公開日 2022年03月10日
地域の沿革
函館は,古くから天然の良港として知られ,海産物交易の集散地として栄えてきました。
寛政11(1779)年,幕府はロシアの南下を脅威と捉え,蝦夷地を直轄領とし,函館に奉行所を設置しましたが,この場所が現在の伝建地区の中となっており,明治以降は,開拓使函館支庁が置かれるなど,政治,経済,文化の中心地となってきた場所です。
幕末期の函館が大きく変化をしていくのは,開国による諸外国文化の流入であり,安政元年(1854),日米和親条約の締結により,幕府は函館と下田の開港を決定し,乗組員の休養や物資の補給地として外国船が函館港に盛んに入港し始めるようになります。
その後,米,蘭,露,英,仏の欧米5カ国と修好通商条約が締結され,安政6年(1859)に,函館は長崎,横浜とともにわが国最初の対外貿易港として開港します。この影響により,領事館が新築されたり,キリスト教会が建てられるなど,異国情緒豊かな町並みが形成されたのです。
また,函館のまちは,しばしば大火に見舞われていますが,明治11年,12年に発生した大火に伴う復興事業により,函館の市街地の構造は根底から変わることになります。防火線街路として基坂,二十間坂を幅員20間(約36メートル)で拡幅整備したほか,直通街路を整備し,矩形の整然とした街路となり,現在の伝建地区の原形は,この時につくられたものです。それ以降,街区形態はほとんど変化がない状態となっています。
明治以後もいくつかの大火がありましたが,大火後の復興でも,日本の伝統文化を表す和風の民家等のほか,開港以来の諸外国文化の流入とその影響を受けて,洋風の建物あるいは和洋折衷方式の建物が数多く建てられ,現在もその多くが当時の姿を残しています。
このように伝建地区は「函館発祥の地」であり,函館が最も著しい繁栄を遂げた明治・大正・昭和初期に形成された町並みが概ねそのままの形で継承され,異国情緒豊かな町並み景観を呈しており,市民共有の貴重な財産となっています。
伝統的建造物群保存地区の経緯
年度 |
年月日 | 事項 |
昭和57年度 |
○函館市西部地区伝統的建造物群調査(元町・末広町)(文化庁補助事業) | |
昭和58年度 | ○函館市西部地区伝統的建造物群調査(弁天町・弥生町)(文化庁補助事業) ○函館市西部地区住環境整備調査(建設省補助事業) |
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昭和61年度 | 62年1月20日 | ○(仮称)函館市歴史的景観条例検討委員会の設備 (学識経験者・町会長・団体役員38名) |
昭和62年度 | 62年7月17日 から 63年3月4日 |
○地元説明会の実施(5回に分けて延べ24日間開催) ○市の広報誌「市政はこだて」による啓発活動(17回連載) ○建築関係団体等に対する説明会(延べ5回開催) |
昭和63年度 | 63年4月1日 | ○「函館市西部地区歴史的景観条例」の施行 |
63年12月19日 | ○「伝統的建造物群保存地区」の決定(都市計画決定) ○「伝統的建造物群保存地区保存計画」の策定→《許可制》 「伝統的建造物群保存地区(約14.5㏊ 伝統的建造物 89件)」 |
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平成元年度 | 元年4月1日 | ○教育委員会に文化財課伝統的建造物群保存係を設置 |
元年4月21日 | ○重要伝統的建造物群保存地区の選定<全国で29番目> ○伝統的建造物群保存地区の保存に関する補助金交付要綱の制定 ○歴史的景観地域に関わる融資の斡旋に関する要綱を制定 |
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2年3月31日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 75件) | |
平成2年度 | 2年4月1日 | ○地方税法による,伝統的建造物の固定資産税・都市計画税の非課税措置 |
2年12月28日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 76件) | |
平成3年度 | 4年3月31日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 75件) |
平成4年度 | 4年11月11日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 76件) |
5年3月26日 | ○「函館市西部地区歴史的町並み基金の設置および管理に関する条例」の制定 | |
平成5年度 | 5年4月1日 | ○指定建造物等の防寒改修に係わる補助金交付要綱の制定 ○指定建造物等の取得等に係わる補助金交付要綱の制定 ○指定建造物等の維持管理費に係わる補助金交付要綱の制定 |
5年5月25日 | ○函館市西部地区歴史的町並み資金運営委員会の設置 (学識経験者・団体役員・指定建造物等の所有者等15名) |
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5年6月29日 | ○「函館市元町末広町伝統的建造物群保存地区内における建築基準法の制限の緩和に関する条例」の制定 | |
平成6年度 | 6年12月14日 から 6年12月22日 |
○「(仮称)函館市都市景観条例」の基本的な考え方についての市民説明会の開催 (各町会,建設業界,市民団体など対象に7回開催) |
7年3月22日 | ○「函館市都市景観条例」を制定 | |
平成7年度 | 7年4月1日 | ○「函館市都市景観条例」の一部を施行 (都市景観形成基本計画の策定,函館市都市景観審議会の設置) |
8年1月8日 | ○「函館市都市景観条例」の全面施行 | |
平成10年度 | 10年4月1日 | ○伝統的建造物群保存地区内の敷地に係る固定資産税の減免措置 |
平成12年度 | 13年1月24日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 77件) |
平成13年度 | 13年5月28日 | ○規則の一部改正(電波事業法改正) |
平成14年度 | 14年5月8日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 76件) |
平成15年度 | 15年4月1日 | ○規則の一部改正(民間事業者による信書の送達に関する法律の制定) ○北海道屋外広告物条例による屋外広告物禁止地域の指定 |
平成16年度 | 16年6月9日 | ○規則の一部改正(電気通信事業法改正) |
平成17年度 | 17年4月1日 | ○規則の一部改正(文化財保護法改正) |
17年6月8日 | ○保存計画の一部改正(助成制度の変更) | |
平成19年度 | 20年3月6日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 75件) |
平成24年度 | 24年10月10日 | ○保存計画の一部改正(許可基準等の変更) |
平成28年度 | 28年7月13日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 77件) |
令和元年度 | 元年5月27日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 76件) |
令和3年度 | 4年2月4日 | ○保存計画の一部改正(伝統的建造物 77件) |
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