【世界遺産】函館市の構成資産について

2018年1月4日

現在函館市では324カ所の埋蔵文化財包蔵地(遺跡)が登録されています。そのうち「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のある南茅部地域には94カ所の遺跡が確認されており,うち90カ所が縄文時代の遺跡です。

 

  

目の前に広がる海産資源が豊富な太平洋と,背後に控える緑豊かな山々,山と海を繋ぐ大小数々の河川などの自然環境は,現在の漁業を支える源であるだけでなく,自然と共に生きた縄文時代の人々にとっても大きな財産でした。

  

南茅部地域ではこれまでに約半数の遺跡の発掘調査が行われ,竪穴建物跡や土坑といった多数の遺構や,土器・石器をはじめとした膨大な数の遺物が見つかっており,その数は400万点を優に超えます。その中には北海道唯一の国宝「土偶」(中空土偶)や世界最古の漆製品,優れた技術や交易を示すアスファルト塊など,貴重な資料も数多く発見され,学術的成果を挙げています。このような特徴的な遺跡群を総称して“南茅部縄文遺跡群”と位置付け,新たなまちづくりや観光振興の創出を目指して,これまで史跡の整備や函館市縄文文化交流センターの建設を実施しています。

  

そのような“南茅部縄文遺跡群”にあって,特に重要な遺跡として国の史跡に指定されている大船遺跡と垣ノ島遺跡は,「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として,世界文化遺産の正式登録を目指しています。

  

国宝中空土偶の写真

国宝「土偶」

(著保内野遺跡出土)

世界最古の漆製品の写真

世界最古の漆製品

(垣ノ島B遺跡出土)

 


 史跡大船遺跡と史跡垣ノ島遺跡の位置図

 史跡大船遺跡と史跡垣ノ島遺跡の位置

 

 

史跡大船遺跡  

  • 資産種別:集落跡
  • 時期:縄文時代前期末葉から中期末葉(紀元前3千年から2千年頃)
  • 指定日:平成13年8月13日
  • 指定面積:71,823.03平方メートル
  • 主な遺構:竪穴建物跡,盛り土遺構,墓坑,貯蔵穴,落とし穴
  • 主な遺物:土器,石器,土偶,青竜刀形石器,クジラ・クリなど動植物遺体など

 

函館市大船町の大舟川西岸の海岸段丘に位置する史跡大船遺跡は,平成8年に墓地造営に伴う発掘調査で多数の竪穴建物跡や盛り土遺構,膨大な土器や石器などが発見され,重要な遺跡として文化庁や北海道教育委員会など関係機関と保存に向けた協議を重ねながら,範囲や内容の確認調査を経てその重要性が認められ,平成13年8月に国の史跡に指定されました。 

 

大船遺跡の特徴は,住居の規模が大きく遺構の密度が非常に高いこと,約千年にわたり継続して集落が営まれ,特に後半期においては連続的に住居形態の変遷が捉えられていることが挙げられます。大船遺跡では深さ1.5~2m,長さ8~11mを超える大型住居が発見されていて,最も深いものでは深さ2.4mを測ります。これは安定した定住生活が営まれていたことを示しています。さらに土器や石器などの生活道具のほかに,クジラやオットセイの骨,炭化したクリなど,当時の環境や生業,食糧事情を知る上で重要な資料も見つかっています。 

 

また,周囲には豊かな海や森,サケが遡上する大舟川が流れるなど,当時を偲ばせる自然環境も魅力の一つです。 

 

竪穴建物跡の写真
深さ2.4mの竪穴建物跡

クジラの椎骨の写真
クジラの椎骨


 
平成15年度の公有化事業を経て,市町村合併後の平成19年から21年度にかけて,史跡の整備を実施しました。整備は,竪穴建物などを復元した「縄文のにわ」を中心に,土器作りや野焼きなどの体験を行う「縄文の原(はら)」や,当時の植生復元を目指して市民による植栽を進めている「縄文の森」があります。また,遺跡の一角にある管理棟は,現在トイレや休憩等の便益施設として利用できるほか,地元ボランティア団体の活動の場としても活用されています。現在では年間およそ1万人の市民や観光客が遺跡を訪れています。 

 

整備された大船遺跡の空撮写真

整備された大船遺跡(縄文のにわ)

 

大船遺跡の平面図

 整備平面図

 

復元された竪穴建物の写真

復元された竪穴建物 

 

大船遺跡見学会の写真
見学の様子

土器の野焼きの写真
土器の野焼き


 
   

史跡垣ノ島遺跡

 

  • 資産種別:集落跡,記念物(盛り土遺構)
  • 時期:縄文時代早期前半から後期末葉(紀元前7千年から1千年頃)
  • 指定日:平成23年2月7日
  • 指定面積:92,749平方メートル
  • 主な遺構:盛り土遺構,竪穴建物跡,墓坑,貯蔵穴,配石遺構
  • 主な遺物:土器,石器,青竜刀形石器,石棒,ヒスイ製垂飾品など

 

函館市臼尻町の縄文文化交流センターに隣接した海岸段丘上に位置する史跡垣ノ島遺跡は,平成12~15年度に遺跡の南端部で国道改良工事に伴う発掘調査が実施され,縄文早期末葉(紀元前5千年頃)の墓域から17点もの足形付土版や,後期後半の住居床面から祭祀儀礼に伴うと考えられる漆塗り注口土器や双胴土器といった遺物がまとまって出土するなど,数多くの貴重な成果が得られました。遺跡の重要性が高まったことから文化庁や北海道教育委員会と遺跡の保存に向けた協議を重ねながら,平成15年度には台地の中央で縄文後期初頭を主体とした「コ」の字形をした大規模な盛り土遺構の存在が確認されるとともに,平成21年度まで詳細分布調査を行い,縄文早期前半(紀元前7千年頃)から後期後半(紀元前1千年頃)にかけて長期間にわたり,拠点集落だったことが明らかになり,各所における様相を確認しました。それらの成果から平成23年2月に国の史跡に指定されました。

 

垣ノ島遺跡の平面図

史跡全体図

 

垣ノ島遺跡の特徴は,縄文時代早期前半から後期後半までのおよそ6,000年間という長期にわたり地域の拠点となる集落が営まれたことで,時期毎の台地利用の変遷がうかがえます。加えて前期後半から後期初頭にかけてつくられた盛り土遺構は,長さ190m以上,幅120mにおよぶもので,国内でも最大級の規模です。これは道具や食料となった動植物に対して感謝の気持ちや再生の願いを込めて儀式を行った「送りの場」だったと考えられます。一方,盛り土に囲まれた中央部分には,「丘状遺構」と名付けた小さな高まりがあり,青竜刀形石器や石棒など特殊な遺物が出土していることから,祭祀・儀礼が行われた特別な場所と考えられます。また道(通路)と考えられる構造も見つかっています。なお,世界最古の漆製品(紀元前7千年頃)が出土した垣ノ島B遺跡は,垣ノ島川を挟んだ対岸にあります。

 

平成24~25年度にかけての公有化事業を経て,25年度から史跡内容確認調査を実施し,盛り土遺構の全体規模や形状を捉えることができ,加えて良好に保存されていることもわかりました。平成29年度からは史跡の整備に着手しており,隣接する縄文文化交流センターと一体となった活用・公開を目指しています。

 

※現在は公開日等を除き,非公開としています。

 

盛り土遺構全景の写真.jpg

盛り土遺構全景

 

盛り土遺構の土層と遺物の写真

盛り土遺構の土層と遺物

 

青竜刀形石器の写真
青竜刀形石器

土器の写真
土器


 

垣ノ島遺跡整備後のイメージ図

整備イメージ 

 

 

 

 

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