識,経験
を有する職員の採用など,多様な人材の確保に努めます。
[2]職員の意欲と意識の向上
自主的な研究活動の醸成など,職員の自己啓発や意識改革が図れる環境
づくりやシステムづくりに努めます。
III 行財政改革の具体的な取り組み
1 取り組み期間
この要綱に基づく行財政改革の取り組み期間は,平成12年度から平成21年度までの
10カ年とします。
2 実施計画の策定
行財政改革を計画的に推進するため,具体的な取り組み項目や数値目標を設定した
「実施計画」を策定します。
実施計画は,前期5カ年,後期5カ年とし,それぞれの期間内で毎年度ローリング方式で
逐次見直しを図ります。
3 進行管理と推進体制
行財政改革の取り組みは,「第3次函館市行財政委員会」にその進捗状況を
逐次報告し,適宜提言をいただくとともに,市議会や関係団体等の意見を踏まえ,
「行財政対策推進委員会」において推進します。
おわりに
第3次行財政改革は,21世紀における本市のまちづくりを推進するための
行政システムを構築するものであり,この行財政改革をより効果的に進めるため,
市民の皆様のご理解とご協力をはじめ,市議会や関係団体のお力添えをいただき
ながら,職員一丸となって全力を挙げて取り組む決意であります。
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