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平成29年度市政執行方針

公開日 2017年02月23日

更新日 2022年03月04日

平成29年度市政執行方針

1 はじめに

2 市政のテーマと重点的な取り組み

3 主要施策の推進
   (1) 函館の経済を元気にします
   (2) 子どもたちと若者の未来を拓きます
   (3) 市民の安全・安心を守ります
   (4) まちの魅力をさらに高めます
   (5) 行財政改革と広域連携の強化に努めます  

4 むすび

 

1 はじめに 

平成29年第1回市議会定例会の開会にあたり,市政執行につきまして,私の所信を申し述べさせていただきます。

 

私は,市民の皆様のご支援のもと,二期目の市政を担わせていただいておりますが,本年はその折り返しの年となります。

市長に就任してから今日まで,皆様の負託に応えるべく,現実を見据え,まちの将来に向け,各般の施策に取り組んでまいりました。

「函館の再生」を旗印に,財政の再建とともに,経済,福祉,教育など幅広い分野において,皆様とともに間断なく取り組んできたまちづくりは,いまだ道の途上にありますが,函館の新たな可能性は広がってまいりました。

一方,日本全体が少子・超高齢社会という構造的な問題を抱え,人口減少が今後急速に進んでいくなかにあって,私たちの前には多くの難題が立ちはだかっております。

本市の人口も依然として減少に歯止めがかからず,厳しい状況ではありますが,少しでも人口減少を抑制し,まちの活力を維持していかなければなりません。

私は, 多彩な魅力にあふれ, 活力ある未来を切り拓くため,さまざまな課題に真正面から向き合い, 引き続き市政運営に全力を尽くしてまいります。

 

昨年は,3月26日に北海道新幹線が開業し多くの観光客が訪れたことに加え,本市で初めて開催したフルマラソンなど各種の開業記念イベントを実施したほか,函館アリーナにおいて全国規模の大会が数多く開催されるなど,新しい人の流れが生まれ,まちは活気と賑わいにあふれました。

函館駅前では,新たな集客交流施設として,親子向けの体験施設である「はこだてキッズプラザ」や先端技術を活用し学び遊べる「はこだてみらい館」を,また,高齢者などの交流と憩いの場として「ふらっとDaimon」をオープンしたほか,開放感ある町並みとする函館駅前通の整備が進められるなど,まちの変化が目に見えてきています。

さらに,念願でありました若松地区での旅客船ふ頭の整備が始まり,中心市街地でのクルーズ客船の受け入れに向け,大きな弾みとなった年でもありました。

 

一方,我が国では,熊本地震などの大地震や,台風10号による記録的な豪雨などの自然災害が相次ぎました。

本市においても,6月に震度6弱という過去最大の地震が発生したほか,夏には短期間に4つの台風が北海道に上陸または接近し,住宅や学校,農漁業施設などに大きな被害を受けたところであります。

市民の生命と財産を守り,市民が安心して暮らすためには,自然災害は,いつでも,どこでも起こりうるという意識を持ち,不断の防災や減災の対策が重要であることをあらためて認識したところであります。

 

北海道新幹線が開業した今,本年はまさに新しい時代に踏み出す「ポスト新幹線元年」であります。

本市は,近代日本の玄関口として,また,本州と北海道を結ぶ結節点として交流を重ね,長い年月をかけて新しい文化や人材を育んでまいりました。

恵まれた自然環境や豊かで魅力ある食をはじめ,国宝「中空土偶」を生み出した縄文文化,我が国最初の国際貿易港として港を開いた歴史や異国情緒漂う町並み,特色ある産業やさまざまな分野の学術研究機関の集積など,多様な資源を数多く有しているほか,北海道新幹線開業により, 陸・海・空の交通の要衝としての優位性は,より一層高まっております。

しかし,こうした函館の優れた資源は,磨き上げる余地がいまだ多く残されています。

本市のまちの魅力は全国的に高く評価されておりますが,経済の再生はもとより,福祉や教育などさまざまな分野において,新たな発想による施策を展開し,あらゆる資源をさらに磨き上げ,名実ともに魅力あるまちにしていかなければなりません。

今ある函館の魅力は, 国内外から多くの人が訪れ, 交流し,私たちの先人が気概を持って培ってきたものです。

しかし,歳月を重ねるにつれ,現状に甘んじ,こうした歴史への理解や未来へまちを繋いでいくという意識が希薄になりつつあります。

私は,今あらためて,このまちの先人の気概を次世代に引き継いでまいりたいと考えております。

私たちが行うべき未来への投資は,目に見える形でまちの姿を変えることだけではありません。

まちの魅力を高める原動力は,市民一人ひとりのまちへの誇りと愛着です。まちへの誇りと愛着を失ったまちづくりは成就しません。

人口減少は避けられない現実であります。

この厳しい現実を直視しながら,自らの創意により気概を持って郷土発展の夢を描き,まちづくりを担う「人への投資」が必要となります。

次の時代を担う子どもたちや若者が,まちの自然,文化,歴史,産業を学び,郷土への誇りと愛着を持ち,人との絆を大切にこのまちで生きていく,私はそのような姿を思い描きながら,堅実に,しかしスピード感を持って,市政に取り組んでまいります。

 

2 市政のテーマと重点的な取り組み

市政を進めるうえでは,「活気に満ちたまち,歩いて楽しいまち,訪れたくなる美しいまち, 住む人にやさしいまち」をめざし,一人ひとりの市民が幸せを感じ,このまちを誇りとしていつまでも住み続け,心豊かに暮らしていくことができる地域社会の実現に向け,引き続き,

◯ 交流人口の拡大

◯ 若者の雇用創出

◯ 少子化対策

◯ 高齢者の安全・安心
という4つの大きなテーマを掲げ,函館のまちづくりに取り組んでまいります。

 

また,特に「ポスト新幹線時代」において,私は,

◯ デザイン性の高い美しい町並みを整備し,町全体が公園となる「ガーデンシティ函館」の実現

◯ 食の魅力を生かし,国内外から多くの人が訪れるグルメのまち・美食のまちをめざす「食の産業化」の推進

◯ イベントを体系化・組織化し,年間を通して連続させていく「フェスティバルタウン」の形成

◯ 新幹線や高規格幹線道路,重要港湾,拠点空港がコンパクトに揃う利点を最大限に生かした陸・海・空の交通の有機的な活用
の4点について重点的に取り組んでまいります。

 

3 主要施策の推進

次に,市政を推進するための主な施策についてご説明申しあげます。

 

(1) 函館の経済を元気にします 

1点目は,函館の経済を元気にすることです。

 

私は,函館の経済再生を最優先課題と位置づけ,中心市街地活性化や函館アリーナの建設などさまざまな取り組みを進めてまいりました。

これらの取り組みと北海道新幹線の開業効果が相まって,交流人口が拡大し,まちに新たな活気と賑わいが生まれてきています。

一方,サービス業を中心に人手不足が深刻化し,雇用のミスマッチが生じており,また,イカやコンブなどの水揚量が大きく減少し,漁業や水産加工業をはじめとした地場産業への影響が顕在化しているほか,人口減少に伴い地域の消費活動が縮小するなど,本市を取り巻く経済環境は変化してきております。

こうしたなか,私は引き続き,交通の要衝としての優位性を生かし,地場産業の振興や企業誘致はもとより,交流人口の拡大に取り組み,地域経済の活性化や若者をはじめとする雇用の創出を図るなど,経済の再生に繋がる取り組みを間断なく進めてまいります。

 

観光振興については, 北海道新幹線の開業や航空路線網の拡充による新たな人の流れをより確かなものとしていくため,食と観光の一体的なプロモーションを展開するとともに,冬季の観光客誘致を強化します。

海外では,中国,台湾,シンガポールなどにおいてプロモーション活動を展開するとともに,新たに中国向けに観光PR動画を配信するなど,函館の知名度向上に努め,外国人観光客のさらなる増加をめざします。

また,本年はハリファックス市との姉妹都市提携35周年に加え,クリスマスファンタジーの開催が20回目を迎えることから,これを記念し,相互に訪問するとともに,新たに整備が進む若松ふ頭の利用を促進するため,フロリダ州においてクルーズ客船の誘致を行うなど,カナダ,アメリカでのシティセールスを実施します。

さらに,ユジノサハリンスク市との姉妹都市提携20周年を記念し,公式訪問団の相互派遣や青少年文化芸術団の受け入れを行うなど,交流を促進します。

 

地場産業の活性化について,水産業では,漁港や漁場の整備,種苗放流事業などによるつくり育てる漁業の促進,函館ブランドを生かした水産物のPR強化,さらには研究機関と連携したホッケの資源量減少の要因解明や回復手法の研究など,水産業の持続的発展に向け, 第2 次水産振興計画に基づき各種事業を着実に進めます。

農業では,農地の整備や農作物の収穫および出荷体制の強化を図るほか,新規就農者の支援などに取り組み,生産者の経営安定や担い手の確保に努めます。

「食の産業化」については,はこだて美食フェスタを継続して開催するとともに,新たに美食ポータルサイトを構築するほか,地域の食材に関する料理人の勉強会の開催や,生産者をはじめ教育機関,行政などとの連携体制の構築など,食によるまちの活性化に向けた取り組みを進めます。

物産の販路拡大では,引き続き国内外での取り組みを進めるとともに,新たに台湾の百貨店において本市単独の物産展を開催するなど,「メイド・イン・ハコダテ」の安全で美味しい特産品のPRに努めます。

また,ふるさと納税について,特産品を返礼品として充実させるとともに,民間ポータルサイトの活用により,広く全国へ情報発信し,地場産品の消費拡大を図ります。

 

商工業の振興では,元気いっぱい商店街等支援交付金について,商店街が自らの課題解決に向け実施する事業への支援制度を新設し,商店街の活性化を図るほか,イカ原料が不足していることから,引き続きイカ加工業者向けの低利融資の優遇措置を講じます。

新たな雇用の場を創出する企業誘致については,高等教育機関や研究機関が集積する優位性を生かし,IT技術者の人材育成支援などの優遇策により, 引き続きI T 企業の誘致を進めるほか,市外企業の工場新設などに対する支援を拡充します。

 

(2) 子どもたちと若者の未来を拓きます

2点目は,子どもたちと若者の未来を拓くことです。

 

本市では,若年層の転出超過などにより,子どもを産み育てる世代の人口減少が進み,出生数も減少が続いております。

私は,一人でも多くの市民が安心して子どもを産み育てることができる環境整備に努めるとともに,引き続き子ども・子育てに関する施策を総合的に推進するほか,子どもたちの教育環境の充実を図ります。

また,郷土函館を大切にする心を育み,自らの夢に挑戦し,未来を切り拓く力を養っていくための取り組みを進めてまいります。

 

子どもに関わる施策については,子どもの社会参加を促進する「函館市子ども会議」を開催するほか,いじめや虐待などの未然防止や早期発見はもとより, 迅速かつ適切な対応を図るため,「子どもなんでも相談110番」を拡充するとともに,いじめや不登校に対応する相談員を増員するなど,子どもが夢と希望を持ち健やかに成長できる環境の整備に努めます。

 

子育て支援については,「マザーズ・サポート・ステーション」における支援体制を拡充するとともに,新たに子育て支援に関する幅広い情報を提供する「子育てアプリ」を導入します。

また,子育て世帯向け市営住宅の供給や,ヤングファミリー住まいりんぐ支援事業の推進により,住居費負担の軽減を図るほか,子どもの貧困対策に向け,子育て家庭を対象とした子どもの生活実態調査を実施します。

さらに,特定不妊治療の助成に加え,不育症の治療に対する助成制度を新設するほか,産後うつの予防・早期発見などのための新たな産婦健康診査事業に取り組むなど,出産前から子育て期にわたる切れ目のない支援の充実を図り,子育て世代が抱える経済的・心理的な負担の軽減に努めます。

 

学力向上に向けた取り組みについては,学力向上非常勤講師について,中学校に加え小学校にも配置するほか,アクティブ・ラーニング推進事業やアフタースクールの拡充,さらには中学生の海外派遣事業や高校生の海外留学事業を実施します。

また,篤志家からの寄附を財源として,新たに,返済を必要としない奨学給付金制度を創設し,経済的な理由により修学が困難な大学生を支援します。

 

子どもの健全育成については,新たな取り組みとして,保育士資格を有する未就業者の就職支援を実施するなど,人材確保を図り保育サービスの向上に努めるほか,放課後児童クラブを拡充するとともに,中学校の部活動において技術指導ができる地域支援者の活用校を増やすなど,保育・教育の質の向上をめざします。

また,小・中学校の再編については,巴中学校校舎の新築工事を進めるとともに,潮見中学校校舎の改修に着手するなど,教育環境の整備を進めます。

 

このほか,先人が築いてきた函館の歴史と魅力,さらに現状などへの理解を深める映像の制作に向けた取り組みに着手するなど,次代を担う子どもたちのまちに対する誇りや愛着を育みます。

 

次に,若者の就労支援については,IT人材の育成や将来的なIT技術者の拡大を図るため実施しているプログラミング教室を拡充するとともに,新たに指導者を育成します。

また,若者の創業を支援するため,創業者との交流や学生向けセミナーの実施などにより,これからの函館を担う若者が創業にチャレンジしやすい環境を整えます。

さらに,中心市街地の空きオフィスを活用し事務所などを開設する市外の事業者に対し,支援内容の拡充を図り,中心市街地における立地を促進するなど,若者の雇用機会の拡大を図ります。

女性の就労支援では,キャリアカウンセリングやスキルアップ研修のほか,企業に対し就業環境を整えるためのコンサルティングを新たに実施するなど,ライフスタイルに合わせたきめ細かな支援に取り組みます。

 

(3) 市民の安全・安心を守ります

3点目は,市民の安全・安心を守ることです。

 

本市では,全国や全道平均を上回る速さで高齢化が進行するなか,生涯活躍のまち形成事業として全国に先駆けて国の認定を受けた福祉コミュニティエリアにおいて本格的な整備がはじまるなど,先進的な福祉のまちとして,高齢者や障がい者が生きがいを持ちながら社会参加できる環境の整備に取り組んでいます。

私は今後とも, 保健福祉や防災対策などの分野において,市民がともに支え合い, 子どもから高齢者まで誰もが健康で安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

 

健康の維持・増進については,がん対策をはじめ,たばこ対策,生活習慣病予防,食育などに取り組むとともに,これらの普及啓発を一体的に実施するなど,内容のより一層の充実を図り,市民の健康寿命の延伸をめざします。

 

高齢者の保健福祉施策としては,「地域包括ケアシステム」の構築をめざし,新たに医療・介護連携支援センターを開設するとともに,介護予防への取り組みを強化するため,「くらしのサポーター」の養成や,地域住民グループへの支援などを行うほか,高齢者本人の状況に応じた訪問型・通所型サービスをはじめとする介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施に努めます。

また,幅広い人材の介護現場への定着を促進するため,新たに研修受講への支援を行うなど,人材の確保を図るほか,認知症初期集中支援チームの配置に向けた準備を進めるなど,認知症の方や家族への支援に努めます。

障がい保健福祉については,障がいのある方への地域生活における支援体制の充実や社会参加の拡大に努めます。

 

次に,市民活動を促進するため,亀田地区統合施設の整備に向けた実施設計を行うほか,町会が地域活動に必要な備品や設備を整備する際の助成について,より利用しやすい内容に変更します。

このほか,女性に関する相談・支援については,これまでのDVの相談対応に加え,ストーカー被害や身近な人からの暴力などにも対応できるよう相談体制を拡充するほか,関係機関と連携し,性暴力被害者に対する支援体制の構築に努めます。

 

防災対策については,市民の生命や財産を守るため,洪水や土砂災害などに関する最新のハザードマップを閲覧できるサイトを公開し,市民に対する情報提供体制を強化します。

公共施設の耐震化では,市役所本庁舎の改修工事や南茅部支所庁舎の耐震診断を行うほか,戸倉中学校の屋内運動場を改築するとともに,亀田小学校校舎の改修に向けた実施設計を行います。

また,民間建築物については,法律で耐震診断が義務づけられた大規模建築物に対し,引き続き耐震改修費用の一部を助成することにより耐震化を促進します。

空き家の対策については,函館市空家等対策計画に基づき,重点対象地区における危険な空き家の解消や利活用を促進するため,引き続き解体や改修費用の一部を助成します。

公営住宅の整備については,大川中学校跡地を活用した市営住宅大川団地の整備に向けた基本設計を行います。

 

環境保全・廃棄物対策については,ごみの排出抑制や減量化,再資源化を進め,適正処理に努めるとともに,清掃工場の維持補修を継続して実施するほか,新たな廃棄物処理施設の整備基本計画を策定します。

 

大間原子力発電所の建設差止訴訟については,東京地方裁判所において引き続き審理が進められておりますが,建設の無期限凍結実現に向けて,これからも強い決意を持ち,対応してまいります。

 

(4) まちの魅力をさらに高めます

4点目は,まちの魅力をさらに高めることです。

 

本市は,開港の歴史とともに,先人が築いてきた美しい町並みをはじめ多様な観光資源を有し,また,北海道新幹線の開業や航空ネットワークの拡大のほか,クルーズ客船の寄港数の増加,さらには高速道路網の整備が進むなど,交通網の充実に伴い,函館を訪れる観光客が増加しています。

私は,今ある観光資源の磨き上げや歴史的建造物などの保存整備を進め,次世代への継承に努めるとともに,さらにまちの魅力を高めるため,デザイン性に配慮した町並みの整備に取り組むなど,市民生活と観光などが融合した回遊性の高い,そして訪れるたびに新たな発見があるまちづくりを進めてまいります。

 

「ガーデンシティ函館」については,中臨港通をはじめとする道路整備や末広地区緑地などの整備を促進するほか,新たに函館山の遊歩道の再整備に着手するなど,見て,歩いて,感じて楽しいまちづくりを進めます。

中心市街地では,若者をはじめ市民が気軽に立ち寄ることができる交流の場として,本町地区の複合ビル内に「函館コミュニティプラザ」をオープンするとともに,「はこだてみらい館」のコンテンツを充実するほか,函館駅前の市有地では,民間活力による宿泊施設と商業施設の一体的な整備を促進します。

また,函館駅前通は,電線類の地中化を促進するとともに,照明や歩道のグレードアップを図るほか,グリーンプラザについては,人の集まる場所としての再生をめざし基本設計を行うなど,魅力ある賑わい拠点の創出を進めます。

 

「フェスティバルタウン」の形成については,市内のイベント情報を集約し,その魅力を広く発信してまいります。

観光客の受入体制については,観光ガイドのスキル向上などの人材育成に取り組むとともに,市民や観光関係者を対象とした講演会やセミナーを開催するなど,ホスピタリティの向上に努めます。

また,外国人観光客の相談にきめ細かく対応する「コンタクトセンター」を開設し,安心して観光することができる環境の整備を進めるほか,観光説明板の多言語化などに取り組みます。

 

市民の共有財産である歴史的な町並みを次の世代へと継承する取り組みとしては,特別史跡五稜郭跡の保存整備などを進めるほか,重要文化財函館ハリストス正教会復活聖堂の耐震診断費用の一部を助成します。

また,史跡垣ノ島遺跡の公開に向けた整備に着手するほか,縄文シティサミットの開催などにより,縄文文化の啓発を図るとともに,縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みを推進します。

 

交通体系の整備について,高速道路網では,北海道縦貫自動車道や函館・江差自動車道,函館新外環状道路の着実な整備,さらには松前半島道路の事業化に向けた調査促進について,引き続き国に要望してまいります。

港湾では,若松地区の旅客船ふ頭の早期供用を国に要望するとともに,船舶交通などの安全性について航路体系調査を実施するほか,クルーズ客船の誘致に向けた積極的なポートセールスを展開し,「みなとまち函館」の復活をめざします。

航空路線網の拡充では,引き続き函館空港に新規に就航する国際定期便などについて着陸料の助成を行うほか,新たに国内線を対象に,新規の定期便就航に対する着陸料を経済界とともに支援するなど,国内外の新規路線の就航を促進します。

公共交通では,市電と函館バスへのICカードシステムの導入により,市民はもとより観光客の利便性が向上するなかで,新たに定期券システムや高齢者・障がい者の交通料金助成システムの整備に取り組みます。

また, 市電においては, 超低床車両への更新を進めるほか,千代台と松風町の停留場の整備を進め,バリアフリー化を促進します。

さらに,将来にわたって持続できる公共交通網を構築するため,バス路線網の再編や交通拠点の整備に向けた取り組みを進めます。

 

このほか, 都市機能や居住機能の適正な立地誘導を進める立地適正化計画を策定し,人口減少時代に対応した持続可能でコンパクトなまちづくりを進めます。

 

移住者や定住者の誘致については,首都圏のふるさと回帰支援センターを活用しセミナーを実施するほか,函館で働きたい人の就業や市内企業の人材確保を支援するため開設した就職ポータルサイト「函館しごとネット」を活用し,IJUターンを促進します。

 

(5) 行財政改革と広域連携の強化に努めます

5点目は,行財政改革と広域連携の強化に努めることです。

 

私は,市長就任以来,財政の再建に向け,人件費の削減をはじめ事務事業の見直しや経常経費の節減に努めるなど,行財政改革を積極的に推進し,市役所の意識改革と抜本的な財政改革に取り組んでまいりました。

しかし,今後はこれまで以上に,人口減少などに伴う市税や地方交付税の減少とともに,社会保障関係経費の増加が見込まれるなど,本市の財政は厳しさを増すことが予想されますことから,引き続き不断の行財政改革に取り組みます。

また,病院事業については,新たな病院事業改革プランに基づき,経営の改善に向けた取り組みを進めます。

 

次に,広域連携については,南北海道定住自立圏の中心市として,救急医療体制の充実や地域公共交通の維持・確保に努めるとともに,新幹線の開業効果を圏域に広く波及させるため,関係市町と連携し,広域観光を推進します。

また,本市と青森市,弘前市,八戸市が連携する青函圏観光都市会議において,「青函圏周遊博」で構築した広域観光ルートのさらなる活用を図るとともに,外国人観光客の誘致に共同で取り組むなど,青函圏の都市間連携を強化します。

さらに,さいたま市や宇都宮市など新幹線沿線地域と連携し,広域観光ルートの形成に努めるほか,本市と札幌市,登別市が連携した周遊プランの創出などにより「北海道ゴールデンルート」の構築をめざします。

 

4 むすび

以上,平成29年度の市政執行に臨む私の所信を申し述べさせていただきました。

 

本年は,今後10年間のまちづくりの指針となる新たな函館市基本構想がスタートする年であります。

 

「北のクロスロード HAKODATE ~ともに始める 未来を拓く~」

 函館に住むすべての人が,このまちに誇りを持ち,まちの未来のために自らが行動するとともに,互いに力をあわせ,ともに歩むまちでありたい。

こうした願いを込め,函館の新しい将来像を定めました。

 

人口が増加し,経済の高度成長が期待できる時代は過去になりました。もはや豊かさを総量で推し測る時代ではありません。

新幹線開業に沸いた時期(とき)を経て,新幹線は既に私たちの日常のなかにあります。

今後,情報通信技術がさらに進展し,あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの拡がりや,人工知能AIの普及などに伴い,これからの市民生活も大きく変わることが予想されます。

社会環境や市民生活が時代とともに変化するなかにあって,ただ漫然とその流れに身を委ねるのではなく,私たち一人ひとりが,今ある現実と向き合い,気概を持って,このまちを次の世代へと繋いでいかなければなりません。

魅力あるまちへの進化,さらに活力あるまちへの再生,そして市民一人ひとりの幸せの実現のためには,さまざまな可能性に挑戦する市民の熱意と行動が必要になります。

「まちを大切に 人を大切に 自分を大切に」

これからを生きる函館市民の真の豊かさは,こうした思いが積み重なって実現することができます。

このまちの未来は,私たちの手で変えることができます。

私は,市民の皆様とともに,この素晴らしいまちを愛し,誇り,前に向かって進んでいきたいと考えております。

このまちに住む誰もが幸せと豊かさを感じ,未来に夢と希望を持ち続けることができるよう,既成概念にとらわれない柔軟な発想と強い信念をもって,まちづくりに全力を尽くし,函館再生の道を,函館の未来を,皆様とともに切り拓いてまいります。

 

市議会ならびに市民の皆様のより一層のご理解とご協力を心からお願い申しあげます。

 

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