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平成28年度 経済建設常任委員会行政調査

公開日 2017年02月14日

更新日 2021年12月14日

【経済建設常任委員会行政調査】

  平成28年10月6日木曜日から10月8日土曜日

10月6日 洋野町調査の写真 10月7日 広島市調査の写真
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○10月6日 洋野町調査

 

<所見>

 

 洋野町は、岩手県最北端に位置し、東方一帯は太平洋に面し、北部は青森県との県境に接している町である。
 今回の調査は、以前から洋野町が取り組んでいる「つくり育てる漁業について」洋野町役場水産振興課より経緯・現状そして今後の課題について説明を受けた。
 洋野町の生産者の大部分は、主にウニ、アワビを対象とした素潜りによる採介藻漁業を営んでおり、一部では、カゴや刺し網などの漁船漁業も営まれている。また、漁協自営によるサケを対象とした定置網漁業も行われている。
 平成26年度における当地区の水揚げ金額の48%がアワビ、ウニの採介藻漁業、33%が定置網漁業で占められており、これらをあわせると水揚げ金額の80%以上を占める。
 洋野町の特徴として、海岸に干潮時に干出する広大な岩盤帯が挙げられる。岩盤には、沿整事業等により、幅4m、深さ1m程度の「増殖溝」と呼ばれる溝が掘られており、「増殖溝」を活用した効率的なウニ漁業が行われている。生産者は、9月~11月にかけて沖合の水深20m付近の漁場に生息する身の少ないウニを餌の豊富な増殖溝とその周辺の漁場に移殖し、翌年、身の肥えたウニを漁獲している。増殖溝の活用により特産品であるウニの安定的な漁獲量を維持することができ、計画的に生産量の調整を行う事も可能となっている。
 町としては、今後も継続して支援し取り組んで行く意向はあるが、漁協・漁業者の自立を促進する事も必要と考えており、補助金等は段階的に引き下げつつ、魚価の向上を目指し、漁業及び関係団体と一丸となって取り組んで行きたいと評価をしている。
 今後の課題については、第一次産業の核となる後継者・担い手の減少が最重要課題となっている。漁場の有効利用の低下も懸念されることから、浜の活力再生プラン等に基づき、担い手対策協議会等で水産業の将来を見据えた対策を考えて実施していく必要があると考えている。
 当市においては、「増殖溝」のような漁場を取入れる事は難しいと考えられるが、静穏域の活用としては大変に参考になった。今後は、漁船の減少により利用が少なくなる漁港を最大限に活用することが不可欠であり、増養殖を推進する整備も視野に入れ考えていかなければならない。
 港内の静穏域で蓄養や養殖を行うには、「増殖溝」でもあるように砂の問題や、残餌や糞をためないようにしなければならないなどの問題はあるが、静穏域の利活用は、高齢化によって衰退する地先漁業の振興の一助になるものと考えられる。

 

 


○10月7日 広島市調査

 

<所見>

 

  両市の一次産業としての漁業の規模は、函館市の漁業従事者数は平成25年の漁業センサスによると2,959人、属人統計での漁業生産額は同じく平成25年でいうと171.3億円(参考:組合業務報告書および聞き取りによる資料)となっている。漁業生産額の平均値を上記2データより算出した場合、約579万円となる。
広島市の漁業従事者数は平成25年の漁業センサスによると539人、漁業生産額は直近のデータでは年間約33億円という。漁業生産額の平均値を上記2データより算出した場合、約612万円となる。

種苗生産と養殖漁業の特徴として、函館市では漁業組合が5つ(函館市、銭亀沢、戸井、えさん、南かやべ)存在し、それぞれの漁協で扱う種類が異なるが、ウニ・アワビ・ナマコの3種の種苗放流事業がおこなわれている。
広島市においては、現在7種の水産動植物の種苗を生産しており、そのうちの4種については受益者が特定できない放流の形式をとっている。残りの3種に関しては受益者が概ね特定できるとして、価格を設定して漁業に種苗を販売するという形式をとっている。
全国的にも有名で、かつ、日本一の生産量を誇るカキにおいては、良質なカキを生産するために養殖をおこなっている。広島市の全魚種を含めた年間漁獲高が概ね例年33億円ということだが、そのうち約30億円はカキによるものだという。なお、カキを扱う漁業経営体は、採取したカキについて漁協を通さずに自らが持っている流通ルートに乗せて流通させているとのこと。そのメリット・デメリットについてうかがったところ、特段メリットもデメリットも無いが、ただ単に昔からの慣習を現在も踏襲しているということである。

広島市における水産振興計画は10カ年計画として存在し、5年目で一度検証をしたようであるが、大きな変更は加えられなかった。年次の検証はおこなっていないとのことであった。計画は水産資源の確保や水産業への理解を促すにとどまらず、地場産水産物の域内消費を拡大するところまで念頭に置いて計画されている。計画方法としてはビジョンから始まり、施策の柱を3本設定し、その柱となった施策の中で具体的に課題を拾い上げて、その解決のための具体的な活動事項が記載されるという4段階で構成されている。なお、その具体的な活動事項は活動内容が明確にイメージできるまで表現のレベルが細分化されていた。

広島市において、種苗生産ならびに養殖漁業に関して、総じてどのように評価しているかをうかがったところ、漁業の後継者不足も絡みながら生産力が低下しているところを、これらの事業に力を入れているおかげで生産量・漁獲高を落とさずに維持することを可能にしているとのことであった。

最後に漁業の後継者不足は全国的にも同じような課題に直面している自治体もあり、函館市もその課題を抱える自治体の一つであることを述べる。広島市が種苗生産ならびに養殖漁業に関する取り組みにたいして評価していたように、生産者が減る一方でいかに漁獲高を保つかという取り組みが延いては函館市における水産資源販売による利益、水産加工業者に対する原料供給、飲食業に対する材料提供の安定を実現するために、有効的な実施を検討すべき事項である。幸いにして函館市はすでに2つの種苗センターを有し、また、函館市国際水産・海洋総合研究センターという研究機関も活動を活発化しているところである。これらを活用して、後継者不足の中においても基幹産業の一つである漁業の産業力を維持し、かつ、漁業振興を向上させる中で、安定した生産性・利益性を保証することで後継者不足の解決にまで結びつけることを念頭に、今回の調査内容を参考とすべきである。

 

 
 
 
 
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